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武田航平 オレニ撮ラセロ!

「『薄桜鬼』のおかげで今がある」原作モノ作品への姿勢を語る

不定期連載

第90回

原作のある作品に多数出演している松田凌さんが、武田航平さんからの質問に真摯に回答してくれた今回。原作キャラクターを演じるうえでの向き合い方について、自身の考えをじっくり教えてくれました。

松田凌が語る“原作モノをやる責任”

武田 俺たちの共演作『秘密の花園』は少女漫画原作の映画だったけど、そういう作品は多い?

松田 漫画ではないですけど、それこそ僕は女性向けゲームが原作のミュージカル『薄桜鬼』がデビュー作で。だから、航平さんも出ていた舞台『薄桜鬼 新選組炎舞録』を擦り切れるくらい観ていました。そうそうたるメンバーでしたよね。

武田 今思うと、すごく男臭いメンバーだったね(笑)。

松田 『薄桜鬼 新選組炎舞録』は『薄桜鬼』の最初の舞台作品でしたし、僕がやらせていただいたミュージカルとはまた少し違う雰囲気でした。

武田 凌くんは、舞台デビューが主演だったんでしょ?

松田 初舞台で初主演でした。

武田 すごいことだよね。俺だったら怖気づいていたと思う。

松田 最初に聞いたときは、本当に僕でいいのかなと思いました。でも、『薄桜鬼』のおかげで今がある、というのは間違いないです。

武田 原作ファンがいる作品ってプレッシャーも倍増すると思うんだけど、演じるときに意識していることって何? 俺が『薄桜鬼』に出たときは、キャラクターの声や雰囲気に寄せることを大切にやっていたんだけど、そのときにやっぱり、お客さんの目の前でキャラクターを再現することの難しさを感じたんだよね。

松田 僕の個人的な意見になってしまうんですけど、原作モノをやるときは、僕個人のことを応援してくださっている方々に向けるというより、原作とそのキャラクターに失礼のないようにやることを意識しています。技法としては、今、航平さんが言っていたように声や所作を自分の体に叩き込んでいく形になりますね。

武田 原作へのリスペクトが第一ってことだよね。

松田 最初にお客さんの目の前に現れたときにOKが出るかどうかが大切というか、そこが最初の扉だと思うんです。その最初の扉が開けば、そのあとの2つ目、3つ目、4つ目の扉には自由度があると思っていて。アニメやゲームを100%再現するというより、要所要所をしっかり押さえるようにしています。

武田 ビジュアルとか動き方とか、最初にお客さんの目に入る部分を押さえて、そこからの感情は自分の中で生まれたものを乗せていくってことなのかな。

松田 はい。極論を言ってしまうと、人間が演じる以上、本当に次元を超えるのは無理だと思うんです。そこを求めるなら原作でよくなってしまいますし。でも、100%再現は無理だからといって、僕たちが怠惰になってしまうのは絶対にダメじゃないですか。そのバランスをとるというか、そのせめぎ合いを自分の中でサボらずにやって、失礼のないものを作っていけば、どんな形であれ素敵な作品になっていくと思うんですよね。

武田 たしかにそうだね。

松田 それに、見た目と設定から、これはしちゃいけないと考えること自体がナンセンスというか、それにとらわれずにしっかりやっていれば、お客さんたちも応えてくださるんだな、と。

武田 原作のキャラクターを大事にしつつ、とらわれずにやるってすごく大変だよね。だからこそ、丁寧に真摯にサボらずやっていくことが大切になってくるんだね。

松田 そうですね。例えば、Aの感情とBの感情という選択肢があったとして、Aだと思っても、実際はBのときもあると思うんです。Bを選ぶのが固定観念にとらわれないことだとすると、Bのための研究をすごくします。なぜBを選んだのかを聞かれたときに、自信をもって説明できるようにしないといけないので。裏付けもなく、なんとなくで選んでいたら、それこそ原作やキャラクターを愛している人たちにものすごく失礼だと思いますし、自分としても「これが僕の選んだお芝居です」と言いたいんです。

武田 一生懸命、キャラクターを自分に落とし込んでいく作業をして、その結果、僕はBを選びましたってことをちゃんと言えないとダメってことだよね。

松田 それが原作モノをやる責任だとも思います。原作のない作品だったら、イチから自分で作って自分で責任を背負うけど、原作モノは他の人が作ったものを背負う感覚ですね。

武田 重りをつけて登山しているみたいだね。

松田 その状態で頂上まで登れたら、素敵な景色が見られたなと感じられますし。

武田 2.5次元作品は日本のカルチャーとして確立しているけど、凌くんを始めとした、たくさんの俳優さんたちが真剣に向き合って築き上げてきたものだよね。一生懸命にやっている俳優さんたちがいなきゃ、一過性のもので終わっていたと思う。原作モノの最前線で戦っている俳優さんからこんなに真剣な話を聞くと、すごくハッとさせられる。

松田 いやいや。

武田 聞けば聞くほど、こんなに難しいことなんだなって。簡単にはできないよね。

松田凌が武田航平に憧れる理由

松田 実は、僕は航平さんの経歴がすごく好きなんです!

武田 どういうこと?(笑)

松田 航平さんって、簡単に言うとマルチという言葉になってしまうんですけど、それこそ1つにとらわれずに、いろんな作品でお芝居をされていたり、こういった連載をやったり、バラエティにも出ていたりしてすごいなぁと。僕もそうなりたいと思っているので、うらやましいんです。

武田 たしかに1つにはこだわっていなくて、人生は一度切りだし、いろんなことをやりたいなって思ってる。それこそ舞台で、しかも原作モノをやっている俳優さんたちって、ものすごくプレッシャーを感じながらやっていると思うから、それをやりきって乗り越えてきた経験ってめちゃくちゃ強みだと思うんだよね。だから凌くんも、どんなフィールドでも絶対に活躍できるよ!

松田 そうですかね。

武田 舞台で活躍している俳優さんたちが映像やバラエティにもガンガン出てきているから、俺はヒヤヒヤしてる(笑)。でも、どんどん出てきて戦場を荒らしていってほしいなとも思ってるよ。

次回は、松田さんが俳優になったきっかけについて、今一度振り返ります。実はコメディ好きという話題も盛り上がり、そのギャップを武田さんも絶賛! また、これからのお仕事についてもお話いただいています。

プロフィール

松田凌

1991年9月13日生まれ、兵庫県出身。2012年にミュージカル『薄桜鬼』にて舞台初出演ながら初主演を務め、俳優デビューを果たす。2013年、『仮面ライダー鎧武/ガイム』に城乃内秀保/仮面ライダーグリドン役でレギュラー出演し、2017年にはドラマ『男水!』にてドラマ初主演を飾る。今後の出演作は、高橋悠也×東映シアタープロジェクト『TXT vol.2「IDアイディー」』(6月17日〜27日/東京・よみうり大手町ホール、7月2日〜4日/大阪・サンケイホールブリーゼ)、『東京リベンジャーズ』(8月6日〜8日/大阪・COOL JAPAN PARK OSAKA WWホール、8月12日〜14日/東京・日本青年館、8月19日〜22日/神奈川・KT Zepp Yokohama)。また、7月に東京ドームで開催される『ACTORS☆LEAGUE 2021』に登場する。

武田航平

1986年1月14日、東京都出身。2001年に芸能界入り、同年に第14回「ジュノン・スーパーボーイ・コンテスト」審査員特別賞を受賞した。『仮面ライダーキバ』『仮面ライダービルド』などで人気を博し、現在はドラマ、映画、舞台と幅広く活躍中。2021年はドラマ『24 JAPAN』(テレビ朝日)に出演し、恋愛フェイクドキュメンタリー『フェイクラブ』(FOD)、ドラマParavi『理想のオトコ』が配信中。

写真/大塚秀美、ヘアメイク/田中宏昌(allure)、取材・文/榎本麻紀恵、動画BGM/タダオト、撮影機材協力/Nikon(「ニコン Z 5」)

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