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メジャーデビューの切符は誰の手に? 新世代シンガーの座を争う『ONE in a Billion』参加者インタビュー

リアルサウンド

20/1/18(土) 20:00

 ソニーミュージックが2019年秋に新たなに立ち上げたオーディションブランド『ONE in a Billion』。昨年からスタートした同オーディションの3次審査が始まり、歌唱力審査、ライブパフォーマンス審査、Music Video審査を経て、昨年末に合宿審査がスタート。4000人に迫る参加者が、審査も佳境を迎え、とうとう6名まで絞られた。

 合宿審査に進めるのは、Music Video審査時点でのランキング上位6名のみ。最新のランキングでは、木下優真、野嵜豊、三浦風雅、きゃない、MASAZAYN、成山俊太郎がランクイン。しかし、MASAZAYNが体調不良により結果発表を欠席、7位にランクインした荒木一仁が仮通過として合宿審査に参加する波乱の幕開けとなった。

 今回、リアルサウンドでは、合宿審査が行われる施設に赴き、参加者全員にインタビュー。ここまで審査を勝ち抜いてきた印象をはじめ、ライバルである、他参加者への意識や勝ち抜くためのアピールポイント、そして歌手活動に対する思いについて語ってもらった。(編集部)

木下優真「どんなことがあっても初心は忘れない」

ーー今回『ONE in a Billion』に参加した理由を教えていただけますか?

木下優真(以下、木下):もともと自分のハスキーな声質にコンプレックスを持っていたんです。普段、誰かと話をしていても声が通りづらかったり、あまり好きではなかったんですよ。でも、2年前くらいからシンガーソングライターとして弾き語りの活動をはじめて、そこから徐々に自分の声質に自信を持ち始めたんですけど、そんな中で『ONE in a Billion』に出会って。“ボーカル”に特化したシンガーを募集していることを知ったときは、「もうこれしかない!」と思って受けました。

ーー小さい頃はどんな音楽を聴いていましたか?

木下:周りからは意外と言われるんですけど、親の影響もあって小さい頃からB’zが好きで。ボーカリストとして稲葉(浩志)さんは憧れですし、原点はB’zですね。最近好きになった方だと、石崎ひゅーいさんを尊敬しています。感情をストレートに表に出す歌い方が好きで、僕もそのくらい気持ちを伝えられるような歌手になれたらなって。ライブパフォーマンス審査では自分のオリジナル曲を歌わせていただいたんですけど、その時は今までにないくらい感情を歌に乗せることができました。

ーー普段から自分の気持ちを表に出せるタイプですか?

木下:普段はめちゃめちゃ恥ずかしがりです(笑)。でも、それと同じくらい有名になりたいという欲も昔から強かったんです。矛盾していると思うんですけど、認めてもらいたいというか、もっと自分のことを知ってもらいたい! って。不思議なんですけど、やっぱりステージの上だと、そういう恥ずかしいみたいな雑念は無くなるんですよね。結局、僕は歌えれば楽しいというか。

ーー今回、合宿審査前のランキングでは見事1位でした。

木下:1位という順位には誇りを持っていますが、この結果は応援していただいているファンの方のおかげだと思っています。自分が視聴者の方々に刺さった理由も考えるんですけど、もし僕がお客さんだったらきゃないみたいな個性の強いタイプが印象に残るんじゃないかなって。自分の歌声に個性がないとは思っていないけど、すごく際立っているかというと、そうではなくて。逆にその塩梅が一般の方に受け入れてもらえたのかもしれないと、ポジティブに考えています。

ーー周りの参加者に対して思うことは?

木下:最初はどうしてもライバルとしか見れていなかったんですけど、それぞれがみんな違った個性を持っていて、お互いに尊敬し合っていると感じますね。ライバルであり、戦友のような関係に近いかもしれないです。

ーーこれまで様々な条件の審査を受けてきましたが、成長につながっている点はありますか?

木下:まず、ここまで残った6人は“歌が上手い”は大前提で、そこからどうアピールしていくかが今後の鍵になってくると思っています。普段なら「上手く歌えた」で終わってしまうところだけど、今はその先に進むための一歩を考えなければならない。そういう思考を身につけられたこと自体が、このオーディションを受けた大きな成果であり、勉強になったところだと思います。

ーー自身のオリジナル曲を審査で披露する機会がありましたが、作詞作曲についてはどうでしょうか?

木下:曲を作るときは、メロディ優先で考えることが多いです。歌詞のメッセージ性も大切だとは思いますが、メロディでどれだけ聴き手を惹きつけられるかを大事にしています。歌詞もメロディのひとつだと思っているので、言葉選びも意味よりも語感で決めていくことが多いですね。聴いていただいた方からは、夕焼けやオレンジっぽい色が浮かんできたとよく言っていただけます。温かいメロディだねって褒めていただくこともあるんですけど、それは嬉しいです。

ーーオーディションも佳境に入っていますが、このまま勝ち抜いてグランプリを獲れたとしたら、その先はどう考えていますか?

木下:グランプリを取ってからが本当のスタートだと思っていて。デビューした後は、一般の方々に興味を持っていただけて、聴いてみたいと思っていただけるような曲や活動を発信できなければならない。まだ漠然としていて具体的な言葉にはできないですが、みんなに驚かれるような新しいものは作っていきたいなと思います。それに音楽を楽しむ気持ちは常に持ち続けたいなって。どんなことがあっても初心は忘れないように。

ーーもし今回ダメだったとしても、音楽との向き合い方は変わらないと思いますか?

木下:本間さんが「音楽は一生続けていくものだし、ずっとそばにいてくれる。ここで落ちてもまたどこかで会おう」といってくれたんですけど、自分もその気持ちですね。今回落ちたメンバーにも、またどこかで絶対会えると信じています。オーディションを通して成長できた部分も大きいですし、今はここで落ちたとしてもこの先も絶対大丈夫という根拠のない自信があります(笑)。だからと言って負ける気もないので、このまま進んでいけたらと思います!

野嵜豊「ファンの方は、僕にとってとても大事な存在」

ーー野嵜さんは、もともとダンス&ボーカルグループ・DRESS_No.として活動。『あんさんぶるスターズ!』などの舞台も経験するなど、オーディション前から芸能活動は行っています。

野嵜豊(以下、野嵜):ダンス&ボーカルグループと舞台での役者活動を行っていたんですけど、2017年頃に一度辞めて、2年くらい活動に間が空いてしまったんです。その2年間は、あまり外に出られなくなるくらいふさぎ込んでしまっていたんですけど、知人から『ONE in a Billion』のことを聞いて、挑戦してみたいと思って今回受けました。

ーー芸能活動を辞めてから、ふさぎ込んでしまった理由というのは?

野嵜:昔はどんなことにも根拠のない自信があったんですけど、だんだん「自分は何に自信をもっているんだろう」ときちんと考えるようになって。そう考えたときに「本当は自分はなにもできないんじゃないか」と思うようになってしまい、その自信のなさからだんだんと……。

ーー自信喪失のような状態になってしまったんですね。

野嵜:でも、今回オーディションを受けて、今ここまで残れたことは自信に繋がっています! 昔はもっと明るくお喋りできていたんですけど……暗いですよね(苦笑)。もともと人見知りではあったんですけど、その2年間はほぼ誰とも会わないくらい周りをシャットアウトしていました。私生活だけでなく、周りの方々からも自信がないことがパフォーマンスからも見えると言われてしまって。今はそれも課題として受け止めています。

ーーでは、DRESS_No.での活動を辞めた理由は?

野嵜:小さい頃からダンス&ボーカルグループに憧れていたので、当時のメンバーと一緒に活動するのも楽しかったんですけど、だんだんパフォーマンスや活動そのもののクオリティをもっと高くしたいと思い始めたんです。でも、それは僕個人のやりたいことや目標であって、グループとしての考えには至らなかった。今振り返るともっと柔軟に出来ることがあったんじゃないかと思うんですけど、当時はそういう強い気持ちが前に出てしまって……。

ーーMusic Video審査でダンスを披露しています。野嵜さんの音楽活動においてダンスは外せない要素ということですよね?

野嵜:そうですね。ダンスは小さい頃に少し習っていたんですけど、グループ活動を始めるときにもう一度始めて、そこで改めてダンスが好きだと思うようになりました。Music Video審査では振り付けを初めて自分で考えてみたんですけど、審査で1位をとることができたので、それは自信に繋がりました。

ーー今回の審査やレッスンで印象深かったことは?

野嵜:たくさんありますが、特にライブ審査が印象に残っています。グループで活動していたときは、基本的には誰かに呼んでいただいて、用意されたステージでオケをバックにパフォーマンスをしていたので、今回のライブをイチから作っていく感覚は新鮮でした。それに2年間ブランクがあったので、ボーカルやダンスにおける体の使い方を改めて見直せたことは大きいですね。

ーー自分のどんな部分をアピールしていきたいですか?

野嵜:僕にはダンスが強みだと思っているので、そこはきちんと見せていきたいです。ボーカルにはまだ少し不安があるんですけど、今回のレッスンを通して学んだことも多かったので、それを繰り返してもっと歌のクオリティを上げていきたい。きっと、歌が際立てば、ダンスも相乗効果で良くなっていくと思うんです。それにライブパフォーマンス審査でイチから何かを作り上げていくことの面白さを体感したので、もっと自分で曲や振り付けを考えていきたいですね。これから入っていこうと思っている世界は、自己プロデュースできるのが当たり前だと思いますし、ダンス&ボーカルで自分の世界観をしっかりと作り上げて、伝えられるアーティストになっていきたいです。

ーーYouTubeでのコメントを見るとしっかりファンの方も付いているようです。野嵜さんにとってファンはどんな存在ですか?

野嵜:ファンの方は、僕にとってとても大事な存在です。グループを辞めて時間が空いてしまったにもかかわらず、こうやって活動を再開したら暖かく迎えてくれて……。本当に優しいです。ファンの方々のおかげで僕も安心して再スタートができたし、ずっと支えていただいていると感じています。

ーーそういう応援してくれる方々のためにも、グランプリを獲りたいですね。

野嵜:そうですね。それにオーディションで落ちてしまった方々の思いも背負って頑張っていきたいです。まだまだ足りない部分はあると思いますが、応援してくれる方々、そして自分のために優勝して、デビューしたいです。

荒木一仁「僕の強みは気持ちの強さ」

ーー荒木さんは、MASAZAYNさんが審査発表に間に合わなかったため、仮通過という形で合宿審査に進みました。今の率直な心境はいかがでしょうか?

荒木一仁(以下、荒木):正直……やりにくい立ち位置だな、とは思います。でも、ここまで来たら、グランプリを取りたいです。

ーー仮通過と聞いたときは、どんな気持ちでしたか?

荒木:喜びはなかったです。仮という言葉が自分の中でもひっかかっていたし、悔しい気持ちが大きすぎて。自信はあったんですよ。でも、7位かって。やっぱり通過する条件の6位に入っていないと意味がない。だから最初にランキングが発表されたときは、「あぁ、終わったな」って。今は、仮通過だけど審査を続けられるなら、やるしかないという気持ちです。

ーー他の参加者を意識する部分もありますか?

荒木:みんなライバルですけど、こうやって男同士で共同生活をすることも滅多にないので、今は純粋に楽しさを感じています。僕自信はあまり喋るタイプではないんですけど、みんなでワイワイしながら音楽の話もできるし、常に刺激を受けています。まわりのみんなはオリジナル曲もたくさん作っていて、普段の活動も積極的に行っている人たちばかりなので、僕ももっとアピールしていかなければならないと思うし、活動ももっと増やしていかないといけないなって。

ーー歌うことを意識し始めたのはいつからですか?

荒木:小学校の頃にみんなの前で歌う機会があって、そのときにまわりから上手いと褒められたときが歌を好きになったきっかけかもしれません。心を開いたら明るいんですけど、基本的には引っ込み思案なタイプで。その割に目立ちたがりなところもあったので、そういう場所で歌うことも平気だったんです。中学生の頃はカラオケにたくさん行くようになって、とにかく歌を上手くなりたい一心で歌っていました。

ーー音楽活動をはじめるのも自然な流れだったんですね。

荒木:そうですね。僕、高校を中退しているんです。最初は高校をやめて働こうと思っていたんですけど、親父が僕が歌が好きなことを知っていて、そっちの道を目指したらどうだって進めてくれたんです。親父は僕が一番男として尊敬しているし、その言葉に後押しされたところも大きいですね。それで、高校は卒業しとかないかんなと思って通信制の学校に通って、今は音楽の専門学校で勉強しています。専門学校ではボーカルを専攻していて、音楽理論や演奏スキルなどを学んでいます。

ーーでは、触れる音楽もお父様からの影響が大きかったのですか?

荒木:いえ、そこは自分の好きなものを聴いていましたね。ロック系をよく聴くんですけど、特にONE OK ROCKが好きで、ボーカルとしてもTakaさんを一番尊敬しています。歌声が好きなのはもちろんですが、Takaさんの精神性というか、目標に向かって一直線に進んでいけるパワー、まわりに影響を与えられる思いの強さにすごく惹かれます。

ーー目指すべき理想のボーカル像もTakaさんですか?

荒木:Takaさんへの憧れは強いですけど、似せたり、真似したいわけではないです。自分は自分で個性を持っていると思うので。やっぱり日々自分が感じていること、信じているものを、まわりの人にも共感してもらえるように届けたい。テクニックも大事だと思いますが、僕がTakaさんの歌に希望や夢をもらったように、そういう思いの部分をしっかり届けられるような歌手を目指しています。

ーー荒木さんは作詞作曲も行われています。そういう意味では、歌詞のメッセージ性も大切にされているのでは?

荒木:作詞でもメッセージ性は大事にしています。でも、人に伝えたいという気持ちが先行しすぎて、まだ自分が納得できるような歌詞にするのは難しくて。ストレートすぎて、少し拙い歌詞になってしまうというか。音楽学校の先生にも、もっと比喩的な表現を入れた方がいいんじゃないかってアドバイスをいただくんですけど、まだ勉強しているところですね。人の胸に響くような歌詞が書けるようになりたいです。

ーーグランプリを取ってデビューした場合も、そういう心に刺さるような歌を歌っていきたい、と。

荒木:そうですね。僕の強みは気持ちの強さだと思うので、自分のそういう歌の色をだしていきたい。ステージは僕にとって本当に特別で、自分のすべてをさらけ出せる場所なんです。ここを通過できたら絶対に1位になります。それに負けず嫌いなたちなので、もし今回がダメだったとしても、あのときグランプリを獲らせておけばよかったと思えるようなアーティストに成長して、見返していければと思ってます。

三浦風雅「自分の表現したいことを具現化できる歌手になりたい」

ーー音楽を始めたきっかけは?

三浦風雅(以下、三浦):自分が落ち込んでいるときに励ましてくれたり、感動させてくれたのが音楽で。僕もそういう人に影響を与えられる音楽を発信できる歌手になりたいな、と。具体的に歌手を目指したきっかけは、高校生の時、卒業の記念でアップしたカバー動画がTwitter上でバズったことです。そこから本気で歌手を目指そうと思って大学に行きつつ、音楽スクールに通いだして。でも、それからスクールがどんどん忙しくなって両立が難しくなり、大学を辞めて音楽一筋になりました。

ーー好きな音楽のジャンル、憧れているアーティストは?

三浦:J-POPからHIPHOPまで、いろんなジャンルを聴きます。コブクロはずっと好きですが、最近だとNissyのライブへ行った時に、西島(隆弘)さんにしか出せない世界観をステージで表現していて憧れました。僕も三浦風雅ワールドのような、自分の表現したいことを具現化できる歌手になりたいですね。

ーー合宿審査まで進んだ心境は?

三浦:まだ安心はできないですが、1位を狙っているので通過点としては順調です。オーディションが進むごとに自分のメンタルの弱さに気付きまして……。緊張すると口が渇いて上手く歌えなくなることもあって、なんとか克服したいです。

ーーここまで残った参加者への印象は?

三浦:最初はバチバチだと思っていたんですけど、みんな良い人ですね。いつもフレンドリーに接してくれますし。仲間であり、ライバルという良い関係性を作れています。この後でどうなるかはわかりませんが(笑)。意識しているのは、きゃないですね。変化球的な魅力がある人なので。でも彼には彼、僕には僕のできることがあると思うので、自分のできる最大限を出せれば怖いものはないかなって。

ーーここまでの審査・レッスンで学んだ点は?

三浦:歌う時にかっちりプランを立てて歌うことが多いんですけど、講師の方からはもっと純粋に楽しんだ方がいい、と。キメることが悪いことではないのですが、もっと音楽に身を委ねてラフに歌った方がカッコよくなることにも気付けたので、今は実践しています。

ーー普段から何事もプランを立てないと気が済まない?

三浦:いえ、普段はすごいルーズですけど、単純に心配性なんです(笑)。ライブやオーディションでは先に決めて、余計に落ち着いて臨みたくなってしまうんです。アドリブやハプニングには弱いかもしれません。

ーー自分のボーカルとしての強みは?

三浦:透明感のある歌声とはファンの方から言っていただけます。でも、そこだけにとらわれず、男らしさや色気も出しつつ、歌手・三浦風雅のいろんな一面を見せていきたいです。あと、歌詞を丁寧に歌うことは常に心がけているので、楽曲に込められた思いを伝えることに関しては負けないと思います。

ーー作詞作曲で大切にしていることは?

三浦:僕自身、遠回しの歌詞を歌うのが得意ではないのもありますが、伝えたいことや思っていることをストレートに書きます。フィクションもあまり好きではないので、実体験や友人のエピソードから膨らませていくことが多いですね。作曲に関しても、もともと歌いにくい曲をカバーした時に「それなら自分が歌いやすい曲を作れば良い」という単純な理由からでした。なので、今は無理せずに等身大の自分を表現できれば、と。

ーーオーディションを終えた後について考えていることはありますか?

三浦:デビューはもちろんしたいんですけど、今の自分がいるのは応援してくれるファンのおかげだと思っていますし、そこは裏切りたくないです。もしデビューさせていただけるとしたら、自分のこれまでの色は保ちつつ、そこに賛同していただける方と作品作りをしていきたいですね。ダメだったときのことは考えていないんですけど、このオーディションに参加できたこと自体が僕の中では大きくて。仲間には良い刺激をもらえるし、客観的に見てくれる先生もいる。もしダメだったとしても、今後の自分の音楽人生には絶対活かせていけると思います。……きっと何があっても音楽は辞めないですね。今までも挫折しかけたけど、音楽に結局は戻ってきているので(笑)。

成山 俊太郎「僕の曲が聴いてくれる人の日常の一部になってほしい」

ーーもともと人前で何かを表現することは好きだったんですか?

成山:いえ、どちらかと言えば苦手な方でした。小さい頃から吃音という病気に悩んできたんですけど、学生時代にそういう自分を変えたくて、人前に出ることを自分から経験していくようになったんです。例えば、生徒会長の代理スピーチとか。くよくよするのが本当に嫌で、そういう経験をしたことで治ったわけではないですけど、人前に立つことへの抵抗感はなくなりました。

ーー学生時代は活発な人柄でしたか?

成山:どちらかといえば内省的な人間でした。今回のレッスンですも「自分のことをもっと信じなさい。自分の良さに気付いた方がいい」と指摘されて。たぶん、学生時代とかに自分を肯定される機会が少なかったからだと思います。今は全然違うんですけど。すごい斜に構えるような学生だったので、当時の先生も嫌だったと思います(笑)。

ーー福岡がご実家ですが、音楽をするために東京へ?

成山:福岡でもかなり田舎の方で、音楽をやろうとする人なんて全然いないところでした。最初は音楽をしたいなんて言えなくて、周りに流されて運動系の部活に入ったりしていたんですけど、高校卒業を機に両親に頭を下げて、音楽をやらせてほしい、と。本当は大学に行ってほしかったと思うんですけど背中を押してくれて、上京して音楽のスクールに入りました。

ーースクールに入ってみてどうでしたか?

成山:正直、けっこう理想と現実にギャップを感じたというか。僕は自分や家族のためにも覚悟を決めて東京へ来たんですけど、周りはずっと遊んでいるような人もけっこういて困惑しました。だから、このオーディションで、本気で音楽と向き合っている人たちと出会えてめちゃくちゃ嬉しいです。こんなにすごい人たちがいるんだって。

ーー今、目標にしているアーティストはいますか?

成山:今は、秋山黄色さんが好きですね。なんとなくアコギから始めたんですけど、実際はバンドサウンドで、ボーカルが叫ぶような音楽が好きなんです。ライブパフォーマンス審査でバンドとしてパフォーマンスしてみてすごく気持ちよかったです。その後、速攻でエレキギターを買って、今練習しています(笑)。

ーー歌う時に大事にしていることは?

成山:いかに自分の気持ちや思いを聴き手に伝えられるかですね。気持ちを伝えるためにはまず自分が気持ちよく歌えなければならないと思っていて。作曲ではその時の自分に一番合っているメロディを探して歌詞を乗せていきます。歌詞もめちゃくちゃ考えるんですけど、できる限り素直な気持ちを書くようにしてます。嘘だと曲にもそれが滲み出てしまうと思うので。

ーー歌手としての今後の課題は?

成山:ギターも去年の4月から始めたばかりなので、まだ自分の理想の音楽と演奏技術が噛み合っていないんです。自分のやりたいことを表現できないのは悔しくて、ひたすら弾きまくってます。今は作曲よりも楽器と向き合う時間を大切にしています。オーディションに参加して、まだまだひよっこだなと実感しています。

ーーオーディションに合格した際に目指したいアーティスト像は?

成山:なんですかね……僕の曲が聴いてくれる人の日常の一部になってほしい。そういう曲を作っていけるアーティストになりたいです。それに僕はスポーツをたくさんしていたおかげか、人と人との繋がりの大切さみたいなものは分かっていて。きっと良い音楽も人と人との繋がりでできるものだと思うので、そこは変わらず大切にしていきたいですね。それに仮にオーディションが不合格だったとしても、僕は何も変わらないと思います。逆に、けっこう今の時点で満足しているというか。真面目に音楽に取り組めている人と出会えたことが僕の音楽人生において大収穫です。

きゃない「自分の中にくくりは作りたくない」

ーー4000人に迫る応募者の中から6名まで残れましたが、今の心境は?

きゃない:始めは自分が絶対に受かってやるという感じでしたが、ここまで来るとだいぶ心境も変わってきていて、今は他の参加者の方へのリスペクトが強いです。

ーーどうしてここまで勝ち抜けたと思いますか?

きゃない:スタッフの方からは「キャラが良いよね」とよく言われました。やっぱり、人間臭さみたいなものを強く持っている人はそれだけで印象に残りやすいですよね。純粋な歌の力とあわせて、そういう人間性は審査にも大きく響いている部分だと思います。

ーー参加者の方からもよくきゃないさんのお話をよく聞きます。小さい頃からムードメーカー的な役割を担ってきたタイプですか?

きゃない:一度決めたことは貫くし、負けず嫌いで、子どもの頃は周りから変わった子だと思われていたと思います。小中学校の頃はいじめられっ子だったんですけど、その当時も自分が周りに合わせられないことが悪いとは絶対に思っていなくて。むしろ、こういう自分をどうしたら周りの人に理解してもらえるんだろうって考えていった結果、上手くそれを相手に伝えられるようになったんだと思います。

ーーデュオ審査でタッグを組んだ野嵜豊さんは「すごく頼りになる」と言っていました。

きゃない:自分の行動には必ずそうすべき理由があると思って生きているので、大体のことは「自分は悪くない」と思っているんです。「自分の何が間違っているのかがわからない」と心の底から思っていることが、第三者からすると自信があるように見えるのかもしれないですね。それに誰かの下に付くのも嫌で、いわゆる普通の会社では働きたくない。だから1年以上、路上ライブのお金だけで生活してきました。そういう部分も頼り甲斐があると感じてもらえるのかも。

ーー音楽をはじめたきっかけは?

きゃない:小学生くらいの頃からずっと歌うのは好きで、中学からは学校を休んで週4でカラオケに通っていました。それから高校で軽音部に入って、そこで出会った友人とフェイクブルーを結成したんです。本格的に作詞作曲も始めたのも、その頃ですね。周りからパワフルな歌声と言われることがあるんですけど、肺活量や歌の力強さは中学時代のカラオケ通いで培われたものかもしれませんね。

ーーオリジナル曲で審査に臨んでいましたが、そこもポイントが高かったと思います。

きゃない:オリジナル曲には自信があって、それこそ他の参加者には負けないクオリティだと思っています。なのでオリジナルで勝負することに迷いはなかったんです。歌詞にもこだわりがあって。普通の歌詞を歌うのは嫌だけど、尖ったことを歌いたいわけではない。みんなが日常の中で妥協して見落としがちな部分をあえてほじくるような歌詞を考えています。

ーーオーディションを通して学んだ点はありますか?

きゃない:自分を今まで支えてきた歌い方や独特のクセみたいなものがあるんですけど、そこに頼っていたがゆえにおざなりにしてきた部分もあって。ビブラートひとつにしても、「それでは日本語が死んでしまう」と指摘されることもありました。どちらが正しいのかはきっと曲によって違うと思うんですけど、すべてが両立していないとプロとは言えないと思うので、発音や言葉のひとつひとつを大切に歌うことは意識するようになりました。

ーーご自身の課題はどうですか?

きゃない:きっと、本当の意味で自分の課題を見つけられている人は、それを突破するために突き進んで、勝手に売れていくと思います。でも、僕はまだ未熟だから、それこそこういう審査を通して自分の魅力を見極めてもらっている状況で。乗り越えるべき本当の課題も、このオーディションを通して見つけていけたらと思います。

ーーでは、オーディションを勝ち抜いた後、目指すべきアーティスト像はありますか?

きゃない:漠然としてますが、圧倒的な存在になりたいとは思います。今の時代、万人に受け入れられるのって難しいと思うんです。その中で国民的なアーティストになっていくのは難しいことだとは思うんですけど、そこに近づくためのボーカル力や作曲力はあると信じています。それに自分の中にくくりは作りたくないですね。みんなに受け入れられる人は、特定の色だけでなく、虹色のような人だと思うので。いろんな色を持っていて、混ざって濁ることもあれば、光ることもある。そういう歌を歌える存在になりたいです。

MASAZAYN「4年以内にエド・シーランとコラボする」

ーー音楽をはじめたのはいつ頃からですか?

MASAZAYN:本格的に弾き語りを始めたのは2019年の4月からです。ギター自体はその1年前くらいからですね。おじいちゃんになった時に孫と楽しめる趣味がほしいと思って。

ーー(笑)。歌手になりたいからギターを買ったではないんですね。

MASAZAYN:その当時は、すごい歌手になりたいとは思ってなかったですね。一度、中学生くらいの頃に歌声を褒められて、もしかしたら歌手になれるかもと思ったことはあります。でも、その時は“売れる歌手”になれるとは思わなかったんでやめたんです。けっこう保守的で、普通にサラリーマンになろう、と。

ーーでは、なぜ今は歌手を目指そうと?

MASAZAYN:ギターがある程度弾けるようになったことと、時代が変わったことが大きいです。YouTubeやInstagramとか、今は自分でメディアを動かせるようになったので。そういうものが昔はなかったけど、今の環境なら自分次第でできることはあると思って。でも、音楽を始めた当初は、ミュージシャンになって投資家に投資してもらって会社を作る計画で始めたんです。もちろん、今は音楽に対して情熱を持って向き合っていますが、最初の頃はいかに有名になるのかということばかりを考えていましたね。

ーー他の方々とは根本的に考え方が違うんですね。

MASAZAYN:でも、歌はもともと好きで。親の影響もあってスティービー・ワンダーやジョン・コルトレーンとか、洋楽でも神様的な扱いを受けるアーティストの曲を聞いて育ってきたんです。そういう音楽を小さい頃に聴いているうちに、僕もそういう人たちと同じように歌いたいと思い始めて。だから歌に関しては上手い下手という基準よりも、いかに自分が好きなアーティストに近づけるのか。比較相手が神様みたいな人たちだったから、自分がカッコイイと納得できるようになりたいと思って歌い続けてきました。

ーーまだ始めてから日も浅いのに、自分のカラーがちゃんと出ていますよね。飲み込みは早い方なんですか?

MASAZAYN:昔からある程度までは何でもできるタイプで。親から「やらなければいけないことは、どうあってもやらなければならない」という教育を受けてきて。勉強、スポーツ、家事……すべて苦手というほどのものはないんですけど、逆に極められるものにも出会えてこなかったんです。で、初めて出会えたのが音楽。それからは夢中で、きっとここにいる誰よりも音楽に触れていると思います。普段からずっとイヤホンで音楽を聴いているし、そうじゃない時は楽器を弾いたり、歌っていますし。

ーーオーディションを受けたきっかけは?

MASAZAYN:個人的な考えとしては、音楽に夢中になると友達を無くすと思っていて。音楽に拘束時間を取られてしまって、人付き合いが悪くなるというか。そういう自分の気持ちをわかってくれる仲間がほしかった、という理由が一番大きいですね。

ーーライバルであり、仲間でもある方々に出会えましたね。

MASAZAYN:本当にそこは嬉しいです。ただ、変な意味ではなくてライバルとは思っていなくて。きっと、ここまで残る人はそれぞれの土俵があって、そこで比べるものでもないのかなと。僕は僕の土俵でトップを取れるように頑張るし、他の人も同じだと思っています。もしオーディションに落ちたとしても、Zeppのステージに立てなかった、目標を達成できなかった悔しさはあると思うけど、「特定の誰かに負けた」という悔しさは湧いてこないと思います。

ーーあくまで自分との戦いということですね。子どものころからストイックなタイプなんですか?

MASAZAYN:小さい頃は普通のシャイな子どもでしたね。こういう人前に出るのも苦手でした。でも、ある時を境に何かで成功したいと思ったんです。成功する人はバズっている、バズるためには目立つことが大事、目立つなら恥ずかしがっている場合じゃないーーその次の日からシャイじゃなくなりました。

ーー一度決めたら切り替えも早いし、貫くんですね。直近の目標はZeppに立つことだと思いますが、先々ではどうですか?

MASAZAYN:4月に就活するか、ずっと好きなことだけをやっていくか真剣に悩んで、音楽で成功すると覚悟を決めてこの道を選んだので、結果がどうあっても音楽をやめることは絶対にないと思います。そう決めた時に立てた目標が、2年以内にメジャーデビューすること。そして、4年以内にエド・シーランとコラボすることなんです。今はその目標を達成するためにやるべきことをひたすらやっている状況で、それはこれからも変わらないと思います。

ーー現段階では高い目標にも思えますが、目指す過程でモチベーションは下がりませんか?

MASAZAYN:ギターを上手く弾けなかったり、思うように行かない時はモチベーションが下がります。けど、たとえやりたくなくなったとしても、やる。あまり理解されないんですけど、歌うこともギターを弾くことも歯を磨くことと一緒で、どんな気分でも毎日続けることだと思っていて。そういう人が、きっと成功していくんだと思っています。

■オーディション情報
『ONE in a Billion』
<概要>
世界で活躍をする次世代の才能を探し出すオーディションブランド『ONE in a Billion』2019年9月より始まる第1シーズンは“声”をテーマに、男性ヴォーカリストを募集。オーディションの様子は番組公式アンバサダーにスカイピース、番組公式MCにガーリィレコードチャンネルをむかえ、YouTubeチャンネルにて10月25日より配信開始。グランプリは2020年春、ソニーミュージックよりメジャーデビュー。

公式サイト
公式YouTube チャンネル

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