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上白石萌音と清原果耶、共通点は歌声の“透明感”に それぞれの作品における清らかな音楽世界

リアルサウンド

20/9/16(水) 12:00

 人気女優の音楽活動、というのは定番化した活動のひとつだ。音楽活動での経験を俳優業にフィードバックしたり、逆に俳優業での経験を音楽活動へフィードバックさせたりと、その活躍の仕方は様々だ。本稿では、今まさに注目を集める人気若手2人の音楽活動をピックアップ。彼女たちの魅力を解剖していこうと思う。

 今年1月から放送されたドラマ『恋は続くよどこまでも』では主演の佐倉七瀬役を務めるなど、圧倒的な存在感を放つ上白石萌音。そんな彼女のオリジナルアルバム『note』には、チャットモンチー済の橋本絵莉子、YUKI、松任谷正隆、いきものがかりの水野良樹、andropの内澤崇仁、GLIM SPANKY、ゲスの極み乙女。の休日課長、RADWIMPSの野田洋次郎など、現在の音楽シーンを牽引する錚々たるミュージシャンが楽曲提供や演奏で参加している。そんな音楽家たちが彼女のために作り上げた楽曲は個性に溢れるものばかり。GLIM SPANKYが制作した「From The Seeds」における、バンドの代名詞でもあるブルースロックっぷりや、RADWIMPS・野田による「一縷」における、彼の記名性の高いメロディは、一聴しただけで作者が分かってしまうほどにオリジナリティに満ちている。

上白石萌音 – 「From The Seeds」(Full Ver.)
【好評配信中】上白石萌音「一縷」(映画『楽園』コラボMV)

 そんな個性的な曲たちを真正面から受け取り、透明感のある歌声で寄り添う上白石。演じるように歌う彼女の歌い様は、様々な役を演じる彼女の表現力の高さも彷彿とさせる。橋本絵莉子が制作した「白い泥」は、アニメ『メジャー セカンド』の主題歌であることも相まって、青春の瑞々しさと一瞬の煌めきが零れるギターポップに仕上がった。「土砂降り」には休日課長がベース演奏で、ポルノグラフィティなどのサポートも務めるプロデューサー、宗本康兵が作・編曲で参加。跳ねるように軽やかなピアノの旋律を聞いていると、雨の中で長靴を履き、傘を差しながらスキップをする彼女の姿が思い浮かぶようだ。

上白石萌音「白い泥」MV (ショートVer.) & 8/26発売Album「note」トレーラー映像

 上白石作詞の「あくび」には松任谷正隆がエレクトリックピアノ、ハモンドオルガンの演奏で参加。同じく松任谷正隆が編曲した「やさしさに包まれたなら」(松任谷由実)を彷彿とさせるアコースティックギターの音色と、上白石のさりげない日々を切り取った詞は、日常が続くことの尊さをリスナーに導いてくれる。どの曲も作者の個性を残しつつも、上白石萌音というシンガーの魅力を存分に引き出している。聞き手の心に沈む暗澹とした気持ちを浄化させる、優しさに満ちた彼女の歌声は必聴だ。

 透明感のある歌声のシンガーといえば清原果耶にも注目したい。公開中の映画『宇宙でいちばんあかるい屋根』で主演を務める清原。この映画の主題歌はシンガーソングライター・Coccoが作詞作曲プロデュースをし、清原自身が歌唱を務める「今とあの頃の僕ら」。彼女の1stシングル曲でもある同曲は、シンプルなピアノの旋律が生み出す壮大な情景が印象的な1曲だ。演奏中盤からグッと音数が増えるダイナミックなアレンジは、選び抜かれた歌詞のフレーズを大切に、そして噛み締めるように放つ彼女の歌との親和性も高く、その壮麗な世界観は聴く者を惹き付けて止まない。

清原果耶 – 1st Single「今とあの頃の僕ら 」(Music Video)

 また、1stシングルのカップリングに収録された「君に見せる景色」は、ピアノサウンドを中心に据えながらも歪んだギターが絡み合う、重厚なサウンドが印象的な1曲。この曲のミュージックビデオでは清原がコンテンポラリーダンスを披露したことも話題となっている。コレオグラファーにパフォーマンスグループ、s**t kingzのOguriをフィーチャー。清原の持つしなやかな身体性とそれに裏打ちされた表現力が前面に押し出されたダンスは、一見しただけでその凄みに圧倒される。彼女の透明感のある真っ直ぐな歌声、そして迫真のダンスに秘められたタフな情熱を感じて欲しい。

清原果耶 – 「君に見せる景色 」(Music Video)

  上白石萌音、清原果耶。この2人に共通する魅力は歌声の透明感だ。上白石の温もりのある瑞々しい歌声と、清原の力強さに溢れ凛とした歌声。何にも穢れていない、清く伸びやかで透き通るような彼女たちの歌声は、聴く者を魅了する表現力と表現者としての誠実さに溢れている。彼女たちが生み出す混じり気の無い清らかな音楽世界をぜひ堪能してほしい。

■ふじもと
1994年生まれ、愛知県在住のカルチャーライター。ブログ「Hello,CULTURE」でポップスとロックを中心としたコラム、ライブレポ、ディスクレビュー等を執筆。
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