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高橋一生×斎藤工×滝藤賢一が悪戦苦闘の末に掴むものは? 『東京独身男子』早くも結婚に向けて奔走

リアルサウンド

19/4/14(日) 12:00

 あえて結婚しない男=“AK男子”という新たなワードを引っ提げ、昨年社会現象を巻き起こした『おっさんずラブ』と同じテレビ朝日系「土曜ナイトドラマ」枠で、同じように3人の男たちを軸にした現代的な恋愛観と結婚観をテーマに据えた『東京独身男子』が4月13日からスタートした。とはいえ、見た目も仕事もハイスペックな3人の男たちが、結婚という社会制度とそれに伴うイメージに縛られることなく独身ライフを謳歌しつづける物語なのだと思いきや、どうやら彼らが人生の転機を迎え、結婚に向けて奔走していく物語となるようだ。

参考:抱き合う高橋一生×斎藤工×滝藤賢一

 本作の主人公となるのはメガバンクに勤務する37歳の石橋太郎(高橋一生)。抜群の分析力と観察眼の持ち主である彼は、すぐに女性を見定めようとしてしまう性格が災いし、なかなか恋愛に踏み切ることのできない“こじらせ男子”。審美歯科の院長をする三好(斎藤工)と、兄貴分でもある弁護士の岩倉(滝藤賢一)とつるみながら独身ライフを謳歌していた。しかしそんな折、3年前に別れた元恋人・舞衣(高橋メアリージュン)と再会。一度は結婚を考えた相手との再会をきっかけに、彼女との結婚を考えるようになる。

 「結婚は女に自由を与え、男から自由を奪う」と高らかに唱えていた男たちが、たちまち
結婚に向けて悪戦苦闘するという様変わりの仕方は実に可笑しくもある一方で、はてこのドラマが目指すところは一体どこなのだろうかという疑問が早くも浮かび上がってしまう。社会的にハイスペックである一方で、いささか自尊心が高く、性格に難ありでホモソーシャルに依拠した男たちが、心情をころころと変化させていく第1話。舞衣との再会に浮かれ→彼女が自分を覚えていないということに落ち込み→実はそれが嘘だったと知り→しかし彼女に別の相手がいることを知り傷付き→「次に付き合う人と結婚する」と決めるのもつかの間、舞衣がその相手とうまくいっていないことを知ると電話で結婚を申し出る。太郎ひとり取っても、その感情の変化はかなりめまぐるしい。

 また岩倉も、父親が病に倒れたことを知らされ、介護をしてくれる人を求めて恋人にプロポーズするも断られてしまう。そして三好は、一度結婚に失敗した経験によって断固として「結婚しない」という意志を貫こうとするものの、突如訪れた性機能の異変によって考えを改めることが予感される。いずれにしても、彼らの結婚に踏み出す動機が極めて自己本位であり(それが現代の男性像だと言われれば否定できない部分ではあるが)、その根本的な考えを改めないまま「結婚」にこぎつけてしまってはあまりにも前近代的な様相に留まってしまうであろうし、「結局結婚できませんでした」となったらあまりにも不透明に陥ってしまうという難しさが垣間見える。

 ここで思い出されるのは、2006年に人気を博した阿部寛主演のドラマ『結婚できない男』(フジテレビ系)だ。高スペック&性格に難ありの主人公が結婚に向き合うという点で本作と共通している部分はあるが、徹底して結婚を拒絶しつづけ自由な独身生活を謳歌するユニークさ、そして徹底してその“結婚しない”という意志が最後の最後まで貫き通されていたことに大きな魅力があった。それから13年という歳月が経ち“多様性”という至極当たり前の概念が大きく取りざたされる昨今で、本作の主人公たちが最初に持ち合わせていた脆弱な“あえて結婚しない”論が、どのように“結婚”という方向へ組み直されていくのか。この放送枠の通例通り全7話で進むのならば、次回以降も二転三転した急展開が待っていることだろう。 (文=久保田和馬)

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