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佐藤健の“魔王”ぶり、なぜ惹かれる? 『花男』から『恋つづ』まで“王道ドSキャラ”を徹底解析

リアルサウンド

20/1/28(火) 10:00

 恋愛ドラマには様々なタイプのヒーローが登場する。王子様のように優しく完璧、自分勝手で利己主義だがいざという時に守ってくれる、子犬のように可愛らしい魅力のある……など、昨今は様々なキャラが活躍した。今クールでは『恋はつづくよどこまでも』(TBS系)の天堂浬(佐藤健)や『知らなくていいコト』(日本テレビ系)の尾高由一郎(柄本佑)などが女性ウケのいいヒーロー像として挙げられるだろう。

【写真】『花のち晴れ』で“ヘタレ”なドS男子を演じた平野紫耀

 特に天堂は、恋愛ドラマで多い“ドS”要素のあるヒーロー。きつい言動でヒロインに当たりつつも、本当は優しく誰よりもヒロインを大切に思う“ドS”キャラは恋愛ドラマではもはや定番。過去にも多くの作品でそのポジションを担った俳優たち/キャラクターにフィーチャーしたい。

■ハイスペックドSの天堂浬/『恋はつづくよどこまでも』(TBS系)

 容姿端麗、医師としての実力も折り紙つきだが、院内では「魔王」というあだ名まで付いている筋金入りのドSキャラ・天堂。天堂はヒロインに対して、仕事でもプライベートでもきつい言動で接するが、実は愛情深く優しい一面も持つ。なんだかんだ言いつつ、七瀬(上白石萌音)を気にかける天堂の姿にキュンとしてしまう視聴者も多いはず。演じる佐藤は柔らかい笑顔を見せる天堂と、ストイックに仕事をする天堂の二面性を器用に演じ分けている。

■ドSの金字塔! 道明寺司/『花より男子』シリーズ(TBS系)

 “俺様系”といってパッと思い浮かぶキャラクターこそ、道明寺司ではないだろうか。2005年から放送されたドラマでは嵐の松本潤が演じ、爆発的ヒットとなった。本作では対極のキャラクターとして小栗旬演じる花沢類が登場する。花沢は道明寺と真逆の優しく穏やかな王子様タイプ。対極に位置するキャラクターの投入で、道明寺の個性をより強く打ち出した作品だ。口が悪く、ぶっきらぼうな道明寺だが、どこか抜けていて可愛げのある姿はヒロインのつくし(井上真央)だけでなく、世の女性たちを虜にした。きつい言動とは裏腹に、ヒロインにピュアな恋心を向ける姿はドSキャラの鑑。まさにドSの王道をいくヒーロー像だろう。

■ニュージェネレーションな魅力、神楽木晴/『花のち晴れ~花男 Next Season~』(TBS系)

 前述の『花男』の続編として制作された『花晴れ』は、F4が卒業してから10年後の英徳学園を舞台に描かれるラブコメディ。F4の道明寺をオマージュしたキャラクターとして神楽木晴(平野紫耀)が登場した。時代の価値観も変わってか、ドSとしての言動のキツさはややマイルドになり、“天然”ぶりや“ヘタレ”ぶりがグレードアップしたキャラクターに。いずれにしても“ギャップ”が重要な恋愛ドラマにおいて、ヘタレという強烈な個性で視聴者を魅了した。この作品で平野は大ブレイクするなど、『花男』シリーズ同様、影響力の強い作品となった。

■大人のドSも人気に、黒沢歩/『ダメな私に恋してください』(TBS系)

 深田恭子がヒロインを務める王道ラブコメ『ダメ恋』ではディーン・フジオカ演じる黒沢歩が大人の魅力溢れるドSキャラを演じた。ヒロイン・柴田ミチコは職なし、金なし、彼氏なしで貢ぎ体質の30歳という強烈なキャラクター。そんなミチコを甲斐甲斐しく世話し、ひょんなことから同居していた黒沢は大人女子の憧れとも言える存在だった。ドSらしくきつい口調や態度はありつつも、仕事への能力の高さや、家事など生活力も高い。一方で、長い間複雑な恋心を抱えていたなど思わず“守ってあげたくなる”魅力さえ兼ね備えている。前述の2作に比べ、スペックや価値観が大人の女性向け。同じドSでも、年齢や時代によってキャラクターの兼ね備えたスペックは変化していることがわかる。

 さらに他の作品では、『美男ですね』(TBS系)、『のだめカンタービレ』(フジテレビ系)などもヒーローのドSキャラで人気を博した。多くは、優しくヒロインを包み込む“王子様タイプ”の男性が登場し、ヒロインは二人のあいだで揺れ動くという展開がベタで、「どっちのキャラクターが好みだった?」など視聴者同士で意見交換したくなる。会話のネタになりやすい展開が多いからこそ、話題に上ることも多いのだろう。

 また、物語内に“王子様”キャラを配置することで、ドSキャラが苦手な人への配慮もされている。恋愛モノで定番キャラと言いつつも、“ドS”や“俺様”がヒロインに対してのキツい態度や言動は時に批判の対象になってしまう。不快なことを言われるのが辛い、上から目線でリードされることに抵抗を感じることもあるからだ。どんな好みを持った視聴者でも楽しめるように、ドSキャラの登場する作品の多くには、多種多様な個性の男性が登場する傾向にある。

 一方で、これほどクセがありながら、なぜドSキャラに惹かれてしまうのだろうか。その理由の大半はやはり“ギャップ”の魅力が挙げられるだろう。多くはただ意地悪なだけでなく、強い愛情や、切ない過去、素直になれないだけで実は優しいなど、重要なバックボーンが隠されていることが多い。こちらだって何もただキツいだけの男性に惹かれているわけではないのだ。さらにその雄々しく攻撃的な態度が外に向かえば、身を挺して戦ってくれるケースも多い。ピンチの時に助けてくれる存在に惹かれるのはよくあることだろう。こうした魅力で“ドS”キャラは独自の居場所を確立していった。必ずしも全ての視聴者にとって理想的ではないが、独特の個性で作品を盛り上げていることは間違いないだろう。

(Nana Numoto)

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