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ジェイムス・ブレイク、ボノ、エルトン、テイラー……自宅配信などで新型コロナウイルスの脅威に立ち向かう海外ミュージシャン

リアルサウンド

20/4/7(火) 12:00

 全世界で猛威をふるっている新型コロナウイルス。その影響は政治や経済だけにとどまらず、音楽の世界にまで波及している。開催予定のライブやイベントは軒並み延期や中止を余儀なくされ、残念な気持ちを抱いている方も多いのではないだろうか。ライブやイベント自粛の動きは日本国内だけでなく、世界各地でも起こっており、数多くのアーティストが表現の場を失っている。

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 例えば、アメリカ・カリフォルニア州で4月に開催予定だった世界最大規模の音楽フェス『Coachella Valley Music & Arts Festival』が10月に延期され、イギリスの老舗音楽フェスで今年50周年を迎えるはずだった『Glastonbury Festival』は中止となっている。

 このような暗いニュースが飛び交う中、ライブ配信を新たな表現の場として活用するミュージシャンが増えてきているようだ。中でもInstagramのライブ配信機能を利用するアーティストが多く、気軽に自宅から配信を行っている。イギリスのシンガーソングライターで音楽プロデューサーのジェイムス・ブレイクは自宅からピアノの弾き語りをInstagramで配信しており、ラフな雰囲気とは裏腹に緊張感のある繊細な歌声を届けてくれた。自身の楽曲だけでなく、ビリー・アイリッシュの「When The Party’s Over」やRadioheadの「No Surprises」などカバー曲も数多く披露されファンを唸らせた。

 オーストラリアのシンガーソングライター、ステラ・ドネリーもInstagramからライブ配信を行った一人だ。いつも通りの無邪気な笑顔でカメラの前に登場した彼女はアコースティックギターを片手に「Tricks」など数曲を演奏。スマートフォンで配信しているがゆえの狭い画角の隅々まで動き回る姿と溢れんばかりの生命感に満ちた歌声に元気づけられたのは筆者だけではないだろう。

 Instagramから新曲を届けてくれたのはU2のフロントマンで活動家のボノだ。外出禁止が続くイタリアの人々に向けて、最前線で働く医療関係者への励ましのメッセージと共に新曲「Let Your Love Be Known」を演奏する動画を投稿した。

 自宅待機を呼びかけるInstagramのハッシュタグ「#TogetherAtHome」にも多くのアーティストが賛同し、パフォーマンスを投稿している。イギリスのロックバンド・Coldplayのクリス・マーティンや、アメリカのR&Bシンガー、ジョン・レジェンドもこの呼びかけに応じ、自宅待機を応援しながらアコースティックセッションを届けてくれている。

 アーティストによるライブ配信のムーブメントはますます大きくなっている。このムーブメントの旗振り役となっているのは映画『ロケットマン』でも注目を浴びた、イギリスの伝説的シンガーソングライター、エルトン・ジョンだ。彼は新型コロナウイルス感染者の治療にあたっている医療関係者を支援するチャリティー番組『iHeart Living Room Concert for America』を主催しており、アーティストはそれぞれ自宅のリビングルームからスマホで出演することになっている。この番組の趣旨にアリシア・キーズ、ビリー・アイリッシュ、デイヴ・グロール、サム・スミス、マライア・キャリーなどの豪華なメンバーが賛同し、パフォーマンスを披露してくれた。番組の最初に登場したアリシア・キーズはピアノの弾き語りで「Underdog」を演奏。「この歌は祈り。我々がどれほど困難に打ち勝ってきたか思い出してほしい」と呼びかけた。

 滞在先のハワイからパフォーマンスを届けてくれたのはデイヴ・グロール。自らがフロントマンを務めるロックバンド・Foo Fightersの名曲「My Hero」をアコースティックギターによる弾き語りで力強く歌い上げた。彼が吐き出す目一杯のスクリームは閉塞感漂う世界に一筋の太い光を示してくれたように感じる。

 スマートフォンによる撮影や自宅のリビングルームでの演奏といった限られた環境で行われたにも関わらず、どのパフォーマンスもそのハンディキャップを感じさせないほどのクオリティと表現力。あらためて出演アーティストのプロフェッショナリズムと音楽の力を感じずにはいられなかった。

 新型コロナウイルスに関するアーティストのアクションはライブ配信だけにとどまらない。アメリカのラッパーで実業家のJay-Zと歌手のリアーナは新型コロナウイルスの影響を受けた人々を支援するため、それぞれ100万ドルを寄付した。テイラー・スウィフトやアリアナ・グランデもSNSを通じ、経済的に新型コロナウイルスの影響を受けたファンに対して個人的な寄付を行っている。支援を必要としている個人を募り、個別で寄付を行う現象はSNSが発展した現代ならではの動きだろう。

 支援の輪は音楽ストリーミングサービス「Spotify」にも広がっている。Spotifyでは新型コロナウイルスの影響を受けている音楽関係者に向けて「COVID-19 Music Relief」というプロジェクトを立ち上げ、寄付を募っている。ユーザーは指定されたいくつかの音楽団体に寄付できる仕組みだ。

 新型コロナウイルスによる音楽業界への影響はまだまだ拡大していくだろう。今後アーティストや音楽業界のリアクションも増えていくはずだ。不安や心配なく音楽を心から楽しめる日が来るまで、新型コロナウイルスの収束を願いながら動向をチェックし続けていきたい。音楽はどのような状況下でも鳴り続けるのだ。(Z11)

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