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平井堅、毎年恒例『Ken’s Bar』を全編モノクロ映像で配信

ぴあ

『Ken’s Bar 2021 -ONLINE-』より 写真:上飯坂一

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平井堅がトータルプロデュースを務め、自身のライフワークとして1998年から開催しているアコースティック編成のコンセプトライブがクリスマスイブの夜に配信された。

この『Ken’s Bar 2021 -ONLINE-』は平井堅にとって二度目となる無観客の配信ライブ。前回の開催は去年の12月23日、同じくクリスマスのタイミングだったが、今年は新しい試みを取り入れたことで、一年前とは趣を異にする配信ライブとなった。

会場の壁にデコレートされた“Ken’s Bar”の電飾文字と、その手前でゆらゆらと揺れるキャンドルの炎が映し出されて始まった『Ken’s Bar 2021 -ONLINE-』。会場をバーに見立てて行われるライブ、だからとりわけめずらしいシーンというわけではないが、それはモノクロで、しかもこの演出は最後まで続くこととなる。誰も体感したことのない全編モノクロの『Ken’s Bar』は配信ならではの試みであり、意図的に彩りを排除したアイデアはじつに斬新なものとしてファンの目に映ったのではないだろうか。

1曲目は「#302」。2019年のシングル曲だが、今年5月に発表された10枚目のオリジナルアルバム『あなたになりたかった』の収録曲でもある。 カラオケボックスという密室を舞台にしたミディアムバラードのラブソングで、アコースティックギターだけをバックに、アレンジは原曲同様シンプルに、そして静かに展開していくものだった。カメラもシンプルで、正面からのアングルを軸にじっくりと平井堅の表情を捉え、モノクロならではの陰影が、カラー映像では感じることができない平井堅のクールさをしっかりと伝えていた。

2曲目は『Ken’s Bar』のお楽しみのひとつであるカバーソングの披露で、アメリカのコーラスグループ、ドリフターズのスタンダード「ラストダンスは私に」。日本では1961年に発表された越路吹雪によるカバーが有名だが、平井堅が歌ったのはその日本語バージョン。ピアニカだけをバックにしたフレンチポップ風のアレンジで、映像はモノクロだが、歌と演奏でライブが徐々に彩られていくことにふと気づくパフォーマンスでもあった。

すると、「『Ken’s Bar』へようこそ。平井堅です」と挨拶が始まり、「一年ぶりですけれども、みなさんお元気でしょうか。画面越しでちょっと寂しいけれども」と、まだ無観客は慣れない様子。しかし、「顔は見えども、ひとりひとりのハートに届くよう精一杯、100%……それ以上の心を込めて歌いたいと思います」と意気を伝え、さらには「最後まで一所懸命歌います。楽しんでおくれ、画面越しのボーイズ&ガールズ!」と付け加え、そして歌われたのが「鬼になりました」。

アルバム『あなたになりたかった』収録曲で、今回のライブで初披露となった平井堅の最新ナンバーのひとつである。序盤の2曲とは違い、短時間でカメラが切り替わる「動」の映像演出が印象的だ。この曲には心に傷を持った主人公が登場するのだが、続く4曲目の「the flower is you」は大切な君を懸命に励ます歌であり、5曲目の「君の好きなとこ」は恋愛絶頂期のほのぼのとした恋人同士の歌、6曲目の「知らないんでしょ?」はこれまた心に傷を持った主人公が登場する歌、とさまざまなテーマを持った楽曲をまるでジェットコースターに乗ったかのように次々と楽しむことができるのが平井堅のライブであり、そしてそれは平井堅の作品が持つ大きな魅力でもある。そして二部構成の『Ken’s Bar』のファーストステージは、亡き父について歌った「写真」で感動的に締め括られた。

「新しい平井堅に出会えるために技術、感性を磨いていく」

しばしのブレイクのあと、セカンドステージは会場を俯瞰で捉えた映像で始まった。小さな円形ステージを取り囲むようにバンドメンバーの楽器が配置され、さらにはそれらを取り囲むようにバーカウンター、そしてテーブルが設置されている。有観客の『Ken’s Bar』とはまったく違うレイアウト、これも無観客の配信ライブならではのものといえる。

そのセカンドステージ1曲目は『Ken’s Bar』のテーマソングでもある「half of me」 。2009年にライブで初披露されるも、しばらく音源化されなかったが、2018年にシングルCDでリリースされ、最新アルバム『あなたになりたかった』にも収録された。

続いてはカバーで、今度は邦楽。今田耕司の音楽プロジェクト、KOJI1200のヒットナンバー「ナウロマンティック」で、リリースされたのは平井堅がデビューした1995年のことだった。

セカンドステージに入っても平井堅は「いまだに慣れないです、この静寂の中でやるのはとっても緊張します、がんばって歌っています」と、無観客配信ライブに対する違和感を語ったが、そこで一年ぶりの開催となったライブ『Ken’s Bar 2021 -ONLINE-』の「準備」についても話してくれた。

「ぜんせん歌っていないのでちょっと焦ってカラオケボックスに100回くらい……毎日、都内中のカラオケボックスに全部行ったんじゃないかというくらい自主練をしていました。いつもはお酒を頼みますが、練習なのでホット緑茶を頼んで、すると店員さんがドリンクを持って来てくださるんですが、自分の曲を必死で、汗をかきながら歌っているときに来ることもあって、お互い半笑いで、恥ずかしい思いで練習しました(笑)」

そして再び最新アルバム『あなたになりたかった』収録曲。「僕は他人に執着しない」「執着がないことが虚無感に繋がる」「僕は虚無の状態が多い」「この曲の主人公のように他人に執着することがうらやましいと思いながら書いた曲」と紹介して歌ったのは「ポリエステルの女」。こちらもライブ初披露で、それまで平井堅と楽器ひとつというシンプルな編成だったが、ここからはベースとパーカッション、続く「K.O.L.」ではさらにエレキギターも加わり、サウンドに厚みが増していった。

厚みだけでなく、変化もあった。「かわいいの妖怪」「KISS OF LIFE」ではエレクトリックピアノも加わった。こちらも新しい試みで、いつもはアコースティックピアノなので、エレクトリックピアノの音色が新鮮な『Ken’s Bar』のサウンドを演出。さらには、「KISS OF LIFE」では大量のシャボン玉が放たれ、これが照明のあたり方によっては風に舞う雪のようにも見え、これも配信ライブならではのアイデアだったといえる。

最後に平井堅は「今年、去年と、あまりテレビに出なくなった、寂しい、という(ファンの)声も耳に入っております。申し訳ない気持ちはあります」と現状の活動状況をふまえたコメントを残した。

平井堅は2022年1月17日に50歳を迎えるのだが、「ちょっと立ち止まってみたいなという気持ちがあります。これから50代、60代になっていく歌手・平井堅としてどんな歌を歌えばいいのかを模索していくために、新しい平井堅に出会えるために技術、感性を磨いて、その歳その歳のいい曲を作ることも大事なのかなと思う今日この頃です」と、今後の音楽活動について語った。

「いろんな音楽を聴いて、いろんな美しいものを見て、自分の目と耳と心にたくさん栄養を与えて、またみなさんにお目にかかりたいと思っています」というと、2004年発表のアルバム『SENTIMENTALovers』のラストナンバー「センチメンタル」を熱唱し、平井堅はステージをあとにした。

さて、次に平井堅がライブを開催するのは、新曲を発表するのはいつになるのだろうか。我々は新しい色に染まった平井堅を待つしかないのだが、『Ken’s Bar 2021 -ONLINE-』が全編モノクロで配信されたのは、そういう意味が込められていたのかもしれない。

<公演情報>
『Ken’s Bar 2021 -ONLINE-』

【セットリスト】
■ACT1
01. #302
02. ラストダンスは私に
03. 鬼になりました
04. the flower is you
05. 君の好きなとこ
06. 知らないんでしょ?
07. 写真

■ACT2
01. half of me
02. ナウロマンティック
03. ポリエスルの女
04. K.O.L
05. かわいいの妖怪
06. KISS OF LIFE
07. センチメンタル

<配信情報>
『Ken’s Bar 2021 -ONLINE-』

アーカイブ配信期間:12月30日(木) 23:59まで

【チケット料金】
■ファンクラブ Kh(+) 会員限定視聴チケット(特典付き):4,000円(税込)
■視聴チケット:4,000円(税込)
販売期間:11月26日(金) 12:00~12月30日(木) 19:00

■平井 堅 Offisial Website
http://www.kenhirai.net

■平井 堅 公式Instagram
https://www.instagram.com/hiraiken_official/

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