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第21回東京フィルメックス、コンペ部門に『泣く子はいねぇが』他日本映画4作品で過去最多

ぴあ

作家主義を掲げ、アジアを中心に新たな才能を発掘・特集する「第21回 東京フィルメックス / TOKYO FILMeX 2020」のラインナップ発表会が9月24日、Web会議サービスZoom上で行われ、映画祭のプログラムディレクターを務める市山尚三氏が上映作品を紹介した。

今年のコンペティション部門には、アジア各国から多彩な12本の作品が集結。フィルメックス初となるアゼルバイジャン作品など、中央アジアから3作品、監督デビュー作4作品を含む11人の監督(うち3人が女性)がコンペティションに初参加する。

また、『泣く子はいねぇが』(佐藤快磨監督)、『きまじめ楽隊のぼんやり戦争』(池田暁監督)など、日本映画は過去最多となる4作品が選出された。市山氏は「どれもレベルが高く、かついろんなタイプの作品がある」と理由を説明。また、『きまじめ楽隊のぼんやり戦争』を例に挙げ、「VIPO(映像産業振興機構)が初めて長編映画を支援した作品。若手を育成しなければいけないという動きが起こっている」と日本映画界の変化に言及した。

コンペティション部門は審査員長を務める映画監督の万田邦敏をはじめ、クリス・フジワラ氏(映画評論家)、坂本安美氏(アンスティチュ・フランセ日本 映画プログラム主任)、エリック・ニヤリ氏(プロデューサー)、トム・メス氏(映画評論家)が決定。コロナ禍にありながら、国際色あふれる計5名の審査員が審査にあたる。

そして、オープニングを万田監督の最新作『愛のまなざしを』が飾るほか、デヴィッド・クローネンバーグの代表作で、昨年のヴェネチア映画祭でワールドプレミア上映された『クラッシュ』4K修復版や、ホン・サンス、リティ・パン、ツァイ・ミンリャン、アモス・ギタイ、ジャ・ジャンクー、原一男など、常に最前線に立つ巨匠たちの最新作が特別上映作品としてラインナップ。2019年カンヌ映画祭コンペティション作品であるエリア・スレイマン監督の『天国にちがいない』がクロージング作品に決まり、併せてスレイマン監督がこれまでに発表した長編映画3本の一挙上映も行われる。

なお、今年は「第33回東京国際映画祭」(10月31日~11月9日)とほぼ同時期に開催。東京国際映画祭からの「カンヌ映画祭の大きな枠組みの中で独立性をもって開催される“カンヌ監督週間”のような連携を」という提案を受け、この時期の開催が決定した。「映画界の連携強化」の理念のもと、多様なメディアとも連携し、情報発信の相乗効果にも期待が寄せられる。

東京フィルメックス・コンペティション(全12作品)
『風が吹けば』(ノラ・マルティロシャン監督/フランス、アルメニア、ベルギー)
『死ぬ間際』(ヒラル・バイダロフ監督/アゼルバイジャン、メキシコ、アメリカ)
『迂闊(うかつ)な犯罪』(シャーラム・モクリ監督/イラン)
『イエロー・キャット』(アディルハン・イェルジャノフ監督/カザフスタン、フランス)
『マイルストーン』(アイヴァン・アイル監督/インド)
『アスワン』(アリックス・アイン・アルンパク監督/フィリピン)
『無聲 (むせい)』(コー・チェンニエン監督/台湾)
『不止不休』(ワン・ジン監督/中国)
『泣く子はいねぇが』(佐藤快磨監督/日本)
『きまじめ楽隊のぼんやり戦争』(池田暁監督/日本)
『由宇子の天秤』(春本雄二郎監督/日本)
『オキナワ サントス』(松林要樹監督/日本)

●審査員長 万田邦敏監督のメッセージ
第21回東京フィルメックスのオープニング作品として『愛のまなざしを』が上映されることは、私のみならずキャスト・スタッフ一同、たいへん嬉しく、また名誉なことと思っています。しかも、私が審査員長を務めることにもなり、身の引き締まる思いです。2020年は、不幸にも新型コロナウィルス禍の年として記憶されることになりました。日常の風景も一変しました。おそらく、今後作られる映画に描かれる人間、社会、風景、物語、すべてが新型コロナの影響からは逃れられないのだと思います。しかし、映画はこれまでも世界規模の災禍の後に、新たなテーマ、視点、技法、描写力を手に入れ、進化してきました。今回の映画祭に集う映画たち、映画人たち、そして観客が、最初の「次なる映画」の証人になることを私たちは信じています。

取材・文:内田 涼

「第21回 東京フィルメックス / TOKYO FILMeX 2020」開催概要
会期:10月30日(金)~11月7日(土)
会場:TOHOシネマズ シャンテ/ヒューマントラストシネマ有楽町/有楽町朝日ホール他
上映プログラム:東京フィルメックス・コンペティション、特別招待作品
公式HP:https://filmex.jp/

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