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東西の俳優たちが顔をそろえる歌舞伎座『吉例顔見世大歌舞伎』が開幕

ぴあ

歌舞伎座『吉例顔見世大歌舞伎』

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今年も顔見世のシーズンがやってきた。東西の俳優たちが顔をそろえる吉例顔見世大歌舞伎が開幕した。

第一部の一幕目は『神の鳥(こうのとり)』。時は室町時代。有力な守護大名の赤松満祐の天下掌握を祈願する宴に、神の使いとされる霊鳥が生贄として献上される。そこへ突然ふたりの狂言師が現れ舞い踊る。近畿地方最古の芝居小屋・出石永楽館で、2014年に初演された舞踊劇の歌舞伎座版だ。ぶっ返りや早替りなど、歌舞伎らしい見どころもたっぷり。

二幕目は『井伊大老(いいたいろう)』。北條秀司作の新歌舞伎。近代日本の夜明け間近、国難に立ち向かった大老・井伊直弼。しかしその独裁的なやり方に反対する人々からは非難されていた。桜田門外の変の前夜を叙情豊かに描く。直弼を支え続けたお静との情愛あふれるやり取りなど、井伊直弼の人間性を浮き彫りにする名品。

第二部の一幕目は十世坂東三津五郎七回忌追善狂言『寿曽我対面(ことぶきそがのたいめん)』。歌舞伎の様式美がちりばめられた一幕だ。富士の巻狩りの総奉行である工藤祐経の館に、大勢の大名たちが招かれている。そこへ小林朝比奈の手引きにより曽我十郎と五郎の兄弟がやってきた。工藤は二人の父親は18年前に討った仇。父の仇を討とうとはやる兄弟だが……。十世三津五郎が2001年の三津五郎襲名披露で曽我五郎を勤めたゆかりの狂言だ。

二幕目は松羽目物の人気作『連獅子(れんじし)』。天竺の霊峰・清涼山。その麓にある神仏の力により出現したという石橋に、狂言師の右近と左近が手獅子を携えやってくる。文殊菩薩の使いである霊獣の獅子は、仔獅子を谷底へと蹴落とし自力で這い上がってきた子だけを育てるという故事を踊ってみせる。やがて親獅子の精と仔獅子の精が現れ……。ユーモラスな間狂言「宗論」をはさみ、後半は白毛の親獅子の精と赤毛の仔獅子の精が登場し、豪快で華麗な毛振りを披露する。

第三部は『花競忠臣顔見勢(はなくらべぎしのかおみせ)』。歌舞伎で描かれる忠臣蔵の世界を、新しい演出で上演する。『仮名手本忠臣蔵』の「大序」の世界で始まり、小浪と力弥の縁組みを描く「桃井館」、「徳利の別れ」を基にした「稲瀬川々端」、主君の奥方との涙の別れを描いた「南部坂雪の別れ」、討入当日の吉良邸隣家の『土屋主税』もモチーフとなり、いよいよクライマックス、討入の「高家奥庭泉水」「花水橋引揚げ」へ。忠臣蔵の世界の名場面に、花形たちが顔をそろえ、フレッシュ&スピーディーに展開する。

文:五十川晶子

『吉例顔見世大歌舞伎』
2021年11月1日(月)~2021年11月26日(金)
会場:東京・歌舞伎座

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