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山崎育三郎による“久志いじり”にも注目! 『エール』2周目だからこそ楽しめる細かい演出

リアルサウンド

20/7/1(水) 6:00

 連続テレビ小説『エール』(NHK総合)が、6月29日より放送を休止し、第1回からの再放送に入った。

参考:森七菜、『エール』でさらなるブレイク? 吉岡里帆、松本穂香の「朝ドラ」丸メガネ枠を継ぐ

 「第1回から再び放送するというこれまでに経験のない展開になります。内輪ではございますけれども、みなさまどうぞご唱和ください。『エール』にエールを!」という高瀬耕造アナの心強い朝ドラ送りで再びリスタートした『エール』。第65回というほぼ折り返し地点からの第1回放送は、リアルタイムで観てきた視聴者に思わぬ形で気づきを与える結果となった。

 それが、鉄男(中村蒼)が藤堂(森山直太朗)の墓前に手を合わせるシーン。東京オリンピック開催に伴い、裕一(窪田正孝)は「オリンピックマーチ」を書き上げ、プレッシャーに押し潰されそうになりながらも、音(二階堂ふみ)に手を引かれ、世界各国の人で埋め尽くされたスタンドに向かっていく。鉄男は墓前に「大将」とデザインされたカップ酒とオリンピックの実況が流れるラジオを置き、「あの裕一が、いじめられっ子の裕一が、ついにやりましたよ。先生」と語りかけるのだ。第1回再放送後、Twitterでは「藤堂先生」がトレンド入り。およそ3カ月前、第1話が放送された際には分からなかった恩師の死という衝撃が、今後待ち受ける壮絶な展開とともに理解できる。

 通常、『エール』は土曜日に日村勇紀(バナナマン)がナビゲーターを務める振り返りを放送しているが、再放送では土曜日も本編をオンエアする。裕一の子供時代のエピソードは第6話までなので、結果的に再放送のカレンダーの方が区切りよく物語を楽しむことができる。第2話では、後に川俣のダンスホールで裕一が恋に落ちることとなる踊り子・志津(堀田真由)の幼少期・とみ(白鳥玉季)が登場(喧嘩が強い!)。まさ(菊池桃子)の実家がある川俣に遊びに行く第4話では、教会で音との運命的な出会い。さらに、裕一からのお土産、スノードームを嬉しそうに受け取る浩二(潤浩)だったが、兄と三郎(唐沢寿明)が音楽の話題で楽しそうにしているのを寂しそうな表情で見つめている光景。新聞記者として勤めることとなる鉄男が、藤堂から福島の新聞記者の名刺を受け取るシーンなど、2周目だからこそ紐解ける場面が多々ある。

 加えて、再放送に新たな視点をもたらしてくれるのが、『エール』出演者が担当する解説放送(副音声)だ。分かりやすく整理すると、放送の主音声にて津田健次郎が担当しているのが、語りと呼ばれるナレーション。基本、客観的な場面描写や登場人物の心情を語るが、『エール』では例外的に突っ込みを入れることもある。先述した土曜日担当の日村はナビゲーター。解説と一緒に、朝ドラが大好きな朝ドラおじさんとして、視聴者側の個人的な感情を入れることもある。第1週目では「この唐沢寿明さん演じる父、三郎がいいキャラなんですよ」というのがいい例だろう。

 そして、再放送における解説放送の第1~6話までを担当するのが、佐藤久志を演じる山崎育三郎。日村とは違い、あくまでドラマ役での解説なので、本放送の音声解説とほぼ同等のレベルで淡々と進んでいくのだが、時折、久志の感情が入り込んでくるのが面白い。特に、彼の語気が強くなるのが、福島三羽ガラスと呼ばれることとなる裕一、鉄男、久志が登場するシーンだ。第3話にて、裕一が運動会の徒競走で一歩一歩ゴールに向かう場面では、「笑ってごまかす裕一はもういません。よく頑張ったね。そんな裕一が好きだな」と盟友の幼き頃に優しく声をかける

 久志の記念すべき初登場は第3話。「そう、これが僕。久志。よろしく」と自己紹介を忘れず、神出鬼没の第4話以降では「久志、います」「帰り道、後ろに僕、久志。ゆるふわヘアーも決まってる」「もう久志、いません」とかつての自分自身をグイグイいじりにいく。「子供時代の物語はこれでおしまい。また、会おうね」とキザに締めくくるラストは、ウインクを決める久志の顔が自然と浮かぶ。

 音を中心にした関内家の物語が描かれる第7~12回では、吟を演じる松井玲奈が解説放送を担当。関内家長女としての妹たちや両親への思いが飛び出すかもしれない。(渡辺彰浩)

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