Download on the App Store ANDROID APP ON Google Play
Download on the App Store ANDROID APP ON Google Play

My Hair is Bad、地元・新潟上越市野球場のど真ん中から届けた思い

ナタリー

20/12/4(金) 8:00

「My Hair is Bad ライブ映像作品『Youth baseball』」より。(撮影:藤川正典)

My Hair is Badのライブ映像「My Hair is Bad ライブ映像作品『Youth baseball』」が11月29日にストリーミング配信された。

ライブの舞台となったのは彼らの地元である新潟の上越市高田城址公園野球場。3人は広い野球場の真ん中で円になって向かい合うように立ち、「優しさの行方」でライブをスタートさせた。開放感あふれる景色の中、生き生きと音を鳴らす3人の姿を円の外側からカメラが捉えていく。メンバーは愛する地元の地をしっかりと踏み締め、1音1音力強く芯のある音を響かせた。椎木知仁(G, Vo)が奏でるセンチメンタルなギターのアルペジオから3人はそのまま「彼氏として」の演奏へ突入。山本大樹(B, Cho)と山田淳(Dr)が刻む疾走感のあるビートに椎木の感傷的な歌声が重なっていく。バンドはさらに勢いを加速させるように「運命」を続け、熱のこもった演奏を繰り広げた。その後披露されたのは、近年のライブであまり演奏されることはなかった「教室とさよなら」。地元の地で淡い青春の情景が浮かぶフレーズがエモーショナルに響きわたった。

My Hair is Badにとって無観客とはいえ約8カ月ぶりのライブであり、初めて配信という形になったこのライブ。椎木は「どこ向いてしゃべればいいのか全然わかんない(笑)」と自分たちを囲む多くのカメラに少しうろたえながらも、「こういう配信ライブは初めてですけど、配信でもどこでもいつ観てもMy Hair is Badにしか出せない音、グルーヴ、質感で、My Hair is Badは画面の中でもMy Hair is Badでいられるように全力を出し切っていきます。よろしくお願いします!」と意気込んだ。ゆったりとしたテンポながら力のこもった椎木のストロークでスタートしたのは「君が海」。夏の淡く切ない感情が、ノスタルジックなメロディとどこか晴々とした演奏に乗せて届けられた。

3人は心地よさそうに「微熱」「虜」といった楽曲を続け、淀みのない真っすぐなバンドサウンドを思い切りよく鳴らす。3人が向かい合いながらライブをするのは初めてということで、「いつか結婚しても」では山本と山田が笑顔でアイコンタクトを取る場面もあり、温かな空気が生まれた。「もう夏は終わっちゃいましたけど、夏を思い返すような曲が多くて」と椎木がつぶやき、メロディアスなアルペジオに乗せて歌い始めたのは「真赤」。山本と山田の熱を帯びた演奏が加わると、椎木は感情を爆発させるようにギターをかき鳴らして熱唱する。そして初夏の景色を想起させる「青」が続き、画面越しにも郷愁が漂った。

山田のドラムカウントを合図に、3人が勢いよく演奏し始めたのは「戦争を知らない大人たち」。広々とした会場で椎木は飛び跳ね、山本も激しく頭を振り、山田はパワフルにスティックを振り下ろす。そして「白熱灯、焼ける朝」を清々しいほど力を込めてプレイしたのち、「幻」で切迫感のある歌声とエモーショナルなバンドサウンドを会場に響かせた。「卒業」では椎木が地面にひざをつけて熱くギターを弾き倒す。立ち上がると笑顔を見せ、「悪い癖」を伸び伸びとプレイした。椎木は広々とした空を見上げながら、小学生の頃に野球をやっていたこと、そしてバンドを結成し、時を経てこの場所でライブをしていることを感慨深げに語る。そして「誰がなんと言おうと、My Hair is Badの始まりの場所・上越で、この歌を歌います」と述べ、インディーズ時代のバラードナンバー「最近のこと」を思いを込めるようにじっくりと届けた。

「夢の中にいるみたいな2020年になったような気がしていて……ずっと部屋の中にいて。目の前のことを書いた曲です」という椎木の言葉を経て、3人が披露したのは12月23日にリリースするニューシングル「life」の収録曲「白春夢」。突き抜けるようなメロディに乗せて、2020年の状況や心境をストレートにつづったリリックが確かな重みを持って響きわたった。

すっかり日が落ちて空が暗くなった頃、椎木は「3人で誰かの前に立って演奏するのが日常だったのにね。形は変わりましたけど、ひさしぶりに会えてよかったです」と視聴者に言葉を送った。「今日は観てもらってありがとうございました。My Hair is Badでした。またライブハウスで!」と再会を誓い、椎木は「宿り」を優しく歌い上げる。さらに夜の闇が深まっていく中、3人は「ドラマみたいだ」「惜春」を気持ちよさそうに演奏した。ラストナンバーは「夏が過ぎてく」。「やろうぜ!」と椎木が焚き付け、3人は顔を見合わせながら楽しげに演奏。ありったけの力をぶつけるようになりふり構わず渾身のプレイを繰り広げ、愛する地元でのライブを締めくくった。

この映像は12月6日23:59までアーカイブ配信されており、さらに全国59カ所のライブハウスでも上映予定。上映チケットの料金は税込2200円。諸経費を差し引いた売り上げは、ライブハウスに還元される。場所やスケジュールは、バンドのオフィシャルサイトで確認を。

新着エッセイ

新着クリエイター人生

水先案内

アプリで読む