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LiLiCoのこの映画、埋もらせちゃダメ!

観た後は絶対焼肉が食べたくなる! 寺門ジモンさん初監督の『フード・ラック!食運』

月2回連載

第57回

20/11/27(金)

人間ドラマとしてもよくできているんです

今回紹介する作品は、私のお気に入りの2作品です。まずは日本映画で『フード・ラック!食運』です。寺門ジモンさんが初めて監督を務めた作品になりますが、個人的なつながりではなく、本当に映画としてよくできていたので、ぜひとも。

下町で焼肉店・根岸苑を営む安江は、息子の良人とふたり、幸せに暮らしていました。人気のお店だったものの、ある事件をきっかけに、根岸苑は閉店。その後、良人は家を出て、自堕落な生活を送りますが、実は彼は人並み外れた味覚の持ち主で、フードライターとしての引き合いはあるんです。

『フード・ラック!食運』

一方、良人と旧知の仲の新生は、自分の会社で信頼できるグルメ情報サイトの立ち上げを企画。そこで、彼の部下・静香と良人にコンビを組ませ、他にはないグルメサイトを作ろうとします。

ところが、既存のグルメ情報に流されがちな静香と、舌の感覚を信じる良人とはそりがあいません。静香はあまりにも正直に味の感想を言ってしまう良人を疎ましく思っていながらも、バンバン出てくる的確な指摘で次第に信じ始めていきます。そんなとき、疎遠にしていた良人の母・安江が倒れたという報せが入り……。

『フード・ラック!食運』

埋もれちゃ困る映画を紹介するコーナーにしては、埋もれなさそうな映画で申し訳ないんですが、本当によくできてるんですよ。

まず、食へのこだわりが強いジモンさんだけに、焼肉のシーンはとにかくおいしそう。なにも考えずに観に行ってしまったら、帰りにどうしても焼き肉店に寄りたくなってしまい、路頭に迷うことになるので要注意です。絶対にお気に入りの焼肉店に予約を入れてから観に行ってくださいね。

そしてもちろん、ストーリーもよくできてます。まず、焼肉がテーマの主軸といいつつも、良人のパーソナリティが上手に描かれていて、人間ドラマとしてもよくできているんです。

『フード・ラック!食運』

良人は、なんだかんだ言い訳をして、大事なことを先延ばしにしています。その詳しいことはネタバレになるので伏せておきますが、これって日本の男性に本当によくありがち。結局、彼は自分が先送りにしてきたことを後悔することになりますが、後悔するくらいならやることはやれ!と言いたい。学びのチャンスとして、この作品を観るべき人は多いのではないかと思いますよ。

『フード・ラック!食運』

ちなみに、この作品は元々ドキュメンタリーとして作る話もあったそうです。それをフィクションにする際、これだけのオールスターキャストをそろえるために、ジモンさんは「肉で釣った!」とか(笑)。

マイノリティとして生きる人の気持ちを描いたストーリーが秀逸

もうひと作品は、ストップモーションアニメの傑作『ミッシング・リンク 英国紳士と秘密の相棒』です。『コララインとボタンの魔女』などを制作したスタジオ、ライカの新作です。

神話と怪獣研究の第一人者を自称するライオネル卿は、伝説の生き物を探す旅に出ます。そんな中、人類の遠い祖先である生きた化石、ミッシング・リンクと遭遇。種族で唯一の生き残りというミッシング・リンクの親族を探すため、伝説の地へ向かいます。

『ミッシング・リンク 英国紳士と秘密の相棒』

UMAを描いた作品はたくさんありますが、本作はUMAが本当に実在したとして、その生物がどういう立場にいて、どういう気持ちで生きているのか、ということにこだわっているストーリーが秀逸です。

私も子供の頃からイェティ(雪男)の伝説を聞いてましたが、大好きだったんですよね(笑)。だって、イェティが本当にいたら、すごく楽しいじゃないですか。でも、この作品を観て、UMAが実在したとしても、彼らは孤独の中で生きている、ということをひしひしと感じさせられました。それって、人間界でもそうですよね。マイノリティとして生きる人々がどういう思いをして社会生活を送っているか、っていうことにつながっているんですよ。

『ミッシング・リンク 英国紳士と秘密の相棒』

そういった皮肉をこめたストーリーがとにかく素晴らしい。ミッシング・リンクはただただ仲間がいたら会いたい、っていう素朴な気持ちを持ったUMA。私たちの社会でもそういう人はたくさんいますから。

既成概念にとらわれて、自分だけがよければそれでいい、と思っているような人は、これを観てもっと周りを見つめ直してほしいですし、苦しみを抱えた人の気持ちを読み取れるようになってもらいたい。そんな気持ちにさせられる作品です。

『ミッシング・リンク 英国紳士と秘密の相棒』

※次回は12月11日(金)に更新予定です!

取材・文:よしひろまさみち 撮影:源賀津己
(C)2020 松竹
(C)2020 SHANGRILA FILMS LLC.

プロフィール

LiLiCo
1970年11月16日、スウェーデン・ストックホルム生まれ。18歳で来日し、芸能界へ。01年からTBS『王様のブランチ』に映画コメンテーターとして出演するほか、女優、ナレーター、エッセイの執筆など幅広く活躍。

夫である純烈の小田井涼平との夫婦生活から、スウェーデンで挙げた結婚式の模様、式のために2カ月で9kgに成功したダイエット術、スウェーデン育ちならではのライフスタイルまで、LiLiCoのすべてを詰め込んだ最新著書『遅咲きも晩婚もHappyに変えて 北欧マインドの暮らし』が、2019年9月に講談社より発売された。

『遅咲きも晩婚もHappyに変えて 北欧マインドの暮らし』

講談社 1400円(税別)
発売中

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