Download on the App Store ANDROID APP ON Google Play
Download on the App Store ANDROID APP ON Google Play

ホストが“人生最大の失恋”綴る異例のZINE『失恋ホスト』 九龍ジョーとホストたちが語る、制作の狙い

リアルサウンド

19/11/21(木) 14:00

 歌舞伎町で活躍するgroup BJのホストたちが、普段滅多に表に出さない“人生最大の失恋話”について執筆したZINE『失恋ホスト HEART BREAK HOST』が、11月24日に東京流通センターで開催の『第二十九回文学フリマ東京』にて販売される。

 同誌の責任編集を務めるのは、実話誌やカルチャー誌などの編集を経て、直近では又吉直樹『人間』の編集を務めるなどカルチャーシーンで活躍中の九龍ジョー氏だ。リアルサウンドブックでは今回、九龍に加え、同作へ参加したレオ氏(「group BJ REOPARD」会長)、一条ヒカル氏(「group BJ ONE’S CREATION」社長)、YU-MA氏(GUYS代表取締役)の3名が参加の座談会を開催。この異例な取り組みを実現させるまでの裏側や、ホストの持つ“人間臭い部分”、歌舞伎町の変遷とホストに求められる要素の変化などについて、じっくり話してもらった。(編集部)

「どちらかといえば不安の方が大きかった」 (ヒカル)

――ホストの方が書いた失恋エピソードをまとめて本にして、『文学フリマ』に出展する、という非常に面白い企画ですが、ここに至った経緯をまずは教えてください。

九龍ジョー(以下、九龍):もともと歌舞伎町には知り合いが多くて、ホストの皆さんとも親しくさせてもらってたんです。あるとき、お酒の場でホストグループ(group BJ)のオーナーに『文学フリマ』に出したミニコミを渡したんですよ。「へー、面白いですね」なんて反応してくれて。そしたら後日、そのオーナーから「自分のところでもああいう本を作って『文学フリマ』というもの出してみたいんですけど、どう思います?」って聞かれて。「そんなの絶対、面白いでしょ!」って無責任に言ったら、「じゃあ九龍さん、手伝ってくれませんか?」という話に……(笑)。

ーーその時点ではご自身が編集すると思ってなかったんですね(笑)。

九龍:そうなんです。でも、ホストのみなさんのパーソナリティに興味があったし、コク深いエピソードを持っていることも知っていたので、こういう人たちこそ「文学フリマ」みたいな場所で何かを発表したら面白いんじゃないかと思って。「失恋」について書いてもらったらいいんじゃないかっていうのは僕から提案したんですけど、初めから「それいいですね! それはやることに意味あると思います」って言ってくれたのは意外でした(笑)。

ーーそもそも、九龍さんとホストの方々はどのような形で繋がっていたのでしょう。

九龍:もともと実話誌の編集部にいて、2000年代の前半は取材といえば歌舞伎町みたいな感じの時期があったんです。よく『クラブ愛』とかホストクラブで撮影もしていて、当時はビシッとしたスーツのイメージだったんです。でも15年近く経ってみて、ホストもかなり変化してるんですよね。group BJが特にそうなのかもしれないですけど、「ホストはこうあるべき」みたいなルールとは別に、わりと外見も含めて素の部分や人間的な魅力を出しているのが新鮮に映りました。

――その変化はgroup BJだけでなく、全体的なものなんですよね?

九龍:はい、歌舞伎町という街自体がすごく変わったと思います。石原都政での浄化作戦があったり、風営法改正があったり、いい面悪い面含めて、かなり性質が変わったのを感じます。

――今回は8名の方が参加されていますが、何を基準に選抜していったんですか?

一条ヒカル(以下、ヒカル):比較的、キャリアの長い人が多いですね。

レオ:僕に関しては、一番経験豊富だろうというところで(笑)。女性の良い所も、悪いところも知っている、という点で選抜されたんだと思います。

――とはいえ、長い短い関係なく、「失恋体験を書いてもらいます」ということ自体、かなりレアな職業だと思うんですよ。

レオ:ほとんど出さないですね。

九龍:惚れてもらう職業なのに「失恋した話」って、ある意味、失敗談ですからね(笑)。

――それに対して抵抗はなかったんですか?

レオ:抵抗9割のところからスタートですよ(笑)。本になるからこそ、適当なことは書けないし、一番エッジの効いた話じゃないといけないだろうと。そう思ったときに「誰にも話したことのないエピソードを、この機会に書いてみようかな」と吹っ切れた部分はありますね。

ヒカル:僕も、どちらかといえば不安の方が大きかったです。僕らは人気商売で、ある種アイドル的に恋愛を表に出すことはタブーでもあると思うんです。お客様によっては過去に彼女がいたことを知ったらショックを受ける方もいらっしゃいますし、それを本にして出すことで悲しむお客様もいるかもしれないとも考えました。ただ、僕の場合は現役を引退していますし、長いお客様や悩んでいる従業員にも「現役時代こんなことあったんだよ」と話していたりするので、この機会に素を曝け出して書いてみようと決断しました。

YU-MA:僕はこれまでガッツリちゃんとした恋愛をしたことがなかったので、何を書けばいいのかな、というところから始まったんです。

ーーまさにそのままのことが書かれていますもんね。

YU-MA:それを九龍さんに話したら、「逆にそれはそれで面白いんじゃないですか?」と背中を押してもらえて。とはいえ、本当に人を好きにならない人間だと思われると寂しいので、未来に希望を持った終わり方はしています。

レオ:YU-MAは僕らみたいになる手前ですね。

YU-MA:世代や経験の差はあると思うので、僕もそのうちそちら側に行く気がします(笑)。

――YU-MAさんを最後に置くというのは、九龍さんのアイデアですか?

九龍:そうです。これから失恋を経験するかもしれない人が最後にいる方が、まだ続いていく感じがあって面白いなと。

レオ:続編に期待したい(笑)。

九龍:それまでにとんでもない失恋をしてもらって……(笑)。

YU-MA:ありそうですね(笑)。

――レオさんとヒカルさんのエピソードと、YU-MAさんのエピソードでは、かなりグラデーションがありますよね。

ヒカル:世間一般のイメージとして、「ホストって女性に対して純愛じゃない」、「捻くれてる」、「お客様をお金だと思っていて愛がない」みたいなことを思われがちなんですけど、実は全然そうじゃない、ということがこの本から少しでも伝われば嬉しいです。

――こういう風にして、お客様相手に情が湧いたり、このラインから踏み込まないようにしているのか、と勉強になりました。

ヒカル:表には出せない色々な葛藤がありますからね。

九龍:一般に恋愛マシーンのように思われることもあるホストですけど、やっぱり人間なんですよね。今回面白いのは、恋愛が仕事に支障がきたしそうなレベルにくると、ちゃんと上司に相談しているんですよ。ある人がレオ会長に相談していることを書いてるんですけど、そのレオ会長はレオ会長で、別のページにとんでもない失恋話を書いていて、「この人はさっき失恋していた人に相談してるんだ」とわかるつくりになってるんです。横浜の店で一緒に頑張っていた過去のある翔さんと拓哉さんという2人のエピソードがリンクしていたり。もし僕が編集として手伝った部分があるとすれば、そういう構成の組み方ぐらいですね。

――たしかに、読み進めるうちに相関図が頭の中で出来上がったり、組織の人間関係という意味でも面白く読めました。編集として携わってみて改めてわかった、group BJの人たちの面白さとは?

九龍:皆さん、ホント構えてなくて、普通の男性でも隠したりカッコつけるような部分も、気負いなくそのままさらけ出してくるのが面白いなと。「彼女ができないから風俗に行ってる」なんてわざわざ書いてたり。「それ、営業的にどうなの」ってこっちが心配してしまうくらい(笑)。そういう部分もわりとつくろわずに出してしまうのは、彼らの接客哲学にも繋がっているのかなと思いました。いまって、夜の世界でも、嘘ついたり取り繕ったりしないほうが強いっていうことを、無意識に知っているからだと思うんです。

ーーというのは?

九龍:他の仕事でもそうですけど、いまって、自分の中身を偽ったり、大きく見せようとしても、すぐにバレるじゃないですか。けっきょく、ありのままで勝負する人がいちばん強いと思うんです。夜の世界も、世間的なイメージでは「虚実」でいうところの「虚」の世界にフォーカスされがちですけど、いまってホストなんかは「実」でいく人ほど強い。

――group BJとしても、そういう部分は意識しているんですか?

レオ:僕は14年前に入社したんですが、その頃から今のスタンスはありましたね。嘘をついたり取り繕ったりしても、仲間内や女性からいつかバレると思うんです。長く生き残らなければいけないこの商売で、それってデメリットだし、めちゃくちゃカッコ悪いじゃないですか。ヒカル社長もよく話してくれるんですが、何を持って「カッコいい」と言うかって、生き方や在り方だよねと。僕らはその部分を常に意識してやっているので、今回のように何かを書くにしても、こうやって取材を受けるにしても、隠すとか嘘をつくという発想がまずないんです。

ヒカル:そこには絶対行き着きませんね。

レオ:そういう意味で、世の中の方が抱いているイメージとのギャップは凄く強い集団だと思います。

――失恋を書くにあたって、その時のことを鮮明に思い出したり、振り返って整理することで、初めて気づいたことはありますか?

レオ:僕は……「禊」って感じでした。

――憑き物が落ちたような感覚ですか。

レオ:生々しいけど、そうですね。自分のしてきた最悪なことを書いてみることで、贖罪をする意味もあったのかなと。こうやって書いてみて、感謝の気持ちを持てたり、清々しくなった部分は少しあると思います。

ヒカル:僕自身はホスト業界を背負って色んな活動をしてきているので、業界の見られ方を変えたいし、group BJのやっていることを世の中に証明していきたいと思っているんです。お金を使ってくれていたお客様の人生も背負っているつもりですし。話の最後に「一条ヒカルは僕がつくったんじゃなくて、君がつくったもの。だから僕はそれに恥じないように生きていくから」と書いたんですが、全てのお客様に対して後悔させないような生き方をしたいという覚悟は、こうして本になったことで、改めて示せたと思います。

YU-MA:僕は現役のプレーヤーですが、プロデューサーとして少しずつ店を任される立場にもなってきているんです。100%プレーヤーの時は、出会う人間全員に壁を作って一線を越えないようにしてきたし、仕事に集中したいと思っていたんです。でも、経営側に周ることで、将来もしかすると特定のパートナーをつくることになるかもしれません。この本で「皆も失恋してるんだ」と知れたことで、そんな時に「僕も好きになって良いのかな」と考えられるかもしれないな、と思いました。少しだけ明るい未来図が見えた気がしますし、そのパートナーは僕を支えてくれるお客様の中にいるかもしれないので。

――3人は他の方のエピソードをご覧になりましたか?

レオ:自分の話以外、怖くて見れないです。

YU-MA:僕もそうですね……。

ヒカル:僕はYU-MAと一也のエピソードだけ読みました。一也の話は聞いたことがあったんですが、改めて読んで驚くこともありました。YU-MAは現役なので「どんな話を書いたんだろう」と真っ先に気になりました。上司の話はまだ見れてないです(笑)。

「人と人が出会いやすくなって、ホストクラブのハードルは上がった」(YU-MA)

――九龍さんから見て、この3人に対する印象はどう変わりましたか?

九龍:わりと以前からそれぞれに思っていた「この人らしいな」っていうのはいい意味で裏切られなくて、ただ、エピソードの構成とか、みなさんすごくうまいんですよ。そこは接客の現場で磨かれたものというか、やはりエンターテイナーなんだなと思いましたね。ちゃんと俯瞰した目線があって、読者を意識しているというか。個別に話すと、レオ会長の話なんて、けっこうヘビーなんですよ。

レオ:すいません(笑)。

九龍:でもそれをいま出すっていうときに、おそらく渦中では混乱していたであろう自分の感情が客観的に捉えられていて、読む人の心を掴むものになっている。ヒカルさんはすごく長い期間のことを書いていて、こちらも色々な出来事や感情の描写があるんですけど、トータルで見たときに、すべてが一本につながっている。人間、弱っている場面であればあるほど、その人の本性とか生き方みたいなの出るじゃないですか。彼の場合は自分の仕事哲学や覚悟がブレずに行動へ直結していて、その一貫性の強さが見えました。

――人間として絶対に譲れない核の部分、芯の部分が何かというのがわかると。

九龍:ヒカルさんは核に「プロ意識」があって、ホストという生き方や仕事を全うすることに意味を見出しているのが改めてよくわかりましたね。レオ会長はホストである前に一人の人間としての葛藤をさらけ出していて、そこは彼の魅力にもつながっている。YU-MAさんは……小さな愛を大量に振りまくみたいな(笑)。

ヒカル:純粋なホストって感じですね(笑)。

――ヒカルさんは「ホスト業界を背負っているつもり」と話してくれましたが、その原動力はどこから来ているものなんですか。

ヒカル:僕がホストを始めた10年前は、業界や歌舞伎町全体が閉鎖的で、だからこそムラ文化が支配していて、歌舞伎町の中でしか通用しないことが多かったんです。でも、それって20代のうちだけで、30代になったときに、華やかだった時代さえも後悔して生きて行くホストや女性が多いというのを感じるようになったんです。そんななか、group BJで仕事をするうちに、僕らの仕事はやり方一つでエンタメ性が高くもなりますし、人に対してのスペシャリストになれるし、経営学や哲学といった人としての生き方にこだわることによって、ホストという職業の先にある未来も見えるような気がして。

ーーホストの未来ですか。

ヒカル:これは僕が現在進行形で挑戦していることなんですが、ホストになることやgroup BJに入ることが、良い大学に入るのと同じ感覚になってほしいというか。起業したい子やエンターテイメント職に就きたい子、自分の売り出し方を学びたい子が勉強も兼ねて入ってくることで、その人も業界も変わる気がしていますし、グループとしては「あそこに行ったら社会で勝てるようになる」と思ってもらえれば、憧れる職業の一つになるのかなと。

――人として、ひとつ上のステージに行きたい人が経験する場所になると。YU-MAさんは、ヒカル社長のこの教えをどのようにして若い世代として体現していくのでしょう。

YU-MA:2000年代と今を比較したときに、マッチング系のアプリやSNSが発達していることも大きいと思っていて。人と人が明らかに出会いやすくなった分、ホストクラブに行くハードルは上がったと考えています。ということは、ホストのイメージが変わらないと、その入り口に立ってもらうことはできないので、そのきっかけをどう作っていくのか、と思うことは多いです。

ーー「ホストクラブにいく理由」をどう作るか、ですね。

YU-MA:それって、結局は人だと思うんですけど、来てもらったお客様に「やっぱり一般人よりすごい」「BJに行って、ホストのイメージが変わった」と口コミ的に広めてもらって、業界全体としてもBJ発信でホスト業界が変わった、と内外から思ってもらえることが重要で、それができるのはgroup BJだと思うんです。個人の売上は、ヒカル社長が言ったように一過性で終わってしまうものなので、色々な人の感情を受け止める器や、時代の流れに沿って、時には我慢して変えなきゃいけない部分を理解して、全ての経験を味わった人間が上に立つような組織になっていれば、最強であり続けられると考えています。

「今は『人に愛されないと稼げない』」(レオ)

――九龍さん自身、編集者・ライターとして色んなジャンルについて原稿を書いたり、様々なカルチャーに関わっていますが、ホストの分野とシナジーが起こりそうな分野はありますか?

九龍:シナジーか……僕はいま「若き藝能者たち」っていう連載をやっているんですけど、ホストの存在もまた、江戸時代の歌舞伎役者のような“藝能者”だと思っていて。昔の芝居小屋も、やれ贅沢だとか悪所だとか言われながらも、「この人を見てるだけで何か元気が出る」という感じで庶民も熱狂する。さらにさかのぼれば、役者が個別に客をとっていたようなことだってあるわけです。ホストって、そういう職能の最先端にいる人たちだと思うんですよね。だから実はとても歴史あるものだし、「目の前にいる人を魅了して喜んでもらう」っていう意味では、あらゆるエンタメにも関係するんじゃないでしょうか。

――たしかに、そして一番難しいことでもある。

九龍:そうなんですよ。しかも、この人たちがやってるのは「目の前にいるただ一人を徹底的に満足させる」ことなんですよね。普通に飲みにいくよりは多少高い値段ですけど、人生の活力のようなものを与えるエンタメという側面もある。ただ、そこをわりきって「エンタメです」ってなるのも、僕はちょっと違和感があって。そこから漏れる危うさやリスクも、歌舞伎町にかぎらず夜の街で遊ぶときの魅力の一部を成していると思うんです。もちろん安全なほうがいいですけど、そういう、グレーな部分もすべてクリアにしていく方向性になっていくと、こういう場所でしか発露したり吸収されえない人間の持つ根源的な危うさとかはどこへ行くんだろう、という興味があります。

――法律が変わったり、街の再開発が具体的に形になってきたここ数年で、空気感はより変わっています。

九龍:ドラマでも薬物で捕まった人が出てるシーンは放送できないとか、本来、人間というものは弱くてミスをするけど、でも反省して更生することもできるっていうセーフティネットを全否定じゃないですか。でもどんなに放送のなかや、表側だけをクリーンに取り繕っても、中身は隠せないんですよ。ホストの接客も同じで。はっきり言うと、ホストの世界も、短期的に売ることを意識しすぎて、本人もお客様も酷いことになるケースがままあるんです。でも、group BJの皆さんは、そのへん、ちゃんと “少し狂った”魅力を持ちつつ(笑)、セルフコントロールが抜群に上手いし、商売としてのサステイナビリティも考えている。

レオ:僕も時代の移り変わりを見てきましたが、初めて歌舞伎町に来たときは「すごく怖い街だけど、女性に愛されたら稼げる」ということを教わったんです。でも、今は「人に愛されないと稼げない」という概念に変わってきている気がして。お客様も、同じような職業をしている方が対象だったのが、一般のOLさんや学生さんも来ていただけるようになって、アンダーグラウンドの世界から浮上していってるのを身をもって体感しているんです。そんななかで、ヒカル社長を筆頭に色々な意識改革や社会活動をやってもらっていて、自分たちのことも「プロ男子」と自称するようになって、外見だけじゃなく内面もカッコいい人を目指すようになって。会社としても、どこよりもコンプライアンスに厳しくしていますし、そうすることでこの街も安全になるし、マーケットとしても色々なところから人が流れ込んできて、カルチャーとして面白いものになる気がします。

ヒカル:なぜか、考え方がお金に直結しないんですよね。

――それこそ、短絡的にお金に結びつけている人から破滅していってる気はします。

レオ:そうだと思いますよ。目先の利益に囚われて、溺れていってしまう人は多いです。でも、二手三手先を考えていかないと、ちょっと売れてもすぐダメになったり、「A店はいいよ、B店はこんな感じ」みたいに誘われて流れていってしまったり。ただ、間違いなく言えるのは、うちに残っている子は真っすぐで正直で、モテ方を知ってると思います。

九龍:パーソナルな部分をどこまで出す、出さないの判断って、他の店やグループって実際どうなんですか?

レオ:導いているわけではないですが、生き残っていく人は必然的にそうなっていく気はしますと。人間にモテなきゃ意味ないし、表と裏で言ってることが違う人は同性にもモテないし、女性にも支持されないですから。

――そうやって周りにいる人が徹底していれば、適性のある人はどんどん成長するし、合わない人は離れていくわけですよね。

レオ:そうです。

九龍:とはいえ、そんなことないじゃない? みたいな意地悪な目で初めは僕も見ていたんですど、本気なので驚きましたよ。印象的な話があるんですけど、この人たち、赤信号を渡らないんですよ(笑)。区役所通りなんて、車はゆっくりだし、そもそも車道にタクシーが列をなしていて、信号なんてあってなきがごとしみたいなゾーンもあるんですが、車がいなくても絶対に横断歩道まで行って、青信号を渡るんです。

レオ・ヒカル・YU-MA:(笑)。

九龍:それにしても失恋の話なんて書いても、目先に何かいいことがあるわけじゃないし、何ならデメリットの方が多いかもしれない(笑)。なのに、それができるっていうのは、「これを出しても、自分たちの仕事は何も揺るがない」ってことなんですよ。むしろそれが自分たちの魅力をより高めるという確信もあるのかもしれない。

レオ:そこはどうなんでしょう(笑)。

九龍:たしかに。出してみたら、案外、「やらなきゃよかった!」って全員言い出す可能性もまだゼロではないという(笑)。

ヒカル:でも、どうせ出すからには、多くの人に読んでもらいたいですね!

(取材・文=中村拓海/撮影=富田一也)

■書籍情報
『失恋ホスト HEART BREAK HOST』
発行:group BJ
責任編集:九龍ジョー
デザイン:OCTAVE

<販売>
『第二十九回文学フリマ東京』
出店名:group BJ
日程:2019年11月24日(日)11:00〜
場所:東京流通センター
B6判/128ページ
価格:1000円
group BJ公式HP

新着エッセイ

新着クリエイター人生

水先案内

アプリで読む