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銀杏BOYZ、6年9ヶ月ぶりのフルアルバム『ねえみんな大好きだよ』完成記念! 11週連続・峯田和伸インタビュー連載!!

銀杏BOYZ、6年9ヶ月ぶりのフルアルバム『ねえみんな大好きだよ』完成記念! 11週連続・峯田和伸インタビュー連載!!

全11回

第5回

20/10/7(水)

銀杏BOYZの6年9ヶ月ぶりとなるフルアルバム『ねえみんな大好きだよ』が10月21日にリリースされることが決まった。本作は、オリジナルメンバー脱退後、峯田和伸1人になってから初めてのフルアルバムになるのだが、この6年9ヶ月を顧みれば、前作からここに至るまでの銀杏BOYZは休むことなくラジカルに動き続けていた。銀杏BOYZ結成から17年間の活動の中でも、かなり濃厚な時間を過ごしていたわけだが、これらの経験や刺激が、銀杏BOYZにとって最も重要なアルバム制作にどう反映されたのだろうか。また、誰もが新型コロナウイルス感染拡大による制限や影響を強く強いられている今、峯田はどんなことを考え、銀杏BOYZの表現に反映させたのだろうか──。

ここでは、こういった今の峯田が考えていること、アルバム完成までの経緯と思い、収録楽曲についてを徹底インタビュー。アルバム収録曲数「11」にちなんで11週にわたってお届けする(毎週水曜日更新予定)。第5回の今回は8月のスマホライブでも披露された、アルバム収録曲『大人全滅』『アーメン・ザーメン・メリーチェイン』について聞いた。

大人が子どもになり、子どもが大人になる時代

── 前回までに聞いた『ねえみんな大好きだよ』の冒頭のハードコア2曲(『DO YOU LIKE ME』『SKOOL PILL』)の次、3曲目に収録されているのが『大人全滅』。これは随分前から先行してミュージック・ビデオが公開されていました。

峯田 ビデオだけじゃなくて、サポートメンバーに入ってもらってから結構早い段階でライブでは演奏してたよ。この曲自体もさ、1999年に出したGOING STEADY(銀杏BOYZの前身バンド)のファーストアルバム『BOYS & GIRLS』の中の『DON’T TRUST OVER THIRTY』っていう曲のリメイクだから、原曲を知っている人は入りやすい曲だと思う。

なんかさ、昔作った曲だと照れちゃったりして歌えなくなった曲って実はたくさんあって。当初は『DON’T TRUST OVER THIRTY』もそういう曲の一つだったの。でもさ、20年以上前の自分が書いた曲だけど、改めて歌詞を読み返してみると、意外と今の気持ちに近いっつーか「2020年にピッタリだな」と思って。僕を取り巻く環境もそうだし、SNSとかのご時世もそうだし。

今の時代は子どもが大人になっていて、大人が子どもになっているような気がするんだ。インターネットだのSNSだのLINEだのでさ、裏アカ作って友だちの文句なんかナンボでも言えるのは今でしょ。あるいは、周りの人には見せられない自分の秘密の部分とかも匿名で告白することもできる。それこそ、浮気だの不倫だのみたいな不純なことなんてやりたい放題でしょ、その気になったら。

そういうことをする大人を否定するつもりはないんだけど、でも、SNSがこれだけ広まる前に比べればやっぱり大人がどんどん子ども化していっている気はするんだ。対して、子どもは情報収集とかの技術を覚える時代に育っているわけで、大人以上に大人になっているところがある。

大人が情報だの新しいツールだのに翻弄されて子どものようにオロオロしているのに対して、今の子どもは、そういうツールが事前にあって、ある意味大人よりもずっと先に行っているっていう。

「縦社会」っていうとさ、だいたい悪い意味で言われるけど、僕は必ずしも悪くは思えなくて。やっぱり「縦社会」があるからこその気持ち良さもあれば、大人に対するカウンターが出来る良さとか、情緒みたいなものが生まれたと思うの。

でも、その「縦社会」が完全になくなるのが近未来だよ。マジで大人全滅(笑)。そういう意味で、あの1999年頃に僕が作った『DON’T TRUST OVER THIRTY』がまた違う意味を持ったように思えて。もちろん、20年前の僕はもっとストレートな意味で書いたと思うんだけど、1周回って今の時代にピッタリハマる感じがしたんだよ。それで『大人全滅』っていうタイトルに変えて、アレンジも変えて、改めて今回のアルバムに入れることにしたんだ。

懇意のイノマーに向けた〈死なないで。生きるまで〉

── その『大人全滅』の次の曲が『アーメン・ザーメン・メリーチェイン』。これが切ない曲で、ゾクゾクしますね。実は峯田さんに話を聞くまでは、この『アーメン・ザーメン・メリーチェイン』こそが、『ねえみんな大好きだよ』の核となる曲かと思っていました。

峯田 前に言ったように、今回のアルバムは『生きたい』が軸になるアルバムだと思って始めたんだけど、でも、『アーメン・ザーメン・メリーチェイン』みたいな曲を書けて、大きな意味を持ったことも確か。

── この曲はロンドンで書かれたと聞いています。

峯田 そう。話すと長くなるけど、もともとこの曲の〈死なないで。生きるまで〉っていう歌詞は、去年末にガンで亡くなったイノマーさん(オナニーマシーン)に向けての言葉だったんだ。

イノマーさんが亡くなる前、渋谷のラ・ママでイノマーさんのバンド、オナニーマシーンと一緒にイベントをやったことがあったの。そのときにさ、「イノマーさんに向けて、みんなで寄せ書きしよう」という話になってペンをサッと渡されたんだけど、咄嗟に僕は〈死なないで。生きるまで〉って書いたの。でも、これは考えて書いたわけでもなく、本当に咄嗟に書いた言葉だった。だから、後になって「俺はなんであんなことを書いたんだろう」って意味がわからなくなっちゃって。しばらくの間、〈死なないで。生きるまで〉という言葉が頭の中でずっとグルグル巡るようになっちゃった。

また、ちょうどこの頃は「曲を作ろう」っていう時期だったから、「この言葉は絶対に歌詞に入れて成仏させないといけない」みたいに思うようにもなってさ。

思えば、『アーメン・ザーメン・メリーチェイン』を作る頃の僕はずっと言葉を探していたんだよね。やっぱり僕の中での音楽って〝言葉〟なんだよ。真ん中に言葉があって、その言葉にメロディをつけるっていう、本当にそれだけ。

そんな風に『アーメン・ザーメン・メリーチェイン』は曲の骨組み、仮組みだけができている状態だったんだけど、去年の9月にイギリスのバンド、ザ・リバティーンズに誘ってもらって、ロンドンまでライブをしに行ったことがあったの。

そのロンドンでのライブ前日の夜中、「どうせだったら、未完成のままのあの曲を、ここで完成させよう。ちゃんと完成させられたら明日のライブで歌おう」と思ってさ。でも、ホテルで夜中にギターを鳴らすわけにもいかないでしょ。それで夜中の2時頃にギターを持ってホテルを出て、道を挟んで向こう側にある大きい公園墓地に行ったの。そのベンチで未完成だった歌詞を一気に書き上げて、曲もちゃんと構成して。それで翌日のステージでも歌うことができたっていう。「ロンドンで完成させた」っていう意味でも、すごい記念になった曲だね。

アンセムを作るつもりで完成させた『アーメン・ザーメン・メリーチェイン』

── GOING STEADYの頃から峯田さんはライブ前の限られた時間で1曲仕上げたり、かなり短時間で曲を仕上げることがあるようですね。

峯田 全曲そういうわけではないけど、昔からこういう曲の作り方をやっていたのは確か。ライブ当日に、メンバーに楽屋で曲を教えてアレンジを考えるとか、そんな感じなんだよ。

こう言うと、即興のように聞こえるかもしれないけど、でも、ここに至るまでの間に普段からいろんなことを見て、思ったことをずっと覚えているから、その意味で実は結構時間をかけて作っているとも言えるかもしれない。もちろん、『アーメン・ザーメン・メリーチェイン』もね。さっき言ったようにイノマーさんのことがあったから、ずっとこの曲のこと、言葉のことを考えていたし。だから、いざ集中したら短い時間で仕上がるんだと思う。こうやって作った曲でもさ、僕にとっては「一生歌い続けたい」っていうものばかりだよ、本当に。

── 当初『アーメン・ザーメン・メリーチェイン』は、『せいじゃのこうしん』というタイトルだったそうですね。

峯田 そう。ロンドンの公園墓地のさ、ちょっと怖いところで作った意味もあって、当初はそういう曲名にしようかなと思ってた。でも、後にこのタイトルに変えたっていう。

この『アーメン・ザーメン・メリーチェイン』はね、作る前に「俺、アンセムを作る!」と思って気合いを入れて取り組んだからね。言葉の数もできるだけ抑えたし、その分聴いてくれる誰かが自分の曲にしてくれるんじゃないかと思ってる。すごく良い曲だと思う。

※次回へつづく

Text:松田義人(deco) Photo:小境勝巳

リリース情報

銀杏BOYZ ニュー・アルバム『ねえみんな大好きだよ』

【初回盤】
【通常盤】

10月21日(水)発売
品番:SKOOL-049 価格:3,300円+税
収録曲(全11曲)
01.DO YOU LIKE ME
02.SKOOL PILL
03.大人全滅
04.アーメン・ザーメン・メリーチェイン
05.骨
06.エンジェルベイビー
07.恋は永遠 feat.YUKI
08.いちごの唄 long long cake mix
09.生きたい
10.GOD SAVE THE わーるど
11.アレックス

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