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いま、最高の一本に出会える

「週末映画館でこれ観よう!」今週の編集部オススメ映画は『クレイジー・リッチ!』

リアルサウンド

18/9/28(金) 15:00

 リアルサウンド映画部の編集スタッフが週替りでお届けする「週末映画館でこれ観よう!」。毎週末にオススメ映画・特集上映をご紹介。今週は、初めて牌を握ったのは3歳の時、リアルサウンド麻雀部の若田が『クレイジー・リッチ!』をプッシュします。

『クレイジー・リッチ!』

 オールアジア系キャスト、シンガポール生まれ、原作者ケビン・クワンのギャラは1ドルで、監督が直接手紙を書いて、コールドプレイの代表曲のひとつ「Yellow」が主題歌に。アメリカでは大ヒットを記録し、3週連続首位達成、各メディアも絶賛……と、公開前から話題が尽きなかった『クレイジー・リッチ!』が、満を持して日本でも公開されました!

 原題は『Crazy Rich Asians』、直訳すると“頭がおかしくなるほどリッチなアジア人たち”。主人公のレイチェル(コンスタンス・ウー)は、中国からの移民である母親からニューヨークで生まれた中国系アメリカ人です。恋人のニック(ヘンリー・ゴールディング)の故郷シンガポールでの友人の結婚式に同伴すると、なんとニックはアジア全域で商売を広げる大富豪一族の跡取り息子であることが判明します。当然、彼を狙う女性は多く、ニックの母親(ミシェル・ヨー)も、“移民の子”であり“アメリカ人”なレイチェルを認めない。レイチェルはこの恋を諦めるのか果たして……。

 筋書きは王道なラブロマンス、そしてシンデレラストーリーでもあります。ここでポイントになるのは、やはりそこに“アジア”、あるいは“移民”という要素が入ってくること。レイチェルは、アメリカの一流私立大であるニューヨーク大学で経営学の教鞭を執っています。それは誇らしきキャリアであり、彼女自身もそれを自負しています。しかし、ニックのシンガポールの実家に行き、その家族や友人に会うことで、次第にそのアイデンティティが揺るがされることになるのです。

 出演者は世界的に活躍しているアジア系キャストです。『クレイジー・リッチ!』は個性豊かな人物たちが揃い、それぞれのあり方で輝き自分の人生を手にしようとする姿が本当に魅力的なのですが、個人的に特に注目したいキャストは以下の女性4人です。

 主人公レイチェルを演じるのは、台湾系アメリカ人のコンスタンス・ウー。ABC放送、台湾系アメリカ人一家がメインキャラクターのドラマ『Fresh Off the Boat』で注目を浴びました。彼女は、ハリウッドにおけるアジア系の立ち位置について、これまで疑問を呈してきた存在でもあるのです。『クレイジー・リッチ!』の大ヒットは、アメリカ映画業界におけるアジア系差別を払拭することになるのではないでしょうか。

 ニックの友人の婚約者演じる日経イギリス人のソノヤ・ミズノは、『エクス・マキナ』で研究施設で働くハウスメイド、キョウコを演じて話題になりました。『ラ・ラ・ランド』でもエマ・ストーンの同居人として出演(ちなみにNetflixオリジナルシリーズ『マニアック』でも再共演)。キョウコは様々な意味で特異な役でしたが、『クレイジー・リッチ!』では、等身大の女性らしく(とはいえ彼女もかなりの“クレイジー・リッチ”……)結婚を目前にはしゃいでいる姿を見ることができます。

 個人的に一番ツボだったのが、レイチェルの親友ペク・リンを演じるオークワフィナ。『オーシャンズ8』でもとにかく手癖の悪いスリ師を演じていたオークワフィナは、中国系アメリカ人の父親と韓国系移民の母親を持ち、ラッパーとしても様々なバズを起こしてきました。ペク・リンは“庶民”であるレイチェルを、大富豪の娘たちに見劣りしないよう美しくしようと、家のクローゼットからありとあらゆる衣装を取り出し、レイチェルに一番似合うドレスを見立てます。2人はまさにソウルメイト。その優しい友情は涙を誘うものがあります。オークワフィナは最近カナダの『2018 iHeartRadio Much Music Video Awards』の司会を務め、初めてアジア系の女優が北米のアワードのホストを務めるという快挙を成し遂げました。今後、ハリウッド映画ではさらなる活躍が見られる予感がします。

 そして、本作の中でもっとも有名なのは、ニックの母親エレノアを演じる中国系マレーシア人、ミシェル・ヨーでしょう。『ポリス・ストーリー3』や『007 トゥモロー・ネバー・ダイ』『グリーン・デスティニー』など、とにかくアクションがとんでもない、香港映画界が世界に誇る女優です。こんな女性が姑だったら……と思うと、逆に闘志が湧いてくるような気もします。

 本作の中では、様々なアジアンカルチャーが見てとれます。それは、作品の核となる“家族観”や“人生観”にも繋がってくるのですが、豪勢なシンガポールの街並みや煌びやかなファッション、幻想的な結婚式、そしてレイチェルとエレノアが対決する麻雀など、ありとあらゆるシーンに盛りだくさんなのです。個人的には麻雀シーンの深読みが止まりません。詳しくは辰巳JUNKさんがこちらの記事で考察しているのですが、麻雀好きな人にもぜひ観てほしいです。麻雀は中国発祥のテーブルゲーム、牌ひとつずつに深い意味があります。麻雀のシーンは、そこから2人の関係性や作品のテーマが浮かび上がる、緻密に練られた勝負なのです。

 映画に限らず、音楽も含めたカルチャーの世界では、アジア系の才能が、アメリカのエンターテインメント界に革新的な出来事を起こすことが、近年続いてるように思います。『クレイジー・リッチ!』は、そういった意味でも現代的で画期的な作品であり、同時に娯楽作品としても熱狂できる作品。「Yellow」の流れるラストシーンを観ながら、私はこれは自分のための映画だと思いました。すでに続編製作の噂もありますが、この機会にぜひ多くの人に劇場に足を運んでもらいたい一作です。

■公開情報
『クレイジー・リッチ!』
公開中
監督:ジョン・M・チュウ
原作:ケビン・クワン著『クレイジー・リッチ・アジアンズ』(竹書房)
出演:コンスタンス・ウー、ヘンリー・ゴールディング、ミシェル・ヨー、オークワフィナ、ソノヤ・ミズノほか
配給:ワーナー・ブラザース映画
2018年/アメリカ/カラー/シネマスコープ/英語/121分/原題:Crazy Rich Asians
(c)2018 WARNER BROS. ENTERTAINMENT INC. AND SK GLOBAL ENTERTAINMENT

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