Download on the App Store ANDROID APP ON Google Play
Download on the App Store ANDROID APP ON Google Play

櫻坂46、山﨑天センター曲「Buddies」の清々しいサウンドと圧倒的映像美 MVから感じる“絶対的肯定感”

リアルサウンド

20/12/2(水) 6:00

 先日、櫻坂46の1stシングル『Nobody’s fault』に収録のカップリング曲「Buddies」のミュージックビデオが公開された。映像はダンスが中心で、メンバーが笑顔でパフォーマンスする姿を美しく撮っている。澄み切った空気の中で少女たちが疾走する様子は憑き物が落ちたように爽快だ。都会の高層ビルの画は、ともすれば観る者に冷たい印象を与えかねないが、撮り方次第では人びとを温かく見守っているようにも見せることができる(「二人セゾン」がそうだったように)。日の光が反射した街の輝きは、新しく生まれ変わった彼女たちの大いなる第一歩を祝福しているかのようだ。

櫻坂46 『Buddies』

 センターはグループ最年少の期待のメンバー、山﨑天。先日放送された『そこ曲がったら、櫻坂?』(テレビ東京)でも過酷な登山ロケに楽しそうに挑む可愛らしい一面を見せていたが、踊るとなると人が変わったように真剣な表情を見せる。屋上から街を見降ろす姿の凛々しさ、目の輝き、手足の長い身体から繰り出されるダイナミックなダンスなど、すでにただならぬ風格だ。とりわけ終盤で足を広げながら頷くポーズのカットは、今作で最も目を引く存在感を放っている。

 楽曲に耳を傾ければ、これから彼女たちが作り上げる物語の壮大さを予感させる豪華なオーケストレーションの施されたサウンドや、走り出した少女たちの躍動感を支える力強いビート、そして神々しく流麗なピアノが鳴り響く。歌詞においては、サビよりも登場回数の多いBメロが非常に印象深い。“季節の風”、“花の香り”、“緑の木々”、“漏れる日差し”といった自然を感じさせる言葉を、セリフと歌の間のようなニュアンスで歌い世界観を描写する。一方で、繰り返しを多用するキャッチーなサビでは仲間たち(=“buddies”)の存在を高らかに歌い上げる。両腕を広げる動きや、全員で車座になるフォーメーション、互いに目線を合わせる振り付けなど、ダンスはメンバーたちの繋がりや強い絆が伝わるものになっている。

 総じて感じるのは、生きることへの絶対的な肯定感だ。まさに“すべてを奪った嵐”のようだった欅坂46の5年間を経て、今未来へと向かってスタートを切った彼女たちの真っ直ぐな気持ちを清々しいサウンドと圧倒的な映像美で表現している。

櫻坂46への改名がもたらしたもの

 改名を機に、選抜制度の導入をはじめ、3つの楽曲のセンターを3人が務めるなどシステムを大きく一新した櫻坂46。当初は改名に戸惑う声も多く聞こえたが、徐々にそうした空気にも変化が表れているようだ。表題曲の「Nobody’s fault」、「なぜ 恋をして来なかったんだろう?」、そして今回の「Buddies」と三者三様のカラーを持たせたことで欅坂46時代と比べて表現の幅が広がったような印象を受ける。

 さらに、カップリング曲含む全7曲に参加する1〜2列目のメンバー“櫻エイト”を設けたことで選抜の意味を担保しつつ、3列目を流動的なポジションにしたことで非選抜メンバーへの配慮も欠かさない。特に今作では齋藤冬優花のような選抜から漏れた1期生メンバーが再評価されるなど、以前よりも個々のメンバーの活躍に注目が集まっているように感じる。そしてこの自由度の高い新体制によって、ほかの収録曲への期待もこれまでになく強まっているように思う。

 改名によって広がった可能性と募る期待感。1stシングルはまだ発売前だが、早くも次の展開が楽しみである。

■荻原 梓
J-POPメインの音楽系フリーライター。クイックジャパン・リアルサウンド・ライブドアニュース・オトトイ・ケティックなどで記事を執筆。
Twitter(@az_ogi)

新着エッセイ

新着クリエイター人生

水先案内

アプリで読む