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桐山照史、大西流星ら深夜ドラマでの主演が増加? ジャニーズ俳優と深夜枠の相性を考察

リアルサウンド

21/2/17(水) 10:00

 「ヒーハー」という心の声が聞こえてきそうだ。ドラマホリック!『ゲキカラドウ』(テレビ東京)で激辛料理に挑戦するのは桐山照史(ジャニーズWEST)。テレ東のお家芸である深夜枠のグルメ作品で、連続ドラマ単独初主演を飾った。

 桐山が演じるのは飲料メーカーの営業職・猿川健太。東京支社の営業促進室に異動した猿川だったが、そこは激辛好きの猛者が集う職場だった。お仕事ドラマにアクセントを加えているのは激辛メニューの数々。実在する店舗を舞台に、猿川は激辛麻婆豆腐やハバネロの肉詰めなど、選りすぐりの品々に挑んでいく。

 なんといっても桐山の演技。撮影でも実食しているそうで、食べる前の緊張と恐怖にゆがんだ顔が、食べ終えて憑き物が落ちたような爽快な表情に変わる。初主演作で、人間だけでなく激辛に対しても満点のリアクションで返した。2008年に『ごくせん』(日本テレビ系)でドラマデビューし、演技派集団・ジャニーズWESTの中で磨いた表現力をいかんなく発揮した。

 桐山のほかにも、ここ数年、深夜枠で主演デビューするジャニーズ事務所所属俳優が増えている。『レンタルなんもしない人』(テレビ東京)の増田貴久(NEWS)、『ミリオンジョー』(テレビ東京)の北山宏光(Kis-My-Ft2)をはじめ、ジャニーズWESTのメンバーで『エレファント・マン』で読売演劇大賞の杉村春子賞を受賞した小瀧望の連ドラ初主演も深夜枠(よるドラ『決してマネしないでください。』(NHK総合))だった。最近では、なにわ男子/関西ジャニーズJr.の大西流星が『夢中さ、きみに。』(MBSほか)で初の単独主演を果たしている。

 この傾向はグループ単位でもあてはまり、『真夏の少年~19452020』(テレビ朝日系)で美 少年がグループで初主演。また、オムニバス形式の『年下彼氏』(ABCテレビ/テレビ朝日)ではなにわ男子、Aぇ! Group、Lil かんさいを含む関西ジャニーズJr.が、また『メンズ校』(テレビ東京)はなにわ男子が主演としてクレジットされ、メンバーの多くがドラマ初主演を飾った。

 ジャニーズ所属俳優の深夜枠出演は、制作会社とテレビ局、事務所のいずれにとってもメリットが大きい。ジャニーズに限らず、D-BOYSやEBiDAN、坂道グループも同じように若手俳優を深夜枠に送り出している。国民的人気と実力を兼ね備えたジャニーズでは、日本テレビ「シンドラ」やテレビ東京「ドラマホリック!」など、テレビ局との共同製作で枠そのものを押さえることにより、長期的な視野から番組を制作しているのが特徴だ。

 こうしたジャニーズ所属俳優の進出は、ドラマ界全体にポジティブな影響を与えるものだ。そもそも深夜帯では、ゴールデンやプライム帯で扱いにくい内容や意欲的な作品が放送されてきた。深夜枠ドラマは、クリエイター育成の場として機能しており、新進気鋭の監督や脚本家、劇団出身の役者に創作の場を提供してきた。一方、高視聴率を望みにくい時間帯でもあり、コロナ禍による制作環境の悪化の影響も受けてきた。

 ジャニーズ所属俳優が深夜枠ドラマに出演することは、視聴者とスポンサーに支えられる業界構造にあって、番組枠そのものの価値を高めることを意味している。安定した人気を背景に自由度の高い作品を提案することは、ドラマの可能性を広げ作家の世代交代を促す。言うまでもなく、俳優にとっては出演経験を積む機会であり、激辛グルメや何もしない主人公など意欲作への登板は、役者としてのスキルアップにつながる。

 以上のことは、前述の「シンドラ」や「ドラマホリック!」のラインナップを見ればわかるはずだ。プライム帯ドラマが手堅さを志向する中で、ジャニーズ所属俳優と深夜枠ドラマのコラボレーションが地上波ドラマ刷新の起爆剤となることを期待したい。

■石河コウヘイ
エンタメライター、「じっちゃんの名にかけて」。東京辺境で音楽やドラマについての文章を書いています。

■放送情報
ドラマホリック!『ゲキカラドウ』
テレビ東京ほかにて、毎週水曜深夜0:12~0:52放送
動画配信サービス「Paravi」「ひかりTV」にて配信
出演:桐山照史(ジャニーズWEST)、泉里香、中村嶺亜(7 MEN 侍/ジャニーズJr.)、森⽥甘路、前川泰之、平⽥満
ゲスト:相島一之(第1話)、長谷川朝晴 (第2話)、麿赤兒 (第3話)、佐津川愛美(第4話)、丸山智己(第4話)、板尾創路(第5話)、武田玲奈(第7話)、山田純大(第9話)、松下由樹(第10話)
監督:柴⽥啓佑、ヤングポール、西川達郎
脚本:吉本昌弘、神⽥優、政池洋佑、本⽥隆朗
主題歌:ジャニーズWEST「週刊うまくいく曜日」(ジャニーズ エンタテイメント)
チーフプロデューサー:山鹿達也(テレビ東京)
プロデューサー:松本拓(テレビ東京)、尾花典⼦(ジェイ・ストーム)、渋⾕未来(The icon)、古林都⼦(The icon)
制作:テレビ東京/ジェイ・ストーム/The icon
製作著作:「ゲキカラドウ」製作委員会
(c)「ゲキカラドウ」製作委員会
公式サイト:https://www.tv-tokyo.co.jp/gekikaradou/
公式Twitter:@tx_gekikaradou

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