みうらじゅんの映画チラシ放談
『サウナのあるところ』『アナベル 死霊博物館』
月2回連載
第26回
── 今回の1本目は『サウナのあるところ』です。
みうら これは外国の映画のようですね?
── フィンランドのドキュメンタリー映画です。
みうら しかも、ドキュメンタリーって何なんですかね? てっきり最近流行ってる“サウナ道”が日本で映画になったのかと思いました。このチラシのデザインだと完全に、そういうサウナ好きの人たちを狙ってる感じがしますけど。なんか電話ボックスみたいなところに人が入っていますけど……。
── いろんなサウナが出てくるのが映画のウリのひとつなんです。
みうら サウナ紹介?
── その電話ボックスも“電話ボックス型サウナ”なんですよ。
みうら へえぇ! じゃあ裏の写真のこのトラクターもサウナなんですね。あ、やっぱりキャッチコピーに“日本でも空前のサウナブーム到来中”って書いてますね。僕、以前に“サ道”というタナカカツキさんの本を読んだんですが、“あんまり身体に良くない”っていうオチで面白かったんですが(笑)。
── メインは、サウナに入っているフィンランドのオジサンたちが全裸で語る身の上話なんです。
みうら 全裸サウナ(笑)。フルチンで身の上話をですか?
── はい。普段は無口なオジサンたちが、辛くて悲しい身の上話をするんです。とにかくヘビーなエピソードが次々と出てきます。
みうら 確かに“悩み苦しみを打ち明け号泣する”って書いてますけど。
実は僕、サウナが苦手なんですよ。サウナ自体が苦しみなんで、到底打ち明けるどころじゃない(笑)。かつては何度か入ったことはあるんですけど、僕メガネだから、どうしていいか分からないんですよね。メガネ野郎はサウナでどうしたらいいんですかね?
── 一応、入口の扉の横にメガネ置き場があることが多いですが。
みうら でもちょっと広いサウナだと中が段々になってるじゃないですか。そこまで行きつくのにメガネがないと危ないじゃないですか。だからメガネ置き場に置いて入ることはできないんです! で、あの高熱だとメガネは冷たい濡れタオルに包んで冷やさないと変形しますからね。