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Sexy Zone 菊池風磨からラブコールを受け、iriが楽曲提供 構成などに見られる“らしさ”を考察

リアルサウンド

19/3/22(金) 7:00

 Sexy Zoneが、3月13日に新アルバム『PAGES』を発売。同作は、“人生の1ページ”をコンセプトに、生きていくなかでの様々な感情や景色を切り取るような楽曲を収めている。

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 本稿で紹介したいのは、同作の収録曲「make me bright」。シンガーソングライターのiriが作詞作曲、トラックメイカーのESME MORI(エズミ・モリ)が編曲を務めた楽曲だ。iriは、ヒップホップやR&Bなどをジャンルレスに落とし込む気鋭のアーティスト。3月6日には、3rdアルバム『Shade』を発売している。ESME MORIは、トラックアレンジの側面からiriを支えるクリエイターのひとり。これまで、彼女のライブ定番曲「Keepin’」や、最新アルバム収録曲「Wonderland」などに参加している。

 そんなiriの作品を普段より愛聴しているのが、メンバーの菊池風磨だ。菊池は、以前に放送された『らじらー!サタデー』(NHKラジオ第1)にて、彼女の楽曲「会いたいわ」をリクエスト。今年2月放送の同番組では、今回のアルバム制作にあたり、スタッフを通してラブコールを送ったと語る場面もあった。「make me bright」は菊池にとって、かねてからの願いを実現した貴重な一曲といえる。

 また菊池は番組内で、同楽曲は「アーバンでお洒落」とも紹介。そのトラックは、温かみあるキーボードとホーンを基軸にしており、他のアルバム収録曲と比べると、とりわけ少ない音数で構成。ESME MORIらしいアレンジが施されている。さらに、メンバーの歌割りも挑戦的なものに。J-POPのサビにあたるフックはメンバー全員で歌唱するものの、菊池が1番、中島健人が2番、マリウス葉と佐藤勝利が落ちサビをそれぞれ担当。マリウスと佐藤のパートは少々短いながらも、大サビを前に一気にビートが抜けるなど、楽曲で一番の聴かせどころが割り当てられている。

 そんな同楽曲は、ラジオでの解禁時よりファンを中心に大きな話題に。なかでも多く目にしたのが、「Sexy Zoneがiriの楽曲を歌っているみたい」という、あくまでポジティブなコメントだ。今回は楽曲提供という形式もあり、彼女のエッセンスも多分に含まれている。それでは「make me bright」に感じる“iriらしさ”は、どのように言語化できるのだろうか。

 その特徴のひとつが、緩急ある楽曲構成と譜割りにある。同楽曲では、ゆったりとしたフックと、菊池と中島によるソロパートが交互に繰り返される。後者では、フックに比べて小節ごとの言葉数を増やすほか、モノローグのように歌唱することで、寄せては返す波のような心地よさを表現。これは、様々な音楽要素をジャンルレスに組み込んだトラックの上で、歌とラップを自在に行き来する、iriのアーティスト性にも通ずるところだ。

 あわせて、楽曲におけるグルーヴの生まれ方も特に記名性が高い。その象徴といえるのが、フック最終部の〈いっそ 暗い迂回 問題はない/It’s so 深い愛 wanna make me bright〉というラインだ。ここでは、〈いっそ 暗い迂回〉と〈It’s so 深い愛〉で全踏み、〈問題はない〉と〈wanna make me bright〉で脚韻踏みと、2種類のライミング(=韻踏み)を交互に繰り返す。その際には、息継ぎをせずに滑らかに歌い上げることで、iriの作品でも特徴的なグルーヴを再現しているようだ。

 実際に、前述したESME MORI参加曲「Wonderland」を聴けば、フック最終部が同様の形式で歌われていることに気づくはずだ。そこで生まれるグルーヴはもちろん、柔らかなキーボードの鳴り響くトラックとの相性も相まり、自然と軽快な気持ちにさせられる。

 それらの特徴にあわせて、Sexy Zoneならではの表現も「make me bright」には反映されている。そのひとつが、ソロアーティストでは難しいと思われる、複数人による透き通るようなハーモニーだ。菊池は前述した今年2月の『らじらー!サタデー』にて、当初はソロ曲として打診されながらも、「俺は絶対、Sexy Zoneでやりたいんだ」と強く宣言したことを明かしている。

 あわせて、「iriちゃんの世界観が、Sexy Zoneに合わない訳がないと踏んだ曲なんです」ともコメント。活動休止中の松島聡がどのような歌割りになるかはもちろん、ダンスの振り付けなども気になるところだ。iriとメンバーの織りなす世界観が、ライブでどのように“化ける”のかを想像すると、思わずにやけてしまうに違いない。そんな未来への期待も高めつつ、まずは「make me bright」、そして『PAGES』をじっくりと聴き込みたい。(青木皓太)

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