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菅田将暉の溢れ出る“優しさ”が物語の鍵に? 『dele』ワールドが持つ誘引力を分析

リアルサウンド

18/8/3(金) 6:00

 7月27日に第1話が放送された『dele(ディーリー)』(テレビ朝日系)。デジタル遺品の中の秘密を紐解きながら、隠された真実を解明していく模様を描く本作。山田孝之演じる坂上圭司が経営する「dele.LIFE」は、依頼人の死後、その確認が取れ次第、依頼されたデジタルデータを削除する仕事を請け負っている。

参考:山田孝之は“目と口元”だけでキャラクターを表現する 『dele』圭司役で見せる新たな一面

 第1話の依頼人はゴシップ記者の安岡(本多章一)。彼の死に疑いをもった新米の真柴祐太郎(菅田将暉)は、依頼されたデータの内容を閲覧させてくれと圭司を説得する。結果、そのデータから警察の不祥事を把握した2人は、安岡とつながっていた片山薫(江口のりこ)の救出、不祥事にまつわるデータの回収と、見事難題を切り抜けていく。

 今後も本作ではデジタル遺品をもとに、様々な謎に立ち向かう2人が描かれていくことが予想されるが、本作が視聴者を引きつけるその魅力をレビューしていこう。

 まず、なにより『dele』の新しさはデジタル遺品を扱う作品であるということであろう。本作以外にも遺品にスポットを当てた作品は存在するが、『dele』 におけるデジタル遺品となると、幾分事情が複雑になる。というのも、本来は仕事の方針として、たとえ圭司らが見たところで何とも思わない内容であろうと、「中身は見ない」という圭司のルールがある。そもそも依頼人がデータ削除を依頼した理由は、誰にも見られたくないからであって、たとえそれを請け負う側とはいえ、見ないことが故人の望みである以上、見るということは故人の意志に反する行為なのだ。

 第1話では祐太郎が残された息子のためにも真実を明らかにしたいという思いから、圭司を説得してその中身をこじ開けてしまう。しかし、弁護士で圭司の姉の坂上舞(麻生久美子)との終盤の会話の中で、安岡がデータ削除を依頼した理由は、息子にゴシップ記者であることを知られたくなかったからではないかということが明らかにされた(息子は当然のことながら、祐太郎もこのことを知らされなかった)。だから、故人の意志は結果として“尊重”されることとなった。今後も、ひょっとすると“見てはいけない”という暗黙のルールを破ってしまうのかもしれないが、圭司らの対応に注視していきたい。

 加えて、『dele』の魅力に巧みなアクションの演出がある。肉体派でアクティブな祐太郎の豪快なアクションシーンもさることながら(圭司に「重力って知ってるか?」と言わせてしまうくらいに祐太郎は派手に振る舞う)、車椅子に座る圭司にも華麗な演出をしてみせた。祐太郎の行方を探す敵役の牧野(般若)に襲われそうになると、圭司は器用に車椅子を操作して、相手の手を掴み、見事に切り返す。当初は、圭司は祐太郎と対照的に、頭脳派としての安楽椅子探偵的な立ち位置なのではないかという印象があったが、ここぞという場面で祐太郎以上のインパクトを与えた。第2話以降も見どころの一つとなるだろう。アクション監修には、脚本も務める金城一紀が参加している。『奥様は、取り扱い注意』(日本テレビ系)、『CRISIS 公安機動捜査隊特捜班』(カンテレ・フジテレビ系)で見せてきたハイクオリティなアクションが繰り広げられるのは合点がいくところだ。

 そして、圭司と祐太郎のそれぞれのキャラクターとその関係性についても、物語全体を通して気になるところだ。第1話冒頭で、舞は圭司に祐太郎のことを「この子は人を少しだけ優しい気持ちにすることができる」と紹介する。実際、第1話の終盤で、祐太郎のことを思って、安岡のことを詳しく話さないと決めた圭司に対して、舞は「だから言ったでしょ。あいつは人を優しい気持ちにさせるって」と呟く。もちろん舞の言うように、「人を優しい気持ちにさせる」のもその通りだが、祐太郎自身からも優しさが滲み出ている。第1話では、一件落着した後に、祐太郎は給料を前借りして、安岡の息子に記者アイテムの一つである双眼鏡をプレゼントする。その時、祐太郎は自分からのプレゼントとは言わずに、安岡が生前息子のために購入していたものをたまたま見つけたと話して、安岡の息子を心の底から喜ばせる。クールな圭司との見事な対比となっているが、今後、祐太郎がどのような形で圭司に影響を与え、また、2人のバディの強さをどう向上させていくのかが楽しみだ。

 さて、『dele』は原案の本多孝好とともに、前述の金城一紀をはじめ、瀧本智行、青島武、渡辺雄介、徳永富彦らが脚本を務め、毎話で異なる人間ドラマが繰り広げられる。圭司と祐太郎の連携プレー、そして舞が2人にどのような影響を及ぼすのかも含めて刮目したい。(國重駿平)

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