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ポイントは“完璧にしないこと”。映画『ダンボ』衣装誕生秘話

ぴあ

19/4/5(金) 7:00

『ダンボ』 (C)2019 Disney Enterprises, Inc. All Rights Reserved

ティム・バートン監督の新作映画『ダンボ』が公開されている。バートン監督の作品は個性豊かで、時に強烈なビジュアルが魅力だが、彼と何度もタッグを組み、本作でも衣装デザインを手がけているのがコリーン・アトウッドだ。オスカー受賞経験もある名デザイナーは細部までこだわって作品を創造するバートン監督とどのように仕事を進めているのだろうか?

アトウッドは1990年製作の『シザーハンズ』でバートン作品の衣装を手がたのを皮切りに『マーズ・アタック!』や『アリス・イン・ワンダーランド』『ダーク・シャドウ』など繰り返しバートン監督とタッグを組んできた。監督は自分でデザインやイラストも手掛ける才人だが、通常はアトウッドが先に作業を始めるという。「多くの場合はティムと会って構想を聞いた後に、私がリサーチを始めます。今回の作品では1890年から1915年の時代のサーカスを調べましたが非常に興味深かったです。アメリカのサーカスは始まって以来、常に世界中の演目を組み合わせた内容だったことから、世界中のサーカスを調べ上げる必要があり、膨大な量のリサーチとなりました」

その後に彼女はデザインに取り掛かる。「集めた資料は白黒でしたから、リサーチの素材を少し引き伸ばし、その資料や画像に絵の具で色を塗って、使用したい色を思い浮かべることができました。これまで取り組んできた映画とは異なる方法でのリサーチでしたが、特に古い画像に色を塗るというプロセスはティムと私の作業をさらに興味深いものにしてくれました」。ちなみにバートン監督はアトウッドに“完璧にしないこと”を求めたという。「サーカスの公演が始まったばかりの時代は、出演者が自分達で衣装を作っていたために、良い出来とは言えなかったからです。衣装のデザインそのものに関しては特に何か言われることはありませんでした」

本作は耳の大きな子象ダンボとサーカス団が主人公の作品だけに、ショーの場面が多く、そのスケールは小さなものから壮大なシーンまでバラエティ豊か。またアトウッドが手がけた衣装を着たキャストが曲芸やアクロバットを披露する。「あの時代には、ストレッチ素材なんて存在しませんでしたから、生地に収縮性のあるものを加えてパフォーマー達が動きやすいようにしました。普通の布を使用してもパフォーマンスはできるけれど、やりにくいでしょうし、見た目もサーカスに適したものではありません。だから色々な素材を使って形やスタイルをあの時代に近いものにしながら、様々な動きができる衣装になるよう工夫していきました」

映画の衣装は展示やパーティに行くドレスと違い、あくまでも“演技”のためのもの。俳優が衣装を着て、照明があたり、それを撮影することでアトウッドの衣装は完成する。監督から「古めかしく、それでいてクールに見せたい」とリクエストを受けた彼女がどんな衣装を作り上げたのか? 映画館のスクリーンで存分に楽しんでほしい。

『ダンボ』 公開中

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