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SWAY、俳優×ラッパー×クリエイターとしてマルチな活躍 劇団EXILEでは“なごませ役”?

リアルサウンド

21/1/21(木) 8:00

 ドラマ、映画、CM、舞台と幅広いステージで活躍を続けている劇団EXILE。本稿では、劇団EXILEのメンバー一人ひとりのフィルモグラフィをたどりながらその魅力を分析。第8回目は、DOBERMAN INFINITY、HONEST BOYZのメンバーとしても活躍するSWAYについて紹介していく。(編集部)

 劇団EXILEの中では唯一、俳優業のほかに、2014年からDOBERMAN INFINITYのメンバーとして、そして2016年からはHONEST BOYZのメンバーとしても活動しているSWAY。

 彼は、地元北海道でSHOKICHI、佐藤広大などが所属するクルーWILD STYLEに所属。トロント留学後に、東京に拠点を移し、多くのEXILE TRIBEが出演してきた『あたっくNo.1』で俳優デビューし、その後2012年9月に劇団EXILEに加入した。

 俳優活動としては、LDHのメンバーたちが多く出演する『シュガーレス』(日本テレビ系/2012年)や、『戦力外捜査官 SPECIAL』(日本テレビ系/2015年)『ワイルド・ヒーローズ』(日本テレビ系/2015年)などに出演。

 『シュガーレス』では、白濱亜嵐演じる高校1年生の主人公が立ち向かう相手のひとり、2年生の盛田イサミを演じた。ほとんど制服を着ていない登場人物の中では珍しく、学ランに髭に坊主頭の一見、硬派そうなキャラクターを演じていた。2年対1年で、同じ劇団EXILEに所属する鈴木伸之との対戦があるのも、今観ると興味深い。

 また、『戦力外捜査官 SPECIAL』と『ワイルド・ヒーローズ』では、 徳井哲平(ポンジャラ)という同じ役で出演。これは、『SPECIAL』の放送のすぐあとに『ワイルド・ヒーローズ』の放送があったからで、SWAY(2019年までは野替愁平名義だった)のほかにも岩田剛典や佐藤大樹や黒木啓司も出演している。

 『ワイルド・ヒーローズ』で見せたポンジャラのキャラクターは、TAKAHIRO演じる主人公・キー坊の高校時代の7人いる仲間の一人。ポンジャラは、スーツ姿でスーパーで働く万引きGメン。中学生の万引きを見つけたポンジャラは、すぐに警察に引き渡そうとする店長に疑問を感じている。

 この作品は、どことなく自分の現在のありかたに疑問を感じている面々が、キー坊と出会い、そして戦うべき敵が前に立ちはだかったことで、協力しあい、生きる道を見つけるという物語になっている。こうしたテーマは、LDHの代表作である『HiGH&LOW』』のスピンオフ作品『DTC -湯けむり純情篇- from HiGH&LOW』にも共通しているようにも思える。

 一方、『HiGH&LOW』シリーズでは、音楽とファッションの力で自分たちの理想郷を作ることを目的としたMIGHTY WARRIORSのメンバーのPEARLとして登場。このコンセプトの通り、MIGHTY WARRIORSのメンバーは、SWAYの他にもELLYや白濱亜嵐、NAOTOなど、音楽活動をしているメンバーが中心で、作品の中でもライブパフォーマンスを披露している。

 こうしたクールな役も似合っているが、今のところ、『ワイルド・ヒーローズ』で見せたような、表裏がなくて、屈託がない役からその魅力が伝わってくる段階なのかもしれないとも思う。劇団EXILE総出演の舞台『勇者のために鐘は鳴る』でも、こうしたタイプの役を演じている。

 メンバー全員でミーティングを重ねながら作っていった『勇者のために鐘は鳴る』でSWAYは真っ赤な忍者の衣装で半蔵という役を演じた。語尾に「ござる」などと忍者のような言葉遣いをするのには、理由があったとわかる役で、まっすぐで気持ちのいい人物であった。

 舞台の記者会見では「ひさびさの舞台なので個人的にはみんなに迷惑をかけないように愛の手裏剣を飛ばしたいなと思います」と言って、その場をなごませていた。インタビュー(参考:劇団EXILE、9人の異なる個性はどのように交わる? 初の全メンバー出演舞台にかける意気込み)のときも、劇団やDOBERMAN INFINITYのメンバー(主に劇団の方が多いが)が脱線しそうなときなども、空気をなごませてくれるようなところがあったように思う。

 実際、SWAY自身も、ヒップホップやラップには、どうしても“ワル”のイメージがあり、自分に悪い部分がないと、中身のない音楽になるんじゃないかと、真剣に悩んだこともあったという。しかし、さまざまなヒップホップアーティストをみて、「なんだ、ワルじゃなくてもいいんだ」と安心して、それからは「自分にウソのない言葉選びや音楽性にしたいと心がけている」と語っているのを見て納得した(参照:心優しきラッパー、SWAYがラップに込めた思い | 大手小町)。

 2019年は、斎藤工が齊藤工名義で芸人の永野とともにプロデュースした映画『MANRIKI』にも出演。SWAYの役は神野三鈴演じる女性の「ヒモ」役。この映画自体が、どう解釈してよいのか、すぐには言葉にできない作品で、ルッキズムが過剰になった世の中にある罠みたいなものを描いているのかなという気もするのだが、SWAYは、そんな難解な世界の中でも、ひとり奇妙なまっすぐさを持った役を演じているようにも思う。もちろん、決して善良な役というわけではないのだが、それだけにインパクトがあった。

 映画の中で、普段はそこまで観察眼が鋭いわけでもないのに、持ち前の野生の勘で、ときおり、普通の人には考え付かないような本質をついていたことを言うキャラクターというのはいるものだ。香港映画『インファナル・アフェア』でチャップマン・トーが演じる後輩刑事がそんなキャラクターだったのだが、『MANRIKI』のSWAYにもそういうものを感じてしまった。

 俳優活動、音楽活動に加え、SWAYはクリエイティブユニット「N0IR(ノアール)」を結成し、Reebokとコラボし、クリエイションを生み出している。このほか、青柳翔のツアーグッズや、番組『EXILE TRIBE 男旅』(UHB)と『ローソン』のコラボの『からあげクン 昆布しょうゆ味』のパッケージをデザインしたりと多彩な才能を発揮している。

 またソロラッパーとしての活動も行っていて、ファースト・アルバムは、あのDef Jam Recordingsからリリースしている。去年11月には、DOBELのメンバーのKAZUKIとともに、ソロ初配信ライブも行った。今後も、俳優としても、グループのメンバーとしても、そしてソロのラッパー、クリエイターとして、さまざまな活躍を見せてくれそうだ。

■西森路代
ライター。1972年生まれ。大学卒業後、地方テレビ局のOLを経て上京。派遣、編集プロダクション、ラジオディレクターを経てフリーランスライターに。アジアのエンターテイメントと女子、人気について主に執筆。共著に「女子会2.0」がある。また、TBS RADIO 文化系トークラジオ Lifeにも出演している。

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