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『アンサング・シンデレラ』井之脇海がたどり着いた答え 医者と薬剤師、親と子の確執が交差

リアルサウンド

20/8/7(金) 6:00

 萬津総合病院に入院してきたのは、羽倉龍之介(井之脇海)の父親の龍一(菅原大吉)だった。そこには“医者”対“薬剤師”、そして“親”対“子”の確執が交差した複雑な問題が影を落としていた。『アンサング・シンデレラ 病院薬剤師の処方箋』(フジテレビ系)の第4話では、龍之介の過去と彼の薬剤師の仕事についての想いが描かれる。

【写真】 『義母と娘のブルース』ヒロキくんを演じた井之脇海

 龍之介は薬剤部のムードメーカー、いつも明るく穏やかに振る舞い、薬剤部のメンバーの癒しともいえる存在であった。だが、父親の龍一が萬津総合病院に入院してきたことで、母親の志帆(宮田早苗)が薬剤部まで挨拶に来る。もともと父との間に確執のあった龍之介は、母親から父親に会うように促されるが、「余計なことすんなって!」と声を荒げるのであった。龍之介の意外な一面に薬剤部のメンバーも困惑。さらに龍一は脳神経外科界の権威で、関東薬事連盟の理事選の投票権を持っている。そのことで、医師や薬剤部部長の販田(真矢ミキ)まで龍之介にゴマをすり、父親を紹介してもらおうとするのであった。

 医学部受験を失敗、それでも医療に関わりたいとの思いから薬剤師になった龍之介だが、父と衝突を繰り返す。第4話では、医療の世界における医師の立場の強さというものを改めて感じさせるシーンが数多くあった。そして憧れていた父から拒絶される苦しみを乗り越え、薬剤師になった龍之介の背景が明かされた。今回もみどり(石原さとみ)は患者への“お節介”を繰り返しながら、問題解決に務める。龍一の容態が、病気ではなく薬の多剤服用であったことを突き止めたのだ。今からでも龍之介に医師になってもらい、病院をついでほしいと考えていた龍一だったが、龍之介はみどりが患者のために努力する姿を見て、改めて薬剤師として頑張っていくことを堂々と父に伝え、2人は和解する。これは龍之介にとって医師を目指した理由ともなる「患者を救いたい」という想いを、薬剤師の仕事を通して叶えられると答えが出たとも言えるだろう。こうしてみどりの行動が、院内の空気を少しずつ変えていく。

 今話のキーパーソンとなった龍之介を演じたのは若手俳優の井之脇海だ。きちんと切りそろえた髪に眼鏡姿、明るく薬剤部のことを説明する羽倉龍之介を独特なテンションで演じる。さらに、薬剤部のマスコットキャラクターのような存在だった龍之介を第4話で深掘りすることで、井之脇がより深く龍之介のキャラクターを表現していたことを知ることとなる。

 井之脇は子役時代からキャリアを積み、時代劇から学生役を経て、23歳のときには『集団左遷!!』(TBS系)で若いながらもサラリーマン役を演じきっており、多種多様なキャラクターを担ってきた実績がある。どんな役でも器用に演じ分け、見るたびに違った表情を見せてくれる役者だ。2018年には『義母と娘のブルース』(TBS系)に出演、上白石萌歌演じるみゆきと恋仲になるひろき役を演じた。折しも2人はキリンビバレッジ「午後の紅茶」CMでも初々しい高校生カップルとして共演中であったことから、当時『義母と娘のブルース』での2人の姿は「ギボムスのカップルって、午後の紅茶のあの二人!?」とかなりの話題になった。

 本作では複雑な事情を抱えながらも薬剤師という仕事を全うし、さらに普段は明るく振る舞うムードメーカーという難しい役で、多くの視聴者を涙ぐませるような芝居を見せる。細かい表情から声のトーンまで、丁寧に練り上げられた芝居で、ベテラン揃いの本作でも引けを取らない芝居を見せてくれた。

 院内での地位や名誉にかかわらず、薬剤師という仕事にやりがいを見つけ努力するみどりや龍之介の姿からは、仕事に向き合う上での姿勢を学ばせてもらえるだろう。讃えられない“アンサング”な仕事など世の中にはないのではないだろうか。

(Nana Numoto)

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