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三浦風雅『ONE in a Billion』グランプリ獲得者インタビュー 仲間と切磋琢磨したオーディションと自身の成長

リアルサウンド

20/2/22(土) 20:00

 ソニーミュージックが、昨秋にオーディションブランド『ONE in a Billion(ワン・イン・ア・ビリオン)』を設立。1stシーズンとして男性ボーカルオーディションを昨年9月より開催し、約半年におよぶ審査が行われた。そして、2020年2月5日のZepp DiverCity(TOKYO)ファイナルライブ審査にて、約4000名の応募の中からシンガーソングライターの三浦風雅が見事グランプリを獲得した。

【ワンビリMV審査映像】23_三浦風雅「promise」

 オーディション以前から路上やライブハウスなどで歌手活動を行ってきた三浦風雅。その甘いマスクと経験に裏打ちされた歌声は、実技審査序盤の歌唱力審査でも一際注目を集める存在に。本オーディションは、ソニーミュージックスタッフによる審査をはじめ、YouTubeやSNSでの一般視聴者の反響などを複合的に加味し、ランキング形式で参加者を順位付けしていく。三浦はオーディション中盤にライブ審査をやむなく欠席してしまい、一度最下位へ転落。しかし、そこから次のMV審査で3位に巻き返し、合宿審査を経てグランプリをも獲得するという波乱を巻き起こした。

 リアルサウンドでは、合宿審査中に三浦のキャリアとオーディション途中経過をインタビュー(メジャーデビューの切符は誰の手に? 新世代シンガーの座を争う『ONE in a Billion』参加者インタビュー)したが、グランプリ獲得後に改めて話を聞く機会を得た。メジャーデビューの権利を獲得した三浦は、オーディションを通して何を感じ何を得たのか、ファイナルライブ審査当日の様子や半年のオーディション期間を振り返りながら、今のリアルな気持ちを語ってもらった。(榑林史章)

グランプリだからと浮かれず謙虚に

三浦風雅

ーー2月5日にファイナルライブ審査を終え、ひとりでゆっくり振り返る時間はありましたか?

三浦風雅(以下、三浦):そうですね。当日は実感があまり湧かなかったのですが、翌日には今まで僕がして来た音楽活動を振り返ることが出来ました。やっとここまで来られたではないけど、上手く続かずに歌手の夢を諦めようと挫折しかけた時期もあったので、グランプリに選んでいただいたことで希望の光みたいなものが見えたと言うか。やっとアーティストとしてのスタートラインに立てたなと思う反面、今までやって来たことは間違いじゃなかったんだなと安心した気持ちです。

ーー審査後はコメント撮りなどもあって、その後すぐに帰られたのですか?

三浦:はい。すぐ帰りました。たまたまファイナリストのみんなが同じ方面だったので、一緒に電車に乗っていろいろ話しました。でも正直、ちょっと複雑な気持ちでしたね。みんな同じところを目指していたわけだし。でも前向きな話もして、「また会おう」とか「次は同じ舞台でライブをやりたいね」と約束して。そういう部分では今後が楽しみになったし、ここで満足していてはいけないなって。うかうかしていると、みんなにどんどん抜かれていくと思うので。

ーー祝賀会みたいなものはなかったんですね。

三浦:友だちも見に来てくれていたけど、時間もけっこう遅かったから。普通に家に帰って、お腹がすいていたので、冷蔵庫にあったウインナーを焼いて、ひとりでちょっとお酒を飲んで、その日はそのまま寝てしまいました。それで朝起きたら通知が溜まっていて。メールやSNSを見ながら、そこでいろいろなことを再確認した感じです。こんなにも僕のことを気にして応援してくれている人がいっぱいいたんだなって。あとWEBのニュース記事がたくさん出ていたので、それを見て「グランプリは本当だったんだ」と実感するような部分もありました。

ーーファイナルライブ審査の1日を振り返ると、どうでしたか?

三浦:会場に入った時から緊張していて。最初に成山(俊太郎)くんと会ったんですけど、「おう!」って挨拶して、「今日頑張りましょう」みたいな話をしてからは、だいぶ気持ちが楽になりました。そこに遅れてMASAZAYNと木下(優真)くんがやって来て、「こういう機会だし、今日は楽しもう」みたいな話をして。その時はバチバチはしてなかったんですけど、だんだん本番が近づいてくるにつれて、固くなっている僕と木下くんがいて。MASAZAYNと成山くんは、「ぜんぜん余裕でしょ!」と言っていて。それを聞いて、僕はちょっとぴりつきましたけどね。(笑)「こっちはこんなに緊張しているのに」って。

ーー緊張と気合いが入り交じった感じで。

三浦:気合いも入っていましたし、その中で自分でも楽しむということは忘れないようにしよう、と。

ーー楽しめましたか?

三浦:楽しめた……かな? ただ、もともと緊張するほうで、出番の直前まで何度もトイレに行っていました。ステージに立ってからも1曲目がアカペラで入ったので、そこまではまだすごく緊張していて。2曲目以降は自分の曲だったので緊張もなく、すごく楽しめました。

ーーパフォーマンスの出来は、自分ではどのくらいだった?

三浦:正直、自分の中ではあまり良くなくて。トータルで50点にも満たないくらいの感触でした。僕はライブ全体のパフォーマンスで勝負したくて、ステージングはまあまあだったと思うんですけど、他の3人が自分のオリジナリティでガツンとかましてきたと感じて。みんな選曲で勝負をかけてきていたので、「そっちか〜」と思って。その点で、ダメかもしれないと思っていました。

ーー曲のオリジナリティよりも、三浦さんはステージングで勝負しようと思ったのは、どういう考えで?

三浦:ライブ審査だったから、ライブ感を大切にしたほうが良いだろうと思ったんです。それに僕がライブをする時は、いつもみんなと一緒に楽しみたいとか、みんなと一つになりたいという思いがあって。音源では味わえないライブにしかない魅力をみんなと共有する、ライブという空間が僕は好きなので、変に自己主張するよりもみんなと一緒に歌って楽しみたいと思ったんです。それでライブ中はお客さんに「もっともっと」と煽ったりして。

ーーステージを終えて、発表まで間があったわけですけど。その間は?

三浦:すごく怖かったです。僕たちも控え室で生配信を見ていて、コメント欄を見ると「成山くんだろう」という意見がたくさん流れていて。正直僕も、きっとそうだろうと思っていました。だから僕に決まった時は、自分でも驚きました。ゲスト審査員に清水翔太さんがいらっしゃったので、音楽面を厳しく見てくださると思ったし、僕もみんなと同じように曲のオリジナリティで勝負したほうが良かったんじゃないかって。だから嬉しさもありつつ、動揺があったのも正直なところです。だからグランプリだからと浮かれるのではなく、謙虚に受け止めるべきだろうと思いました。

FUGARのみんながもう一度チャンスをくれた

ーー以前から音楽活動をしてきて、その上で半年ぐらい『ワンビリ』のオーディションに参加してきた。この期間は自分の音楽人生の中で、どういうものになったと思いますか?

三浦:『ワンビリ』は、まわりと競い合うような雰囲気があまりなかったので、単純に自分との戦いというほうが大きかったと思います。その部分では自分を見つめ直すことが出来たし、同時にいろんな人と出会うことが出来ました。いろんな考え方の人がいて、自分とは違う考え方を持った人と出会えたことは良かったと思っています。単純に「この人の曲はすごく良いな」って、曲作りの面で刺激を受けることが出来て。シンガーソングライターとしてまだまだだなと再確認したし、自分にとってプラスになった期間です。他の人の曲を聴いたり話をすることが、自分の新しい考え方や音楽に繋がると思ったし。自分にないものを持っている人たちと一緒に切磋琢磨出来たのは、本当に良い経験だったと思います。

ーー人と比べることが必ずしも良いわけではないけど、今まで1人でやって来た三浦さんとしては、自分の実力や自分に必要なものと対峙する良い機会になったわけですね。

三浦:そうですね。以前は必死すぎて、自分のことを客観的に見れてなくて。だからこの期間は、一歩引いた視点から自分を見ることが出来たと思います。

ーーこのオーディション期間で、一番成長出来たなと思うところはありますか? 合宿審査の時のインタビューでは、メンタルの弱さを挙げていましたけど。

三浦:メンタルの弱さは、まだあまり変わっていないかもしれません。ライブ審査の当日にお腹を壊すくらいですから(笑)。でも、合宿審査では木下くんとデュオを組んで練習したんですけど、お互いのことをすごく話して、相手を分析しながら、じゃあ自分はこうしようと。相手の良さを引き出しながら、自分の良さも出していく。人とバランスを取ることを学びました。

ーー協調性みたいな。

三浦:はい。自分の要望を伝えたり、相手の意図を察するようなコミュニケーション能力は少し成長出来たかなと思います。あとは急遽課題を出されるようなことも多かったので、それに対する対応力も磨かれたかなと思います。たとえばMVを作る審査もあって、それは僕がライブ審査に不参加だったことで遅れてしまったんですけど……2時間くらいしか制作時間がない中で、頭をフル回転させて何とか形に出来たかなって。

ーーMV審査は3位だったわけですが、その前のライブ審査を欠席して16位だった。ライブ審査欠席のマイナス分を巻き返し、合宿審査に進んだという流れは、どんな風に感じていますか?

三浦:ライブ審査は、体調不良で欠席してしまいました。『ワンビリ』もすごく大事だったんですけど、今まで準備を続けて来た自分のライブが審査の翌日にあって、そのライブを楽しみにしてくれているファンの方を裏切りたくないという気持ちが大きくて欠席を選びました。そのライブは、僕が今まで積み重ねて来たものの集大成のようなライブだったので、それを大事にしたいという気持ちが大きくて。その結果、当たり前ですけどライブ審査は16位。『ワンビリ』で応援してくれる方もたくさんいらっしゃった中で、どちらかを取らないといけないといった状況だったので、本当にギリギリまですごく悩んだんですけど。

ーー断腸の思いだったと。

三浦:『ワンビリ』に参加する以前から決まっていたライブで、前々から楽しみにしてくださっているファンのみなさんがたくさんいたので。もう正直、ライブ審査を欠席した時はオーディションからリタイアさせられる覚悟だったんです。そうしたら16位から、MV審査に参加させてもらえるということで。これは死ぬ気で頑張って、絶対に1位を獲らなければと思いましたね。一旦16位まで下がって、そこからまた上位に上がるためには、応援してくださる方もきっと大変だったろうと思うんです。それでも応援してくれるという、そんなみんなの思いを裏切りたくなくて、絶対1位を獲るぞと。

ーーMV審査は審査中に10万回再生を突破して3位に浮上。16位から3位というのはすごい。

三浦:それは自分の実力ではなく、すべて応援してくれたみんなのおかげです。それによって合宿審査に進めたので、この結果にはとても満足しています。もちろん「どうしよう」という焦りもあって、自分でSNSを使って発信するようにしました。そこでさらにたくさん応援してもらえたことは、本当にありがたいことで感謝しています。

ーー応援してくれるFUGARのみんなが、もう1度チャンスをくれた。

三浦:はい。応援してくれるみんなが、僕を合宿審査に進めさせてくれました。その気持ちを胸に合宿に臨み、みんながくれたチャンスをものにしなければという思いでいました。

ーー競い合うような感じはなかったと最初におっしゃっていましたが、モチベーションとしてはお客さんの応援が胸にはあった。

三浦:僕自身では、絶対勝ち残るぞと強い気持ちを持っていました。16位から合宿に進ませてくれたファンの方々の応援は、これから先も絶対に忘れちゃいけないって。

27歳までに東京ドーム

ーーオーディションに参加した他のみなさんについては? 合宿審査の最後は、途中で脱落した荒木さんやきゃないさんといった参加者と泣いて別れを惜しむ場面もありました。

三浦:みんなライバルではあったけど、良き仲間でもあったなって。合宿最終日の明け方まで、みんなでいろいろなことを話したんです。最初はきゃないと木下くんで、人生や歌手としての未来、お互いの歌のこととか、けっこう熱い話をしていて。「もっと俺はこうしたい」「俺はこう思う」みたいな。朝3時とか4時だったかな? MASAZAYNとか成山くんも起きて来て話に混じって。『ワンビリ』に参加してから、お互いの深いところまで話す機会はなかったので、その時に初めてそれぞれのことをすごく知ることが出来たんです。その数時間後の別れですから、それは泣きますよ(笑)。

ーー審査を通して、いちばん印象に残っていることは?

三浦:やっぱり合宿審査で、清水翔太さんの前で、ご本人の歌を歌わせていただいたことです。そんな機会はなかなかないし、アドバイスもいただけたので。

ーーなんと言われたんでしたっけ?

三浦:「驚きはない」と(笑)。厳しい言葉でも、言ってもらえただけありがたかったです。

ーー清水翔太さんは、ファイナル審査でも「グランプリを獲っただけではまだ人生は変わらない」と言っていましたね。

三浦:別に自信満々だったわけではなかったけど、今のレベルじゃ全然ダメなんだなって。きっと眼中にもないくらいだったんだと思います。だから、まずは、また聴いてもらえるところまで行けるように、耳に入れてもらえることを目標に、頑張ろうと思いました。

ーーそんな出会いも含めて、『ワンビリ』を通して自分の中の音楽観みたいなものは何か変わりました?

三浦:それは変わっていません。自分が目指しているのは……僕は音楽で、その人の人生すべてを変えたいわけではなくて、ほんのちょっとで良いので、楽しい時にちょっと気持ちをプラスしてあげたり、悲しい時にちょっと寄り添ってあげたり、心の中のちょっとの支えになれる音楽をやりたいと思っています。僕自身も辛い時などに音楽に助けられて、それで音楽を始めたのもあるし。きれい事を言ってるみたいですけど、本当にそう思っていて。その思いは、むしろ強くなったかもしれません。

ーー7月にはツアーも決まってるそうですね。

三浦:以前に「1人で1000人も集められるわけがない」と、とある先輩から言われたことがあって。大人たちからも言われて、そういう風に頭から出来ないと言われると悔しいじゃないですか。それでライブ審査を欠席した翌日のライブで、1000人を動員することが出来たんです。だから今度は、ツアーの3公演を通して2000人を集めることを目標にしています。

ーーまだ漠然とはしていると思いますが、メジャーデビューが決まって、今後何かやりたいことは?

三浦:正直今までと何が変わるのかまだわからなくて。ただ、自分が27歳になるまでには東京ドームに立ちたいということをずっと言って来ていて、でもそれは漠然としたものだったんですね。これから、それに向けてどういうプランを立てれば良いのか、スタッフさんに相談に乗ってもらいながら、「27歳までに東京ドーム」という目標をリアルなものに出来るように話し合っていければと思っています。

■番組情報
ファイナルライブ審査総集編
2月14日(金)20:00~放送中(全4回放送予定)
番組MC:ガーリィレコードチャンネル
番組公式アンバサダー:スカイピース

■関連リンク
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