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NMB48、幕張での8周年ライブに見た“グループの軌跡”とその継承

リアルサウンド

18/10/12(金) 12:00

 NMB48が10月2日、千葉・幕張メッセイベントホールで開催した結成8周年記念ライブ『NMB48 8th Anniversary LIVE』は、関東圏のファンにとってはレアな“濃いNMB48”を体感できたイベントだったように思う。

 というのも、大阪を拠点に活動するNMB48が関東圏で周年ライブを実施したのは初めてのことだからだ。ライブはアリーナ後方から山本彩を先頭に、メンバーがなだれ込んでくる「NMB48」でスタート。「オーマイガー!」「北川謙二」「僕らのユリイカ」「らしくない」と勢いのあるシングル曲で一気に場の空気を温めた。

 直後、映像パートとなり「2028年のNMB48劇場」をテーマにした映像コントが上映される。白間美瑠は弁護士、吉田朱里は化粧品会社社長、山本彩は見た目の派手なロックミュージシャン、川上礼奈は33歳の現役アイドルとしてそれぞれ活躍している、という設定らしい。彼女たちが18年前を思い出す、という流れから、モニターには2010年10月9日、AKB48のライブで1期研究生26人がお披露目された際の映像が映し出され、ステージには今や4人となった現役1期生(山本彩、川上礼奈、白間美瑠、吉田朱里)が登場。山本は当時の初々しいポーズと言葉をそのまま真似し、各自が「吉田朱里22歳です」「白間美瑠20歳です」「山本彩25歳です」「川上礼奈23歳です」と年齢とともに自己紹介。山本が「以上、第1期生、残り4名です。よろしくお願いします」と言い放ち、笑いと歓声が起こった。

 ここから、グループの歴史を振り返りつつも、それを更新するセットリストへ。まずはチームN 1st Stage『誰かのために』で披露された「小池」。オリジナルメンバーでは山田菜々が担当していた台詞パートを、妹の山田寿々が引き継いでいたことに感慨深くなる。続けて塩月希依音、大田莉央奈をWセンターに研究生27名が披露した「なんでやねんアイドル」、今春卒業した矢倉楓子のセンター曲「冬将軍のリグレット」は梅山恋和に継承される形で披露され、吉田・村瀬紗英・上西怜による「ジッパー」、次世代エース・山本彩加をセンターにした「ピーク」をパフォーマンス。この間もずっと、過去の映像がメインモニターに流れ続けていることに、当時からのファンは感動を覚えただろう。

 そして圧巻だったのは「ここにだって天使はいる」。NMB48にとって初のオリジナル公演だったチームN 3rd Stage『ここにだって天使はいる』の楽曲を、山本彩と同演目のリバイバル公演を成し遂げたカトレア組がともに披露。そこから太田夢莉をセンターに据え、キレのあるパフォーマンスが目を引いた「カモネギックス」、白間が「わるるん」として披露した「わるきー」を終え、MCののち再び映像コントへ。谷川愛梨は5児の母、渋谷凪咲は売れっ子バラエティータレントになっているという追加設定も加えられ、“雑なフリ(渋谷)”から名曲「想像の詩人」が、当時の研究生(明石奈津子、石田優美、鵜野みずき、大段舞依、城恵理子、西澤瑠莉奈、森田彩花、山尾梨奈)で歌い上げられるかと思えば、そこに現研究生も加わり、時空を超えた“研究生楽曲”として歌唱されたのもハイライトのひとつだ。

 中盤は「匙を投げるな」(チームBII)「四字熟語ガールズ」(チームM)「阪急電車」(チームN)とチーム楽曲が披露されたが、「阪急電車」における山本彩と山本彩加のペアダンスは、山本彩加の去りゆく先輩への思いと、山本彩の残していく後輩への思いがぶつかり合ったような熱さを感じた。続く「Which One」は、吉田がプロデュースした“女子力選抜”ユニットQueentet(吉田、太田、渋谷、村瀬、植村梓)の楽曲。以前( https://realsound.jp/2017/09/post-112453.html )にも書いたようにNMB48は吉田をはじめとするメンバーの個性から女性ファンが多く、この日も大きな女性専用エリアが設けられていた。最近では村瀬がアパレルブランド「ANDGEEBEE」のプロデューサーになるなど、その路線もより発展していっており、Queentetでもガーリーな衣装と楽曲に、黄色い歓声が浴びせられた。そこから「太陽が坂道を昇る頃」、「僕は愛されてはいない」「ドリアン少年」「欲望者」と続いたが、山本彩が白間のソロ曲である「僕は愛されてはいない」を歌い上げたことにも驚いた。

 映像コントの第3弾では、山本彩加が世界的モデル兼盆栽職人、太田夢莉は引きこもりの株トレーダーとして登場し、これまでの設定をそのまま、メンバーはステージの上へ。「10年前にバズった曲をやろう」という振りから「ワロタピーポー」を披露。「虹の作り方」「サササ サイコー!」が若手メンバーを中心に披露されたあと、驚きのカバー曲ゾーンへ。まずは、坂道AKBとしてリリースされた「国境のない時代」が、太田夢莉をセンターに据えてパフォーマンス。太田の刹那的な雰囲気とダンスは、シリアスな原曲の世界観を汲み取ったうえで、さらに一段階上の表現に昇華しているように感じられた。

 さらに「Teacher Teacher」は、センターを山本彩が、『PRODUCE 48』で爪痕を残した白間と村瀬がその脇を固める布陣に。原曲はAKB48の小栗有以がセンターを務め、幼い彼女が大人びた表現へと向かう様をK-POPオマージュの楽曲で表現していたが、この3人をはじめとしたNMB48の年長メンバーがフロントで踊ると、こうも大人っぽくセクシーで、キレのある楽曲になるのかと衝撃を受けた。特に「カモネギックス」「Which One」でも顕著だったが、村瀬のパフォーマンスが見違えるように進化しているのを見れたのが、この日一番の収穫といっていい。

 終盤は「妄想ガールフレンド」「ナギイチ」「イビサガール」「高嶺の林檎」「届かなそうで届くもの」で本編を終えると、アンコールでは山本彩の卒業シングル表題曲「僕だって泣いちゃうよ」を初パフォーマンス。感動的な雰囲気になるものの、山本彩が「私だって泣いちゃうよという感じで……あっ、すべったな(笑)」と明るい雰囲気に引き戻し、MCでは吉田が来年春にアパレルブランドを立ち上げることを発表。吉田はこれを受け「NMB48の新しい道を作りたいし、私は私なりの形でNMB48を引っ張っていきたい。さや姉がいる間に並ぶことはできなかったけど、私がいる間に『いつまで吉田に頼ってるんだ!』と言われるくらいにしていきたい」と熱い思いを述べた。NMB48は多様性のあるグループへとさらに進化しているが、そうなったのは吉田の活躍を抜きには語れない。彼女が躍進すればするほど、先日インタビューを掲載した石塚朱莉( https://realsound.jp/tech/2018/10/post-257654.html )のように、「打倒、吉田朱里」を掲げてより個性を磨くメンバーも増えてくるだろう。

 ラストはパートが期生ごとに分かれる「三日月の背中」、定番の「青春のラップタイム」でライブを終えた、かと思えば、会場の声援に応えてWアンコールへと突入。2度目の「ワロタピーポー」で公演を締めくくった。

 山本彩もこの場では湿っぽい表現を避けていたが、10月17日には地元・大阪城ホールで8周年記念ライブが、27日には大阪・万博記念公園 東の広場で彼女の卒業コンサートが開かれる。この日のライブはそんな別れを前にして、シングル曲や公演曲でグループの軌跡を振り返りながら、成長・継承を提示するという、とても意義のあるステージだった。

(取材・文=中村拓海)

■『NMB48 8th Anniversary LIVE』幕張公演セットリスト
overture
01. NMB48
02. オーマイガー
03. 北川謙二
04. 僕らのユリイカ
05. らしくない
06. 小池
07. なんでやねんアイドル
08. 冬将軍のリグレット
09. ジッパー
10. ピーク
11. ここにだって天使はいる
12. カモネギックス
13. わるきー
14. 想像の詩人
15. 匙を投げるな
16. 四字熟語ガールズ
17. 阪急電車
18. Which one
19. 太陽が坂道をのぼる頃
20. 僕は愛されてはいない
21. ドリアン少年
22. 欲望者
23. ワロタピーポー
24. 虹の作り方
25. ササササイコー
26. 国境のない時代
27. Teacher Teacher
28. 妄想ガールフレンド
29. ナギイチ
30. イビサガール
31. 高嶺の林檎
32. 届かなそうで届くもの
En1. 僕だって泣いちゃうよ
En2. 三日月の背中
En3. 青春のラップタイム
WEn. ワロタピーポー

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