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プライベートでは2児の父! 片桐 仁、映画『ステップ』を語る

7月17日(金)公開

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『ステップ』公式サイト/SNS

(C)2020映画『ステップ』製作委員会

人気タレントで俳優の片桐仁さんに『ステップ』の感想を直撃! 自身も子を持つ父親の彼は本作をどう観たのか? 自身の経験、子供や父親への想いを絡めながら独自の視点で分析したそのコメントは、ただ褒めちぎるのではなく、“なるほどな~”と気づかせてくれる実際に子育てを経験したことのある人にしか語れない辛口なところも。本作の観方が変わって、魅力が広がるかもしれません。

すごく新鮮な山田さんと豪華な名優たちの演技合戦 

── 『ステップ』をご覧になった感想からお聞かせいただけますか?

たまらないですよ、いきなりお母さんが死んじゃうんですから。俺も“奥さんが死んだらどうしよう?”っていまも思うことありますし、嫁さんにも「私が死んだらどうするの?」って言われたことがあるけれど、確かに家が回らない。しかも、うちは男の子ふたりだけど、この映画の場合は娘だから、女の子特有の頭のよさみたいなのもあるじゃないですか? そんな感じで、子供が実際にいるのか、重松清さんの原作を読んでいるのかで、観た人の感想が違ってくると思いました。

── 主人公のシングルファーザー・健一を演じられた山田孝之さんはいかがでした?

最近の山田さんは奇抜なキャラを演じたり、自分から行動を起こすような役が多いイメージだったけど、今回はずっとリアクションの芝居だったじゃないですか。奥さんが死んで娘がだんだん大人になっていくその時々の主人公を、モノローグと表情だけで見せていく山田さんはあまり見たことがなかったので、すごく新鮮でした。

本作では山田孝之が子育てに奔走するシングルファーザー役に挑戦!

── 周りのキャラクターやそれぞれの役を演じられた俳優陣もよかったですね。

豪華な名優たちの演技合戦だと思いましたよ(笑)。それこそ『全裸監督』でAV監督の村西とおるを演じた山田さんと極悪ヤクザに扮していた國村隼さんが、実直な主人公と優しい義父役で共演していたから、何なのこの関係は? と思って(笑)。 でも、義兄役の角ちゃん(角田晃広)がビールを飲みながら山田さんに「彼女ができたのか?」みたいなことを言うシーンはいいなと思いましたね。あそこでは子供ができなくて、妊活も諦めて“何だったら、オマエの娘をくれよ”ぐらいの気持ちもありながら、それを絶対に口にはせず、義弟のことを10年間“偉い”と思いながら見守り続けてきた義兄の気持ちも伝わってきましたから。あの役は羨ましかった。

健一(山田孝之)の義理の父役に國村隼。強烈なヤクザ役とは一転、やさしい眼差しが印象的

健一は娘にイラつくところがないからスゴい!

── 子育てのシーンに関してはどう思いました?

腑に落ちないところはありましたね。例えば、広末涼子さんとのくだりで“初めて娘に会わせたいと思う人に会った”ってモノローグが入るけれど、まだ付き合ってもいないのに、なぜそう思うんだろう?って考えちゃって。真面目な人だから、娘の気持ちを考えると、確かにほかの女性と簡単にはつき合えないのかもしれないけど…。そんな風に、観る側が想像を含ませる余白のある映画なんだろうな。

健一の同僚で“初めて娘に会わせたいと思う人"になっていく女性を広末涼子が演じる

── 成長した娘が大事なことは友だちに相談するようになるシーンでは、健一の寂しい気持ちに共感もされたのでは?

まあ、でも、それは学校で友だちとのいい関係が作れていることの裏返しですからね。それに、リアルなことを言わせてもらえば、男はずっとお父さんでいなきゃいけないの? 好きにさせてくれ!とも思うんですよ。デートもしたいし、性欲もある。そういうところをまったく出さないじゃないですか? スゴい人だなって思いました。それこそ、奥さんが死んだら、普通はまず自分の親を頼りますよ。横浜に引っ越して、そこから会社に通うこともできると思うんですけど、それもしない。

── 健一が亡くなった奥さんと顔立ちが似たカフェの店員(川栄李奈)にあるお願いをして、断られるところは逆にヘンにリアルでしたよね。

「イヤです」って言われる、あそこは面白かったですね(笑)。そりゃ、イヤですよ。でも、あんな感じで人生は思い通りに行かない。それと同じで、子供の思い通りの親にはなれない。僕も先日、自分の個展がコロナで中止になって機嫌が悪かった日があるんです。子供の話にもいちいちイラついたりしてしまっていたけど、この映画では健一が娘にイラつくところがないから、それもスゴイなって思いました。

『ステップ』はこうあって欲しいという“最高のファンタジー"

── 片桐さんが親にしてもらったことで覚えていることはどんなことですか?

うちの親父は典型的な昭和のサラリーマンで、家にほとんど帰ってこない猛烈社員でしたね。でも、週末にたまにふたりっきりで「ゴッホ展」に連れて行ってくれたりして。それが数少ない父親との想い出ですけど、親父は建築業だったから僕が「美大に行きたい」って言ったときもまったく反対しなかったんです。そういった意味では、「ゴッホ展」に連れて行ってくれたことも含めて、いまの自分に繋がっていますね。

── 片桐さんには高校生と小学生のふたりの男の子がいると聞きましたが、どんな想いで育てられてきたのでしょうか?

どんなことでもいいから、自分の興味があること、「これが好きです」って他人に言えるぐらいのことが見つかるといいなって思っています。

── 片桐さんが自分の好きなこと、やりたいことを見つけたのは?

遅かったです。高校時代もバカだったし(笑)、「美大に行きたい」って言って行ったら何とかなるかな?って思っていたけれど、周りのみんなが上手すぎて何ともならない。それで、「お笑いやらないか?」って誘われたときに楽しそうと思ってお笑いを始めて。そしたら今度は「俳優をやりませんか?」って声をかけていただいんですけど、誰も何も教えてくれないから怒られてばかりで、30歳を過ぎるまでずっと「イヤだよ~怖いよ~」って言いながら、子供も生まれたし、どうしよう?って感じだったんです。でも、バラエティ番組の雛壇に座るのももう無理って思っていたときに、ある現場で「いいね~」って僕の芝居を褒めてくれた監督がいて。それからですね、俳優業がやっと楽しいって思えるようになったのは。

── それが現実だったりしますね。

それこそ30歳のときに舞台の本番中に長男が産まれたんですけど、33歳ぐらいのときに奥さんが死んじゃって、息子とふたりきりで社会に放り出されたら僕はどうしていただろう? いや、無理ですね。本当に無理です。

── 健一はそれでも、娘を手放したくなかったから頑張ります。

そうなんです。そこがスゴい。神がかっていますよ。産まれたときなんて人格もないし、言葉も喋れないから、うちの嫁さんも「長男のときは何をやっても泣きやまなかったり寝れなかったりして、本当に大変だった」って言っていたぐらいなので。だから僕ももしそうなっていたら、自分の親を頼るだろうし、それがリアルです。だから逆にこの『ステップ』は、聞き分けのいい娘の性格も含めて、こうあって欲しいという“最高のファンタジー”だと思いますね。

(取材・文:イソガイマサト 写真:星野洋介)

片桐 仁(かたぎり じん)

1973年生まれ。多摩美術大学卒業。舞台を中心にテレビ・ラジオで活躍。TBS「あなたの番です」、BSプレミアムドラマ「捜査会議はリビングで!」、TBSラジオ「JUNKサタデー エレ片のコント太郎」、NHK Eテレ「シャキーン!」などに出演。講談社『フライデー』での連載をきっかけに粘土彫刻家としても活動。粘土を盛る粘土作品の展覧会「ギリ展」を全国各地で開催。アートの魅力を独自の視点で伝える「片桐仁の アートっかかり!」をぴあアプリにて連載中。

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