リュック・ベッソン監督が1988年に製作した『グラン・ブルー』。素潜りで水深100メートルに達する偉業を成し遂げたジャック・マイヨールをモデルとした劇映画であるが、そのジャック・マイヨールの生涯を描いたドキュメンタリーだ。少年時代から海に魅せられ、高校を卒業後に世界各地を渡り歩き、やがてフリーダイビングに挑んでいく。過去の記録映像を盛り込みながら、家族や友人・知人の証言から構成され、『グラン・ブルー』に主演したジャン＝マルク・バールのナレーションが説明を加える。日本と関係が深く、禅を学んで呼吸法に取り入れたといい、証言者にも何人かの日本人が登場する。海に魅せられて心身を捧げた男の波乱に富んだ人生には、何とも窺い知れない魅惑があり、興味が尽きない。