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『エール』柴咲コウ、若かりし頃の“キュート”な環に 音の選択を聞いたときの表情の理由も

リアルサウンド

20/6/18(木) 12:00

 『エール』(NHK総合)第12週オムニバス形式のラストを飾るのは「環のパリの物語」。環(柴咲コウ)がフランス・パリにてオペラ歌手として成功するまでを描き出す。パリのホームパーティーで出会い、環の恋人になるのが画家の嗣人(金子ノブアキ)だ。

参考:朝ドラ『エール』第60話では、環(柴咲コウ)に人生を変える知らせが届くが……

 「春」「夏」と季節毎に描かれるストーリー構成、飛び交うフランス語への縦字幕、シャンソンが流れる優雅な雰囲気……と、通常の『エール』とはまた異なる味わいを感じさせる第59回。環は絵画に描かれる人物、つまり嗣人を正直に“中途半端”と貶してしまうことで、運命的な出会いを果たす。

 嗣人はパリで開催される展覧会「サロン・ドートンヌ展」で賞を取った天才画家と呼ばれ、環の友人の里子(近衛はな)曰く、今最も期待される男。さらに、男前で家は大金持ち、“中途半端”と言われたことも笑って許せる大らかな性格だ。環はスカラ座やオペラ座といった世界の舞台に立つことを、嗣人は個展を開きやがては世界を股にかける画家を、ともに“世界”を目指す“運命の人”として惹かれ、恋に落ちていく。

 春から夏へ。ベッドの上で戯れる環と嗣人の様子から、移ろぐ季節の中で恋人としての関係性に進んだことが分かる。そして、驚くのが環の感情豊かな表情。里子から「欧米が作り出した芸術の中で、アジア人が成功するのは万に一つもない」と現実を突きつけられながらも、教えられた日本人が世界的舞台に立てる唯一にして最大のチャンス「蝶々夫人」のために、単身イタリアまでオーディションへと向かう。それは、画家として大きなチャンスを得ていた嗣人に刺激を受けたから。アジア人としての差別、生まれ持ったパワーの違いに圧倒されながらも、環は「蝶々夫人」の一次審査を通過し、眠る嗣人を余所に「やったー!」と歓喜する。オペラ歌手として、時には指導者として常に凛として立つこれまでの環が見せなかった一面だ。

 同時に、立場は違えど、環の物語が音(二階堂ふみ)との人生にも重ね合わさって見えてくる。歌手の道か、母親になるか、迫られた音が大学の退学届けを出した時、環は「ほとんどの人がいばらの道ではなく、平穏な幸せを選ぶ。あなたもその道を選んだそれだけのことよ」と声をかけた。けれど、音が選んだのは夢も子供も夫婦2人で育てていくという、環とは別の道だった。

 音の導き出した選択を聞き、一点を見つめていた環。若き環がカフェの店主(ピーター・フランクル)言われた「芸術の道を究めるなら他人に惑わされないことだ」という一言。「蝶々夫人」のオーディション通過を聞き、「僕も嬉しいよ」と抱き合う嗣人が浮かべる、その言葉とは相反する切ない表情。それら総てが、2人がすれ違う未来を暗示させている。(渡辺彰浩)

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