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L’Arc~en~Cielが上位独占で“ラルク祭り” 今週のSpotifyバイラルチャートに見る「一斉解禁」の強さ

リアルサウンド

19/12/16(月) 7:00

参考:https://spotifycharts.com/viral/jp/weekly/latest

 Spotifyの「バイラルトップ50(日本)」は、最もストリーミング再生された曲をランク付けした「Spotify Top 50チャート」とは異なり、純粋にファンが聴いて共感共有した音楽のデータを示す指標を基に作られたプレイリスト。今回から、この「バイラルトップ50(日本)」を1週間分集計した数値をもとにしたチャート分析記事をお届けしようと思う。

 第1回となる週間チャート(12月12日公開:12月4日~12月11日集計分)のTOP5は以下の通り。

1位:L’Arc〜en〜Ciel「flower」
2位:L’Arc〜en〜Ciel「READY STEADY GO」
3位:L’Arc〜en〜Ciel「HONEY」
4位:L’Arc〜en〜Ciel「Driver’s High」
5位:L’Arc〜en〜Ciel「the Fourth Avenue Cafe」

 TOP5独占でも十分すごいのだが、以降のTOP18までをL’Arc〜en〜Cielが独占し、TOP50にも半分以上となる34曲がチャートインという、驚異の“ラルク祭り”となった。

 驚きなのが、集計期間が12月4日~12月11日で、ラルクのストリーミング解禁が12月11日。つまり、1日でこれまでの6日間の数字を丸ごとひっくり返し、チャートの勢力図を逆転させたということだ。12月1日に「ラルク解◯」と告知を打ち、12月3日にCMおよび「HONEY」「花葬」「浸食 -lose control-」のMV公開&YouTube公式チャンネル開設と、徐々に布石を打っていたことも、この瞬発的かつ大規模なバイラルヒットを生み出したのかもしれない。

 また、バイラルチャートは言い換えるなら“語りたくなる曲”の順位であるわけで、今回のチャートは「ラルクの曲で一番語りたくなるのは?」というアンケート結果ともいえる。タイアップの関係でライトなリスナーに届いていたり、セールスの結果も上位である2~4位はわかるとして、1位が「flower」というのも面白い。

 「flower」は、ベストアルバム『Clicked Singles Best 13』(2001年リリース)の収録曲ファン投票で1位を獲得し、『15th L’Anniversary Live』(2006年)の演奏曲目リクエスト投票でも2位になるなど、ファンの人気がとにかく高い1曲。それだけ各自の思い入れが強い楽曲であるうえ、Janne Da Arcやゴールデンボンバー(喜屋武豊)にカバーされたり、SNSでも「コピーしていた思い出の曲」という言及が多かったりと、やはり“思い出込みで語りたい”曲の強さを思い知らされた(5位の「the Fourth Avenue Cafe」も背景のストーリーが濃いため、ファンの思い入れは強い)。

 先日の嵐やMr.Childrenなどのストリーミング解禁時にも顕著だったが、今回のようにキャリアの長いアーティストが全曲を一気に解禁(L’Arc〜en〜Cielは436曲)すると、各自が「思い出の1曲」や「一番好きな曲」を題材に、SNSでの思い出語りに花が咲く。いちリスナーの立場としては「早めに解禁しておいて欲しかった」というのが本音だが、キャリアの長さ&知名度の高さによっては、遅れてスタートを切るメリットもあるというのが、このチャートからもわかる。

 とはいえ、それが通用するのはファンダムが強い&キャリアが長い一部のアーティストでしかないわけで、年々増加するストリーミングサービスのユーザー数を考慮すると、“聴けない期間”が長ければ長いほどアーティストが抱えるリスクは長期的に見れば大きいともいえる。“解禁”が当たり前になる2020年代には、このやり方が通用するアーティストはもっと少なくなるので、ラルクがこのタイミングで一斉解禁したことは英断といえる。ともあれ、今はただこの“祭り”を、各自の思い出語りとともに楽しんでおきたい。

(文=中村拓海)

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