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「サウルの息子」の監督ネメシュ・ラースローが新作「サンセット」へ込めた思い語る

ナタリー

19/3/2(土) 17:00

「サンセット」新場面写真

「サンセット」でメガホンを取ったネメシュ・ラースローからコメントが到着した。

1913年のブダペストを舞台にした本作では、両親が遺した高級帽子店で働くことを夢見る女性イリスの姿を通して、店の裏側でうごめく闇が描かれる。ラースローの前作「サウルの息子」に出演したユリ・ヤカブがイリスを演じ、ヴラド・イヴァノフ、モーニカ・バルシャイがキャストに名を連ねた。

ラースローは本作の発端について「実は『サウルの息子』に着手する前から、女性についての映画を作りたいというアイデアを持っていました」と明かす。そして「1人で世界を迷いつつ、なんとかしようとしつつも、結局のところ道を誤ってしまうような女性の映画です。観客はその行動の意味を考えさせられ、彼女の旅に同行していくと『まるでジャンヌ・ダルクのようだ』と思うようになる。予想外の側面を持った主人公にしたいと思っていました。『サンセット』は、1910年代の女性の価値観から逸脱した、自らの信念と欲求に従い大人になっていく少女の話とも言えますね」と説明する。

「イリスが兄を探すのと並行して、見る者を個人的なラビリンスに陥れたいと考えていました。彼女が発見したように見えた手がかりのすべては、その背後に矛盾する情報が存在します」と冒険心旺盛な主人公イリスとその背景を語り、「あらゆるレイヤーの裏では新しい事実が明らかになりますが、彼女はブダペストの光と闇、美しさと脅威にとらわれ、この世界のグレーな部分を扱いきれないのです」と続けた。

1910年代、オーストリア=ハンガリー帝国当時のブダペストを舞台にしたことについては「子供の頃、1914年生まれの祖母の話をよく聞いていました。彼女の人生は世紀にわたり、全体主義体制、革命の失敗、戦争などヨーロッパ大陸の混乱にとらわれました。彼女こそ、ある意味ヨーロッパそのものなのです」と振り返る。さらに「私は今、1914年の第1次世界大戦が起きる前とそうは離れていない世界に生きていると信じています。我々にとって、過去のことは今の、また中央ヨーロッパのことなのです」と述べた。

また映画制作への思いを「今日は、動機や結末がわかりやすい映画が非常に多いですが、私はいつもゆらぎのある人間の姿を映し出したいと考えています。『サウルの息子』と同じものを提示したくはありません。すべてを明らかにせず、世界の片鱗を間近で見せ、残りは観客の想像力に委ねたいと常々思っています」と語っている。

「サンセット」は3月15日より、東京・ヒューマントラストシネマ有楽町、新宿武蔵野館ほかにてロードショー。

(c)Laokoon Filmgroup – Playtime Production 2018

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