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琴音、待望のメジャーデビュー オーディション番組出演からの怒涛の日々とこれから

リアルサウンド

19/2/28(木) 18:00

 人気オーディション番組『今夜、誕生!音楽チャンプ』(テレビ朝日系列/2017年10月8日から2018年3月11日まで放送)でグランプリを獲得し、その類いまれなる歌声でお茶の間を騒がせた話題のシンガーソングライター琴音が、4曲入りの1st EP『明日へ』でメジャーデビューを果たした。

 聴く人の琴線に触れる、やや低めのハスキーボイス。現役高校生のパーソナルな日常を切り取りつつも、より普遍的なメッセージへと昇華された歌詞の世界が印象に残る。生楽器を中心としたシンプルかつオーガニックなバンドサウンドも、彼女の持つ強い歌声やメロディを十二分に引き立てている。

 新潟の片隅で音楽活動をスタートし、『音楽チャンプ』でデビューへの足がかりをつかんだ彼女にとって、この半年間はどのような日々だったのだろうか。今作の制作エピソードはもちろん、「無名のシンガー」から「お茶の間の人気者」へと駆け上がった”琴音現象”とも呼ぶべき怒涛の日々について、これからの進路についてなど、言葉を選びながら丁寧に話してくれた。(黒田隆憲)

自分の歌と向き合うことができるようになったのは大きな変化

ーー昨年7月に1stミニアルバム『願い』をリリースしてから、半年が過ぎました。手応えはどうですか?

琴音:デビューのきっかけとなった『音楽チャンプ』に出させていただいて、知名度みたいなものが格段に上がって。それを機にライブを観に来てくださる方も、うんと増えました。テレビで私が歌う姿を観て興味を持ってくださって、労力や時間、お金をかけて足を運んでくださる方がいるというのは、驚きでもあり喜びでもあり……すごくありがたいことだなと。デビューしてからは、プロのピアニストやギタリストの方たちと一緒に、色んなところでライブを行ったことも、新たな経験でしたし。

ーーやはり『音楽チャンプ』の影響は大きかったですか?

琴音:大きかったですね。学校の同級生たちに、「テレビに出るから観て観て!」って言ってたらみんな観てくれて(笑)。しかも、色んな人に拡散してくれたんですよね、部活の先輩後輩や家族親戚、SNSまで、クラス中で協力してくれた。学校だけでなく、地元の人たちも注目してくださっていたみたいで、コンビニで「おやつ何買おうかな」と思ってたら声をかけられてすごく恥ずかしかったり(笑)。マスクしていても、駅前で人を待っているときにわーって人が集まってきて「琴音さんですか?」と言われたりしたこともありました。

ーー急に有名になって、戸惑いもありました?

琴音:びっくりはしましたけど、今言ったように実際に会いにきてくださったり、応援の言葉をかけてくださったりする方がたくさんいるということは、大きな自信につながりましたね。

ーー振り返ってみて『音楽チャンプ』に出演し、勝ち抜いていくという経験は琴音さんにとってどんなものでしたか?

琴音:「勝ち抜いていく」みたいなことは、あまり意識していなくて。テレビに出る前は、ライブを観にきてくださるお客さんもそんなにいなかったし、いつもお世話になっているライブハウスの方が、可愛がってくれていたからこそ何とか続けてこられたという感じだったんですよね。「もっとお客さんが増えたらいいな」という気持ちが常にあったし、とにかく知名度を増やしたいというのが、番組に応募した大きな動機の一つだったんです。あとは「腕試し」じゃないですけど、自分の実力はどの程度で、どのくらいの位置にいるのかを知りたかったんです。自分の長所や短所も、ちゃんと確認したかったというか。そういうのって、自分では客観的に分からなかったりするじゃないですか。もちろん、毎回緊張もしていました。まず、挑戦者の歌を聴いてから自分が歌うので、そのプレッシャーも大きかったし、体の筋肉がメチャ固まっているのが自分でもわかりました(笑)。テレビに出ている間は、生活も不規則になって風邪もひきやすかったし。


ーー様々な分野のプロからアドバイスされたことも、自分を客観視するという意味では貴重な体験でしたか?

琴音:そうですね。自分のどんなところが「いい」と言われるのかも分かってきたし、普段は選ばないようなジャンルの歌も歌ったことで、「あ、こういう曲を歌うと自分の短所が顕著に出るんだな」と自分で分かる瞬間があって。そういう部分を「長所」にまで変えられるかは分からないですけど、プロとしてやっていくなら対処しなきゃなと思いました。「いい」と言われたところは、意識することで「強み」として伸ばしていきたいし、「こういうところがちょっと弱いよね」と言われたとこころは、克服できるものは克服したいって思います。そんなふうに、自分の歌と向き合うことができるようになったのは、大きな変化だなと思っていますね。

ーーお話を聞いていて、地に足がついているなと感じました。学生としての普段の生活もとても大切にしているのが分かります。

琴音:そうおっしゃっていただけるのは嬉しいですし、自分でもそうありたいと思っています。実はテレビに出ていた頃は、ちょっとふわふわした感じはありましたね。「地に足がついてないって、こういうことなのか」って(笑)。そんな時に、家族や友人の存在がとても大きかったなと思います。本当に普段通りに接してくれたので、気持ちが落ち着いたというか。普段の生活へ、すっと自然に戻っていける気持ちにさせてくれたことは感謝していますね。おっしゃるように、今は結構、地に足のついた生活が送れていると思います。

ーーそれにしても、その落ち着きはどこからくるのでしょう(笑)。家庭環境?

琴音:どうでしょう(笑)。私は割と人見知りや内気なところがあって。「緊張しているな」とか、「地に足がついてないな」っていう感覚を、他の人よりも察知しやすいというか。自分自身の内面の変化を感じ取って、「ああ、落ち着かなきゃ」ってすぐ思うんですよね。もしかしたら「親譲り」のところもあるのかもしれない。あと、日頃なんとなく、心で思ったことを声に出さなくても心の中で自問自答することが多くて。

ーー曲を作ったり、歌詞を書いたりすることで、自分と向き合う時間も多いでしょうし、それも影響しているのかもしれないですね。

琴音:それもあるんでしょうかね。

ーー曲を作り始めたのは、ご家族から勧められたからだったんですよね?

琴音:はい。子供のころから歌うことが大好きで、歌うと褒められるのが嬉しくて音楽の道を志すことになったのですが、「歌でやっていくなら、曲を作れる強みも持っていた方がいい」と家族から言われて。それまでずっと人の曲をカバーしていたのですが、中1から中2に上がる頃から自分でも作るようになっていきました。

ーーご家族も熱心にサポートしてくださっていたのですね。

琴音:そうですね。父親は、私が生まれる前はオリジナル曲をストリートで歌っていたらしくて。父のアドバイスなどももらいつつ……と言っても、テクニカルなことというよりは、精神論というか。「作りたいと思う気持ちが大事なんだよ」みたいなことを言ってくるんですよ。「いや、それはずっと思ってるんだけどな……」って思いながら聞いていました(笑)。

ーー曲を作るようになったことは、琴音さんにどんな変化をもたらしました?

琴音:自分にとって、とても大きな出来事でしたね。今までは、自分が思っていることを口に出すのが怖いというか、曝け出すことへの恐怖みたいなものがあったと思うんです。「認められなかったらどうしよう」って。でも、曲を作ってみて、しかも自分の心の内を歌詞にして出したところ、みんなから「いいね」って言ってもらえたり、喜んでもらったりしたことで、「あ、自分はここにいていいんだ」と思えるようになりましたね。それに、以前よりも聴いている音楽のジャンルが広がりました。普段、曲作りはギターを使っているんですけど、1人で全ての楽器を演奏している人や、機械を使って新しいサウンドを作っている人の音楽を、「一体どうやっているんだろう?」と思いながら聴くようになったのは、きっと自分で曲を作るようになったからだと思います。

「しののめ」の歌詞を読んで自分では気づかなかった自分を発見した

ーーでは、メジャーデビューとなる『明日へ』についてお聞きしたいのですが、本作はどんな内容になりましたか?

琴音:前作『願い』は、全国流通盤とはいえ「自主制作」という形だったので、アレンジやトラックダウン以外の部分は割と自分の「ああしたい」「こうしたい」をそのまま形にした作品だったと思います。それに対して『明日へ』は、初めて他の方から楽曲提供してもらうなど、メジャーデビュー作ということで色んな方の力が加わった作品になりましたね。

ーー曲作りはいつ頃から始めたのですか?

琴音:例えば「夢物語」は、作曲を始めたばかりの頃にできた曲ですし、「ここにいること」は自分にとって一番新しい曲です。前作『願い』の時は、最初にコンセプトやテーマを決めて、それに沿った楽曲を自分で選んでタイトルを付けたのですが、今作はまず候補曲をいくつも挙げて、その中から楽曲を絞り込んだ上でタイトルをつけました。私の楽曲を聴いてくださった人が、その日にあったしんどいこととかを忘れて「また明日から頑張ってみよう」という気持ちになってくれたら嬉しいな、という気持ちを込めて『明日へ』というタイトルにしたんです。

ーー以前のインタビューで琴音さんは、Mr.Childrenに影響を受けたとおっしゃっていました。確かに『願い』も『明日へ』も、バンドアンサンブルを基軸としたアレンジですし、コード進行などミスチルや小林武史さんに通じるものがありますよね。

琴音:ありがとうございます。Mr.Childrenは大好きですし、曲を作る段階でも影響はとても受けているので、そこを感じ取ってもらえたうえで「いい」と思ってもらえたら嬉しいですね。

ーー「戯言〜ひとりごと〜」は、昨今のSNSについて思っていることを歌詞にしているのかと思ったのですが。

琴音:ああ、そう言われればそうかもしれないですね(笑)。この曲は、自分の中で今まで以上に自我が大きくなっていた頃に書いたんですけど、何かあると頭の中でワーッと考えが巡ってしまって、誰かがまわりで話していても聞こえなくなることがよくあって(笑)。そんな時に、頭の中で巡っていたことを取りとめもなく書いた曲なんです。それが、SNSのことにも繋がっているといえば繋がっているのかもしれないですね。

ーー僕は個人的にこの曲の〈正解不正解も多種多様 なら嚙み砕いて飲み込んだとき 煮え切らなきゃそれは正解じゃない〉というラインにとても共感しました。世の中や周りの人たちが、ある方向にワーッと進んでいる時でも、ちょっとでも自分の中に違和感のようなものが湧き上がったら、それは大事に観察したいなと思っているんです。

琴音:ああ、まさに。

ーー琴音さんも、そう思うことはありますか?

琴音:例えば音楽活動をしていく中で、対バンしているアーティストさんの中には10も20も歳が離れた方もいらしたりして。そういう人たちが、私の音楽や活動に対してアドバイスをしてくださる時に、ある人とある人は、言ってることが真逆だったりすることがあるんですよね。そういう時に、自分はどの意見を選択するのか、あるいはどの意見も選択しないのか、自分の頭で考えて選択していかなきゃなという思いが、この曲に込められている気がします。

ーー「夢物語」の〈自分を何もないって見放さないで〉というラインは、どんな想いから出てきたのでしょう。

琴音:私の周りの友人たちは、みな静かで優しい人たちで。色んなものを抱え込んでしまう人が多いんですよね。それで自分のことを低く見るというか、自虐的な人とか。「自分なんか……」って思っている人もいて。私はでも、その子のいいところや「すごいなあ」と思うところも沢山知っているから、それをちゃんと言いたいなって思ったんです。

ーー琴音さん自身、自己肯定感は高い方ですか?

琴音:どうだろう……自己肯定というよりも、意志が強いというか頑固というか(笑)。「絶対、こうなんだ!」って思うところもあるけど、どうでもいいところはどうでも良かったりするし、自信ないところは本当に自信がなかったりもするから。


ーー提供曲の「しののめ」は、琴音さんから歌詞のイメージをリクエストしたのですか?

琴音:いえ、もう全てお任せして歌詞を書いていただきました。この曲には、自分には思いつかないようなメロディや、書けないような歌詞、使ったことのないコード進行みたいなものがたくさんあって。例えば「青春」という言葉は、私の中から出てこないと思うんですよ。そもそも今の自分が「青春」と思ったことはないし。ただ、客観的に他の人からすれば、自分も「青春」の中にいる1人なのかもしれないということが、この曲をいただいたことで分かって。「自分では使わない表現で、自分のことが描かれている」みたいな曲だなって。

ーー面白いですね。「私にしか書けない私」はもちろんあるけど、「私には書けない私」もある。

琴音:そうなんです。「しののめ」の歌詞を読んで、自分では気づかなかった自分を発見した気持ちです。そういう意味でも貴重な体験でした。

ーーところで、今年の春で高校3年生になるんですよね。学業と音楽活動の両立は大変ですか?

琴音:1年、2年の時は科目も多く、特に2年は行事なども多いですし「2年生が頑張らないと!」という雰囲気もあって(笑)。特に何をしているわけでもないんですけど「あ〜頑張らなきゃ」みたいな、一方の音楽活動もこの1年で大きく環境が変わったので、それに付いていくのも大変でしたね。3年生になると教科数もだいぶ減るので、少しは落ち着くのかな(笑)。

ーー今後は進路のこととか、また違う課題が出てくると思いますが、音楽とはどう向き合っていきたいですか?

琴音:音楽に対して思っているのは、自分が作った楽曲や自分の音楽の世界をしっかり伝えていきたいなということです。周りの友人たちはもうやりたいことが決まっている子もいれば、全然決まってないという子もいて。そろそろ進路相談なども開かれるようになり、自分はどういうことがやりたいのか、どういうことが好きなのかなみたいなことは考える時期ではあるんです。高校生活はあと1年あるから、自分もしっかり考えていきたいと思っています。

ーー今作は、どんな人に届いて欲しいですか?

琴音:色んな方に聴いていただきたいと思いますが、毎日がしんどいなと感じている人の支えになり、少しでも前に向けるようなものになったら、そういう風に聴いてもらえたら嬉しいです。


(取材・文=黒田隆憲/写真=三橋優美子)

■リリース情報
メジャーデビューE.P.『明日へ』
2019年3月6日(水)リリース
初回限定盤:CD+DVD ¥2,000(+税)
通常盤:CD ¥1,300(+税)
<CD収録曲>
M1 ここにいること
M2 戯言〜ひとりごと〜
M3 夢物語 
M4 しののめ

DVD「ここにいること」MUSIC VIDEO 
「2018.11.17 LIVEドキュメント」

■全国ツアー情報
『琴音 1st note TOUR 2019 -明日へ- 』
3月17日(日) 名古屋ell. FITS ALL(愛知) 16時 /16時30分
サンデーフォークプロモーション名古屋 052-320-9100
3月24日(日) 南堀江knave(大阪) 15時30分 /16時
キョードーインフォメーション 0570-200-888
3月31日(日) 長岡市民交流ホールA(新潟) 16時30分 /17時
キョードー北陸チケットセンター 025-245-5100 
4月3日(水)  Mt.RAINIER HALL SHIBUYA PLEASURE PLEASURE(東京) 18時30分/19時
HOT STUFF PROMOTION 03-5720-9999
※全席指定 ¥3,900(税込)  立見(名古屋・大阪・東京) ¥3,500(税込)
※別途ドリンク代。(名古屋・大阪・東京)

■イベント情報
インストアイベント
東京
日時:2019年3月9日(土)  12時スタート
場所:タワーレコード新宿店 7Fイベントスペース
内容:ミニライブ&ジャケットサイン会
対象店舗:タワーレコード新宿店、渋谷店
問い合わせ先:タワーレコード新宿店 03-5360-7811

大阪
日時:2019年3月10日(日) 12時集合 / 12時30分スタート
場所:タワーレコード梅田NU茶屋町店 6F イベントスペース
内容:ミニライブ&ジャケットサイン会
対象店舗:タワーレコード梅田NU茶屋町店/梅田大阪マルビル店/難波店/神戸店/京都店/あべのHOOP店
問い合わせ先:タワーレコード梅田NU茶屋町店 06-6373-2951

名古屋
日時:2019年3月10日(日) 17時スタート
場所:タワーレコード名古屋パルコ店 店内イベントスペース
内容:ジャケットサイン会 
対象店舗:タワーレコード名古屋パルコ店/タワーレコード名古屋近鉄パッセ店
問い合わせ先:タワーレコード名古屋パルコ店 052-264-8545

新潟
日時:2019年3月23日(土)  12時スタート
場所:イオンモール新潟南 マリンコート
内容:ミニライブ&ジャケットサイン会
対象店舗:タワーレコード新潟店
問い合わせ先:タワーレコード新潟店 025-383-5831

長岡
日時:2019年3月23日(土)  15時30分スタート
場所:リバーサイド千秋 リバーサイドコート
内容:ミニライブ&ジャケットサイン会
対象店舗: We’s長岡店
問い合わせ先: We’s長岡店 0258-25-8899

■関連リンク
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