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『エール』放送再開を前に制作統括に聞く 「観ていただけることは本当に幸せなこと」

リアルサウンド

20/9/13(日) 6:00

 9月14日より放送が再開されるNHK連続テレビ小説『エール』。新型コロナウイルスの感染拡大により、撮影のストップを余儀なくされ、放送は一時休止、初回から再放送の異例の事態となった。最終回を迎えても翌週には新たな作品が始まり、年末年始を除けばほぼ毎日のように観ることができる“朝ドラ”。世界各国を見渡してもこんなドラマ枠はないだろう。だからこそ、当たり前のようにあった“習慣”が崩れてしまったときの衝撃は大きかった。

 登場人物(出演者)たちの副音声解説の面白さ、2回目だから気付ける細かい背景など、休止期間だからこその『エール』の楽しみ方はあった。しかし、多くの視聴者が一刻も早く新たな物語を観たいと思っていたのは間違いないだろう。いよいよ放送が再開される『エール』はわたしたちにどんな“エール”を届けてくれるのか。朝ドラの意義、そして『エール』後半戦の見どころまで、制作統括の土屋勝裕氏が語ってくれた。

「“朝ドラ”を毎日放送すること、製作することができることを“当たり前”だと思っていましたが、本当にそれは幸せなことだったんだなと実感しました。私たちの仕事は作品を作って皆様に届けることです。だから、休止期間中は私たちは存在していないのと一緒で。緊急事態宣言中は撮影の再開できなくなることも覚悟していました。だからこそ、キャストの皆さんをはじめ、スタッフ全員の協力があり、こうして再開をすることができること、皆さんに観ていただけることは本当に幸せなことだなと感じています。とにかく今できることを番組関係者全員で取り組んでいるところです」

 撮影がストップしたのは『エール』の放送が始まった4月頭。出演者、スタッフは視聴者の反響を顔をあわせて共有することができずに、2月のブランクを経ての再会となった。

「放送の反響をキャスト・スタッフと話し合いながら新たな撮影に臨んでいくのがこれまでの形でしたが、今回はちょうど自粛期間だったこともあり、それがほとんどできませんでした。だから2カ月ぶりに顔を合わせることができたときは今までにない喜びがありましたね。丸々2カ月のブランクがあったので、キャストの皆さんがすぐに役に戻れるか不安なところもありましたが、窪田さん、二階堂さんを中心に皆さん流石のお芝居で。感染対策を徹底しているので、かつてと同じペースでの撮影は難しいですが、収録再開後は順調に進んでいます」 

 放送再開週となる第14週では、裕一(窪田正孝)に弟子入りする五郎(岡部大)、作家として歩み始めた梅(森七菜)が物語の中心になる。

「五郎は、“純朴”という言葉を体現したようなキャラクターです。また、梅と恋に落ちるキャラクターとして、“まさかこんな人が?”というギャップが出せればいいなと考えていました。岡部さんは俳優としての力量は未知数なところはあったのですが、簡単なオーディションをさせていただいたところ、五郎さんにしか見えずその場で即決いたしました。現場でもまさに五郎そのものでしたね。また、第14週は梅を演じる森さんが非常に魅力的に映っています。森さん自身はとても気さくな方で、現場では妹のようにスタッフ、出演者に可愛がられています。梅のツンデレな魅力を堪能していただけたらと思います」

 後半戦、『エール』は戦争を描いていく。裕一は軍歌を量産し作曲家として売れっ子になるが、戦争とどう向き合っていくのか。

「政府のあり方、戦争をすることに疑いを持たない方もいれば、疑問を持つ方もいたと思いますし、家族のため、国のために戦地に向かった方がいたと思います。いろんな考え方があったことは間違いないので、『これが正しい』という形の描き方にはならないようにしています。福島三羽烏(裕一、鉄男、久志)の中でも軍歌に対する考え方が違ったり、裕一と音の間でも考え方の違いが表れてきます。視聴者の方々にも『自分だったらどうするんだろう』と思いながら視聴していただけるのではないかと。全体主義体制の当時の世の中で、裕一たちはどんな信念を持って行動していたのか、その点はしっかりと描いていきたいと思っています。戦時中は暗く、辛い回も出てくると思うのですが、どん底まで堕ちたからこそ、そこから立ち上がったときに今まで見えなかったものが見えてくるようにできたらいいなと思っています」

 また、後半戦は現在まで歌い継がれるさまざまな楽曲が登場する。特に「長崎の鐘」はひとつのターニングポイントとなる。

「『長崎の鐘』は古関裕而さんの数ある曲の中でも人気の一曲です。戦争で傷付いた人々の心を励まし応援する名曲だと思います。『エール』の中では一番大変などん底から、後半に向けて立ち上がっていく、まさにターニングポイントとなるところで登場します。『長崎の鐘』誕生のエピソードを作品内でも限りなく再現しているので、その点も注目していただければと思います」

■放送情報
連続テレビ小説『エール』
2020年3月30日(月)〜11月28日(土)予定(全120回)
※9月14日より放送再開
総合:午前8:00〜8:15、(再放送)12:45〜13:00
BSプレミアム・BS4K:7:30〜7:45
※土曜は1週間を振り返り
出演:窪田正孝、二階堂ふみ、薬師丸ひろ子、菊池桃子、光石研、中村蒼、山崎育三郎、森山直太朗、佐久本宝、松井玲奈、森七菜、柴咲コウ、風間杜夫、唐沢寿明ほか
制作統括:土屋勝裕
プロデューサー:小西千栄子、小林泰子、土居美希
演出:吉田照幸、松園武大ほか
写真提供=NHK
公式サイト:https://www.nhk.or.jp/yell/

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