BALLISTIK BOYZ from EXILE TRIBE（以下、BALLISTIK BOYZ）が8月10日に新曲「SUMMER HYPE」をリリースした。同曲はBALLISTIK BOYZの力強いラップを取り入れながらも、これまでになく爽やかなテイストに仕上がっている。YouTubeで公開された楽曲は再生回数18万回を突破（8月19日時点）。ファンはBALLISTIK BOYZの新しい一面に驚きながらも、コメント欄には「爽やかで夏にぴったり」という好意的な声が溢れている。メンバーの奥田力也が「メンバーのみんなとも『すごくキャッチーで、ファンの方々にも一緒に踊ってもらえるようなものにしよう』という意見でまとまりました」と語る振付も相まって（参考：BALLISTIK BOYZ、「SUMMER HYPE」で見せたナチュラルな一面　SNSを通した挑戦やグループのスタイルも語る）、今年の夏を盛り上げる代表的なサマーソングになりそうだ。

　BALLISTIK BOYZは、GENERATIONS from EXILE TRIBE、THE RAMPAGE from EXILE TRIBE、FANTASTICS from EXILE TRIBEらに続く“Jr.EXILE世代”と呼ばれているが、彼らが憧れるEXILE TRIBEの先輩グループも、これまで多くのサマーソングを生み出してきた。まずはEXILE TRIBEの筆頭・EXILEが2004年にリリースした、『Carry On/運命のヒト』の表題曲「Carry On」。同曲は、EXILE“第一章”のヒット作品であり、リスナーの背中を押してくれる応援ソング。具体的に夏を表すフレーズは出てこないが、清涼感溢れるメロディが夏らしい。サイパンで撮影されたMVには、当時20代だったEXILE ATSUSHIやEXILE USAらが楽しそうに海ではしゃぐ姿が収められている。

　EXILE AKIRAとEXILE TAKAHIROをメンバーに迎え、新たに幕を開けたEXILE “第二章”（2006〜2009年）からは、2007年にリリースした「SUMMER TIME LOVE」。第二章は「Lovers Again」や「時の描片〜トキノカケラ〜」などの名曲が次々と誕生したため、あまり“夏ソング”という印象を持っている人は少ないかもしれないが、多くの人が知るEXILEの代表曲の1つだ。当時『ランチパック』のCMソングとして流れていたので、イントロを聴いただけで曲名が分かる人もいるだろう。ひと夏の恋を歌った爽やかなラブソングで、EXILE ATSUSHIとEXILE TAKAHIROの伸びやかな歌声が映える。また、オリジナルソングではないが、2008年に発売されたベストアルバム『EXILE ENTERTAINMENT BEST』に収録されているサザンオールスターズのカバー曲「真夏の果実」も人気が高く、音楽ストリーミングサービス「AWA」がユーザーの傾向を基に集計した2019年の「サマーソングランキング」では、「打上花火」（DAOKO×米津玄師）や「A Perfect Sky」（BONNIE PINK）などを押さえて第1位に選ばれた。(参考：BARKS）夏の恋で傷ついた人には、ボーカルの優しい歌声に癒されてほしい。この楽曲をバックに、メンバーたちが夕焼けの中で幻想的なダンスを披露するEXILE AKIRAディレクションによる「EXILE Dance Video」も必見だ。

　続いて、EXILE THE SECONDのサマーソングといえば、ボーカルのSHOKICHIが詞を書き下ろしたパーティーチューン「YEAH!! YEAH!! YEAH!!」が外せない。この曲は2016年の夏にリリースされ、週間オリコンランキング2位を獲得。今年5月に放送された『シブザイル EXILE TRIBE楽曲AWARD 生発表2時間SP！』（AbemaTV）では、“視聴者やファンが選ぶ EXILE THE SECONDの好きな曲”No.1に選ばれた人気曲だ。ワイルドな歌声が炸裂する同曲は中毒性があり、みんながアクティブになる夏をさらに盛り上げてくれる。都会的なプールサイドで撮影された同曲のMVは、メンバーがテンションMAXで激しいパフォーマンスを繰り広げる。EXILE THE SECONDほか、三代目 J SOUL BROTHERS from EXILE TRIBE（以下、三代目JSB）やTHE RAMPAGE、Crystal KayらLDH所属のアーティストや海外のヒップホップユニット・Far East Movementなど総勢約200名が参加し、超豪華な映像に仕上がった。翌年リリースされたサマーチューン「Summer Lover」は雰囲気がガラリと変わり、メンバーの大人な色気が詰まった作品に。MVは“メンバーがリゾートで過ごす夏”をテーマにグアムで撮影された。グアムの青い空と海に合う爽やかなSHOKICHIの歌声と、ソウルフルなNESMITHのボーカルが真夏の暑さを吹き飛ばしてくれる。

　三代目JSBも数々のサマーソングを世に送り出してきたが、多くの人が思い浮かべるのは「花火」（2012年）ではないだろうか。三代目JSBはこの曲で『第63回NHK紅白歌合戦』（NHK総合）に初出場したこともあり、ファンにとっても思い入れのある作品だ。女性目線で歌った切ない失恋ソングの同曲は、今市隆二の透き通った歌声からスタートし、色気のある登坂広臣の歌声がさらに涙を誘う。蜷川実花がプロデュースしたMVは、パフォーマーたちによる圧巻のしなやかなダンスが見どころとなっている。三代目JSBのライブで盛り上がる定番曲「R.Y.U.S.E.I.」は、2014年“春夏秋冬”シリーズの夏ソング。思わず声を出して歌いたくなる中毒性のあるサビはもちろん、ELLYが振付を担当し、間奏でメンバーが横並びで踊る“ランニングマン”はグループの代名詞となった。

　他にも三代目JSBの「Summer Madness」や、THE RAMPAGEの「WELCOME 2 PARADISE」、「SUMMER DAYS」など夏を想起させる楽曲はEXILE TRIBEの中にも多数存在するが、BALLISTIK BOYZの「SUMMER HYPE」は良い意味で“脱力感”があり、どのグループともカラーが異なる次世代の名に相応しい夏ソングとなっている。

　新型コロナウイルス収束の目処が立たず、いつもとは違う夏が訪れた2020年。EXILE TRIBEが所属するLDHのライブ／イベント全168公演も中止となり、鬱々とした気持ちを抱えている人も多いだろう。そんな中でも、EXIE TRIBEは過去のライブ映像公開や配信ライブの開催、新曲のリリースなど、様々な取り組みで日本を明るく照らしてくれるはず。夏はまだ始まったばかり。家で過ごす方も「SUMMER HYPE」や、今回紹介したサマーソングを聴き、“特別な夏”を感じてみよう。

■苫とり子
フリーライター／1995年、岡山県出身。中学・高校と芸能事務所で演劇・歌のレッスンを受けていた。現在はエンタメ全般のコラムやイベントのレポートやインタビュー記事を執筆している。Twitter