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『呪怨』がNetflixで新生。描かれるのは“生々しい恐怖”

ぴあ

20/7/2(木) 12:00

『呪怨:呪いの家』を手がけた三宅唱監督

2000年に最初のオリジナルビデオが発売され、日本だけでなくアメリカでも製作された超人気シリーズが『呪怨:呪いの家』のタイトルでNetflixオリジナルシリーズとして配信される。

本作は郊外にある空き家に足を踏み入れていった人たちと、その周囲の人間の運命を、昭和の終わりから平成を通じて描く壮大な作品で、初期の『呪怨』で監修も務めた高橋洋と、一瀬隆重が共同脚本を手がけ、高橋が講師を担当する映画美学校出身で『きみの鳥はうたえる』『ワイルドツアー』など傑作を次々に発表している三宅唱が監督を務めた。

本作はこれまでの『呪怨』シリーズの恐怖やキャラクターを引き継ぎながら、新たな要素を取り入れ、呪いの家に隠された秘密を、呪いがなぜ生まれたのかを、人は誰かの抱いた怨念や哀しみにどう向き合っていくのかを描いた新しい作品で、多くの映画ファンが“恐怖”を超える衝撃を受けるはずだ。

本作はいかにして生まれたのか? なぜキャリア初のホラー作品に挑んだのか? 三宅監督に話を聞いた。


――最初にこの企画がきたときのお話を教えてください。

三宅監督 2019年の春に高橋(洋)さんから「監督に推薦したい。興味はありますか?」と声をかけていただきました。最終的に撮影に使われたものとほぼ同じ脚本をいただいて読ませていただきました。僕は恥ずかしいぐらい怖がりで、ビビりなんですが(笑)、いただいた脚本が、とにかく怖いのにめちゃくちゃ面白くて。一気に読みました。

「ホラーは意外だ」と知人には言われたりもしますが、いろんなタイプの映画を撮ってみたいと常々思っていたので今回のファーはとても嬉しく、即答に近い感じでお受けしました。「僕、怖がりなんですけど大丈夫ですか?」とは聞きましたが。

――当初からこれまでの『呪怨』とは違うコンセプトで、というお話だったのでしょうか?

三宅監督 そうですね。最初からこれまでの『呪怨』とは少し違って、実録犯罪映画的なアプローチでこれまでとは違った怖さも引き出したい企画なんだと言われて、何となくピンときたというか、すぐに自分のやるべきポイントが見つかりました。

――『呪怨』は最初のビデオシリーズからオムニバス形式で、ひとつのエピソードが30分程度で展開される構成でしたが、今回は長い時間を扱って群像劇を描くこれまでとは違う形式の作品になりました。脚本のどこに力点を置いて撮影していったのでしょうか?

三宅監督 ひとことで言うとしたら“生々しさ”ですかね。劇中に年号が出るような話ではあるので、それが嘘くさかったらシャレにならないので本当にあったように描く、それもフェイクドキュメンタリーではなくてフィクションの手法で描く。そのことで“生々しい恐怖”が映ればいいな、と。

――しかし、“生々しい恐怖”はこれまでの『呪怨』が描いてきた恐怖とは少し毛色の違うものですよね?

三宅監督 自分としては受け取った脚本にバランスだったり、新しい側面だったり、これまでを引き継いでいるもののすべてが書かれていると思ったので、脚本を真剣に読み解いて撮影することの一点でしたね。

――本作は1988年から始まって、長い時間が経過します。

三宅監督 今回は約10年ほどの時間を扱うことになったんですけど、そういうものは前からやってみたかったんですよ。僕がパッと思ったのは(デイヴィッド・)フィンチャーの『ゾディアック』で、あれは20年ぐらいの時間を扱ってますけど、一番最初の被害者カップルの生き残った男性が最初はティーンエイジャーだったのに最後の方にもう1回出てくるじゃないですか。あの瞬間に「ああ、めちゃくちゃ時間が経ったんだな」って。映画を観ている間に20年の時間がちゃんと流れたんだってことが俳優の姿だけでわかる。

だから今回も登場人物が年をとるわけですよね。その時に、生きていく中で“擦り切れていく”感じが観る人の中にちゃんと残っていれば、時間が流れていく感じだったり、時代の変化はちゃんと伝えられるんだろうなと。

――このシリーズでは人間の“怨念”が重要な位置を占めています。つまり、シリーズを突き詰めていくと恐怖描写よりも、人間ドラマが中心になると思うのですが、本シリーズも人間の心理や変化が重要な位置を占めていますね。

三宅監督 今回の脚本の面白さであり、また僕にとって難しさでもあったのは、人がこんなこと言うってどういう状況なのかな? 俺がもし俳優だとしてこのセリフ言えんのかな?」という要素の多さでした。想像力を駆使しないとすぐウソになってしまうような、すごく「強いホン」でした。ただ、どの役者も素晴らしかったです。彼らのおかげで、人間の“底知れなさ”だったり、人間の醜さだったりが、僕の想像をはるかに超えて立体的に立ち上がってくれたように思います。

――本作はこれまで『呪怨』のやってきたことを引き継ぎつつ、新しい要素、三宅監督の視点、続きが気になるドキドキ感が混ざり合った超個性的なシリーズになった気がします。

三宅監督 それはうれしいですね。自分は基本的には1980~90年代のアメリカ映画で育ってきたので、そこがベースにあって、どんな低予算の作品でも“映画を観るときのワクワク感”みたいなもの、誰にでも伝わる映画の魅力みたいなものは多少でもやれたらなぁとは思ってきたんですけど、今回はそこで勝負できたので、楽しかったですね。

Netflixオリジナルシリーズ『呪怨:呪いの家』
7月3日(金) Netflixにて全世界独占配信

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