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『エール』浩二の苛立ちと悔しさ 佐久本宝が窪田正孝に不満を爆発させる

リアルサウンド

20/5/4(月) 13:04

 豊橋での演奏会を終え、裕一(窪田正孝)は福島へと帰ってきた。そんな裕一を、音(二階堂ふみ)との結婚を反対するまさ(菊池桃子)たちが待つ。NHKの連続テレビ小説『エール』が第6週の初日を迎え、浩二(佐久本宝)が兄への不満を爆発させる回となった。

【写真】浩二(佐久本宝)の悲痛の表情

 本来であれば、老舗呉服屋「喜多一」を継ぐはずだった長男の裕一。しかし、裕一は音楽の道を進むことを決意し、そのうえ文通相手と結婚しようとしていた。三郎(唐沢寿明)、まさ、茂兵衛(風間杜夫)が裕一の帰りを待つが、裕一は一向に現れず、浩二は「あいつが悪い」と怒りをあらわにした。まさが「裕一の留学は努力の結果だ」と口にしたときには、「努力? あれ、努力なの?」「努力って…もっと苦しいもんなんじゃねえの」と苦々しい声をあげていた。

 責任感が強い浩二は、経営が傾く「喜多一」を立て直そうと必死で努力している。家族のことを誰よりも強く思っているはずなのに、三郎たちの関心ごとはいつだって裕一に向いている。佐久本の表情からは、浩二の心に蓄積されてきた苛立ちと悔しさが滲み出る。

 音を「信頼できる唯一の人」と言った裕一に、浩二は呆れて笑い出し、「みんな兄さんの心配してんだよ」「父さんや母さんにこれだけ愛されても信用できねえってこと?」と兄の発言を咎める。浩二の口からは、兄に対する鬱憤がとめどなく溢れ出す。浩二はこうも言い放った。

「周りの愛を当たり前だと思うなよ!」

 浩二は兄の顔を睨みつけながら「俺…兄さんが嫌いだ」と言うが、その気持ちの奥には「もっと俺にも関心持ってよ」という思いがあった。思い返すと、浩二が高等学校に進学すると決心したとき、音楽に夢中で自分に大した関心を向けなかった裕一に、浩二は寂しげな表情を浮かべていた。佐久本が見せる演技は、浩二の憤りを視聴者にはっきり伝えるだけでなく、幼い頃から蓄積されてきた兄や家族への複雑な心情も伝わってくる。幼い頃に兄からもらったお土産を大切に持っていた浩二。「家族の幸せを第一に考えて下さい」と言って立ち去った浩二に、裕一は何を思ったのだろうか。

(片山香帆)

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