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“誰もが知るヒット曲”多発時代が到来? レコチョク2020上半期ランキングに感じたこと

リアルサウンド

20/7/14(火) 18:00

 株式会社レコチョクが2020年7月14日、「レコチョク上半期ランキング2020」「レコチョク上半期サブスクランキング2020」「dヒッツ® powered by レコチョク」という3つの上半期ランキングを発表した(集計期間:2020年1月1日~2020年6月30日)。

(参考:レコチョクが2020年上半期ランキング発表 三冠のOfficial髭男dismを『あつ森』で祝福

 なお、「サブスクランキング」は、レコチョクが提供している定額制音楽配信サービス「RecMusic」(旧名称「レコチョク Best」)、株式会社NTTドコモが提供する「dミュージック月額 powered by レコチョク」、株式会社NTTぷららが提供する「ひかりTVミュージック」における再生回数を反映したランキングとなっている。

 本稿では、今回のランキングから見える“注目のトピックや楽曲”について、それぞれ取り上げていきたい。

 今回発表された3つのランキングで、すべて1位を獲得する快挙を成し遂げたのは、Official髭男dism。2018年4月期のドラマ『コンフィデンスマンJP』主題歌だった「ノーダウト」、2019年5月公開の映画『コンフィデンスマンJP -ロマンス編-』主題歌の「Pretender」、『2019 ABC 夏の高校野球応援ソング』かつ『熱闘甲子園』テーマソングの「宿命」、劇場アニメ『HELLO WORLD』主題歌「イエスタデイ」など、多くの楽曲が上位にランクインした。

 今回の三冠は、昨年10月にメジャー1stアルバム『Traveler』が発売され、『第70回NHK紅白歌合戦』(NHK総合)に初出場、年明けの2020年1月にヒットドラマ『恋はつづくよどこまでも』(TBS系)の主題歌を「I LOVE…」で担当したことなどが大きな要因だろう。他のサービス含め、“サブスクに強い”と言われているヒゲダンだが、ポップかつテクニカルな楽曲・歌詞の良さは前提として、この的確かつ継続的な露出も、ストリーミング時代に継続してリスナーをアクティブにし続ける戦略的な最適解を示したといえるだろう。

 そして、昨年放送のアニメが大ヒットし、先日には原作が大団円を迎えた『鬼滅の刃』関連曲もランクイン。最高位は「レコチョク上半期ランキング2020」の「ハイレゾシングルランキング」部門で1位に輝いたLiSA「紅蓮華」などだ。アニメは昨年9月で放送終了となったが、各映像配信サービスで配信が続いていることに加え、おそらくコロナ禍で改めて全話を見るユーザーが多かったことや、原作の単行本発売、連載終了などの盛り上がりもあわせ、楽曲の聴取・購入につながったことも大きいのだろう。

 「洋楽ランキング」では、ビリー・アイリッシュ「bad guy」が1位に。元より世界的な人気を誇るアーティストではあるが、1月の『第62回グラミー賞』における主要4部門獲得という快挙から彼女のことを知り、聴き始めたリスナーも多いからこそ、アルバム発売から期間が経ってなお1位という成績を守り抜けたということが、このランキングからもわかってくる。

 昨年のランキング振り返り記事に関しては「これまで以上に音楽の聴き方の選択肢が広がっている」という見立てがあったが、今回のランキングでは、昨年から変わらず同じアーティスト・同じ楽曲が支持されることが多いというのが読み取れる。もちろんコロナ禍においてリリースの数が減少したというのも前提条件にあるだろう。しかし、あらゆる楽曲を膨大なライブラリから発掘するというストリーミングサービスに慣れていない”初心者”までもが多く参入しているフェーズだと考えれば、自然な動きととらえることができるのではないだろうか。

 そうした属性のリスナーがストリーミングやDLでの聴取を前提にした世界は、ここ1~2年でいえばOfficial髭男dismの「Pretender」やKing Gnuの「白日」、あいみょんの「マリーゴールド」のように、ある種“誰もが知るヒット曲”が多発しやすいと解釈することもできる。

 各サービスによる濃淡はあるとはいえど、ストリーミングでの音楽聴取が”当たり前”になり、環境は次のフェーズに入ったといえる現在。通常通りの音源リリースが始まるであろう2020年代後半は、果たしてこのままデジタルトランスフォーメーションが進むのか。その予測を立てる意味でも、今回のチャートは大きな材料になりそうだ。(中村拓海)

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