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Aqoursが沼津から届けた最大限のエール “地元愛”精神に溢れた『シブヤノオト』SPでのパフォーマンスを観て

リアルサウンド

20/7/29(水) 6:00

 Aqoursが、7月23日に音楽番組『シブヤノオト SPECIAL‐みんなでエール‐』(NHK総合)に出演。静岡・沼津市内浦にある伊豆・三津シーパラダイスより「恋になりたいAQUARIUM」を披露して大きな話題となった。

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 今年6月にユニット結成5周年を迎えたAqours。4月には、新プロジェクト『Aqours 5th Anniversary 地元愛!Take Me Higher Project』、つい先日には同プロジェクトより『ラブライブ!』シリーズ初となる全国5都市でのドームツアーの詳細を発表したばかりだ

 そんなAqoursが、今回の『シブヤノオト』でステージに選んだ伊豆・三津シーパラダイス(以下:三津シー)は、彼女たちのファンの多くが訪れる聖地巡礼スポットのひとつ。番組内で披露した2ndシングル表題曲「恋になりたいAQUARIUM」MVの舞台や、TVアニメ劇中でメンバーのアルバイト先となった、Aqoursゆかりの地としても知られる場所だ。オンエア時のVTRによると、先般からの新型コロナウイルスの影響により、5月末までの3カ月間にわたり休館を迫られながらも、再開後には「会いたかったよ」といち早く駆けつけてくれたファンもいたとのことである。

 また、アニメはもちろん、キャラクターの声を演じる声優陣にとっても、三津シーは思い入れの深い場所に違いない。その一例となるのが、2016年10月発売のアニメBlu-rayに収められた特典映像「てくてくAqours 2年生編」である。

 同映像には、伊波杏樹(高海千歌役)をはじめとする2年生メンバーの3名が、「恋になりたいAQUARIUM」MVに登場したカラフルなライトアップの「クラゲ万華鏡水槽」を前にMVと同じポーズを再現したり、「イルカトレーナー体験」として、イルカと戯れる様子などを収録。ほかにも、斉藤朱夏(渡辺曜役)が三津シーのマスコットキャラクター・うちっちーをハグする様子は、Aqoursのライブなどでもたびたび確認されるところだ。

 そんな彼女たちの歩みを追体験しようと、筆者も3年ほど前に三津シーを訪れたことがある。その際に館内で見つけたのが、今回のオンエアでもバックに映っていたキャストのサイン入り壁面パネルや、キャラクターの等身大パネル展示など。「恋になりたいAQUARIUM」MVと同じ構図で写真撮影を楽しむのはもちろん、「てくてくAqours」にてメンバーがすっぽりと収まっていた水槽下の小さな洞窟に入るなどしていたわけだが、館内のあちこちにAqoursのイラストやキャストの足跡が見られたのも印象に残っている。

 同時に、施設の見どころといえるイルカショーを観て、その美しさに純粋に惹かれてしまった。沼津を訪れたAqoursのファンもまた、彼女たちを通して沼津に出会い、その和やかな空気に浸るうちに、気がつけば沼津の土地そのものを愛するようになるのだろう。そんな愛の循環を踏まえるに、今回の『シブヤノオト』でのステージは、三津シーや沼津の土地を、作品のファンには“Aqoursが居る場所”として、その魅力を大々的に発信する確かな足掛かりとなったのではないだろうか。

 実際のパフォーマンスも振り返っていこう。『シブヤノオト』のステージは、三津シーのイルカたちの演技を織り交ぜた内容だったが、イントロの時点でまず唸ってしまったのが、彼らの飛び込む水しぶきが、リアルな“水”の音として楽曲に新たなエッセンスを与えていたことである。まさに、海辺の町である沼津らしさをサウンドに還元した素晴らしいポイントだった。あわせて、ステージ上のパフォーマンスに影響を及ぼさぬよう、メンバーの足場を濡らすことなく巧みに演技をしていたのも高く評価されるべきかと思われる。

 一方、キャスト陣においても、鈴木愛奈(小原鞠莉役)のウインクをはじめ、全員のかわいらしいカメラ目線や、人魚をイメージしたような、MVそのままの光沢感ある衣装が非常に映えるひと時だった。長い梅雨を吹き飛ばすかのように、アッパーなトラックの上でピュアな恋心を表現する姿はとても印象的だったが、なかでもセンターを務める斉藤のとびきりに輝く笑顔は、間違いない“エール”として視聴者にも届いたことだろう。さらに、魚たちをキュートに手招く振り付けを経て、サビの〈Yeah!〉のコールでは、イルカたちが一斉に華麗なジャンプを披露するなど、まさに歌詞にある〈海色ゲート〉の光景を体験するかのようだった。

 そもそも、“Aqours”というユニット名だからこそ、いずれは“水”の演出を取り入れたライブがあることをぼんやりと期待もされていただろう。しかしながら、実際のライブ会場に水槽などの大掛かりなセットを組むハードルの高さは想像に難くない。だからこそ、今回の『シブヤノオト』でのステージは、ファンが以前から本当に見たかった光景を届ける最適解ともいえるのだ。

 もちろん、楽曲の華やかさを押し出すならば、スタジオに相応のセットを設けるパターンも考えられるが、Aqoursは今回のステージで、音楽を通して沼津から全国に贈る“エール”を、彼女たちの言葉で言えば“地元愛”精神を届けたかったのだろう。今回のオンエアとは関連しないながらも、今後開催予定のドームツアーの詳細がちょうど発表されたタイミングだっただけに、5周年プロジェクトの幕開けを飾るに相応しい会場選びだったに他ならない。

 また新しい思い出を沼津に刻み、“地元愛”精神を発揮してくれたAqours。今回のオンエアを機に、彼女たちが沼津に残している足跡を辿りながら、その土地の温かさに触れる夏休みを過ごしてみるのはいかがだろうか。(一条皓太)

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