Download on the App Store ANDROID APP ON Google Play
Download on the App Store ANDROID APP ON Google Play

『また、あなたとブッククラブで』のドライブ感 『SATC』を思い出すような会話劇を堪能

リアルサウンド

20/12/18(金) 20:30

 リアルサウンド映画部の編集スタッフが週替りでお届けする「週末映画館でこれ観よう!」。毎週末にオススメ映画・特集上映をご紹介。今週は、今年は映画よりも本を多く読んだ1年だった安田が『また、あなたとブッククラブで』をプッシュします。

『また、あなたとブッククラブで』

 年末となり、慌ただしい季節となりました。例年であれば、学生時代からの友人と今年観た映画について語る「映画会」なるものを開催しているのですが、今年はコロナの影響もあり、対面で開催することは難しそうです。これまでの当たり前だったものが続々と形を変えていくさまは、いよいよコロナは本当に世界を変えてしまったんだなと感じてします。

 今週取り上げるのは『また、あなたとブッククラブで』。ダイアン・キートン、ジェーン・フォンダ、キャンディス・バーゲン、メアリー・スティーンバージェンといった大女優のアンサンブルが楽しめるヒューマンドラマですが、本作が舞台にしているのが、前述の「映画会」のような、ブッククラブという「読書会」です。

 読書会とは、固定のメンバーが定期的に集まり、課題にした一冊の本について、意見を交換し合うというものです。日本ではあまり馴染みがありませんが、アメリカでは、TV番組の企画として人気を博したこともあるなど、ある程度の一般性を獲得しているようです。今回共演した4人も学生の頃から欠かさず定期的にブッククラブを開催しているという大親友の役柄。長い友人同士で作品について語り合う姿は微笑ましく、こんな関係性をなんとも羨ましく感じてしまいます。

 物語は、そんなブッククラブのお題が、イギリスのベストセラー官能小説『フィフティ・シェイズ・オブ・グレイ』(著:E・L・ジェームズ)に決まったことからはじまります。映画化もされた『フィフティ・シェイズ・オブ・グレイ』ですが、スキャンダラスで若きパッションに満ちた作品。いつもとは全く違う雰囲気の課題図書に彼女たちは、戸惑いを見せます。

 40年連れ添った夫を亡くした喪失感からまだ抜け出せないダイアン(ダイアン・キートン)、複数の男性たちとの関係を楽しんでいるハイクラスな経営者・ビビアン(ジェーン・フォンダ)、離婚のトラウマに苦しんでいる管理職・シャロン(キャンディス・バーゲン)、熟年夫婦の危機に直面する専業主婦・キャロル(メアリー・スティーンバージェン)。人生の折り返しを迎えそれぞれが抱える悩みと向き合うなか、まさかの『フィフティ・シェイズ・オブ・グレイ』に感化され、日常に彩りを取り戻していきます。

 本作の見どころは、なんと言ってもテンポのいい会話劇に集約されるでしょう。『ゴッドファーザー』のダイアン・キートンをはじめ、子どもの頃に観ていた名画で輝きを放っていた女優たちが、円熟味を増し絶妙な会話のキャッチボールを繰り広げるさまは気持ちの良さすら感じます。映画の対象年齢は上を想定していると思うのですが、観ていると『セックス・アンド・ザ・シティ』を思い出すようなドライブ感もあり、意外と若い世代が観ても楽しめる作品になっているのでは、と感じました。

 本をはじめ1本の作品を通して、人生が大きく変わった、新たな気付きを得たといった経験は誰しもあるのではないでしょうか。本作は、そんな作品との出会いの素晴らしさを改めて思い出させてくれます。不安な日々が続きますが、感染防止策に配慮しながら是非観賞ください。

■公開情報
『また、あなたとブッククラブで』
ヒューマントラストシネマ有楽町、ヒューマントラストシネマ渋谷ほかにて公開中
監督・共同脚本・製作:ビル・ホルダーマン
出演:ダイアン・キートン、ジェーン・フォンダ、キャンディス・バーゲン、メアリー・スティーンバージェン、アンディ・ガルシア、ドン・ジョンソン、クレイグ・T・ネルソン、リチャード・ドレイファス
配給:キノフィルムズ
2018年/アメリカ/スコープサイズ/104分/カラー/英語/DCP/5.1ch/日本語字幕:鈴木恵美/原題:Book Club/映倫:G
(c)2018 BOOKCLUB FOR CATS, LLC ALL RIGHTS RESERVED
公式サイト:bookclub-movie.jp

新着エッセイ

新着クリエイター人生

水先案内

アプリで読む