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OKAMOTO’S オカモトショウのマンガビレッジ

殴り合った経験はなくとも、本気の戦いに心揺さぶられる! 異色の格闘マンガ『軍鶏』

隔週連載

第47回

20/10/12(月)

すっかり秋になり、じっくりマンガに没入するのにぴったりの季節。今回紹介するのは、異色の格闘マンガ『軍鶏』(原作:橋本以蔵/作画:たなか亜希夫)。ダークヒーロー・成嶋亮を主人公に据え、社会の闇、人間の暗部リアルに描いた本作の魅力をオカモトショウが紹介します!

── 『軍鶏』はショーン・ユー、魔裟斗主演で映画化された格闘マンガ。かなりディープな作品ですね。

オカモトショウ(以下、ショウ) 濃いですね。高校生のとき、ウチの学校で一大『刃牙』ブームが巻き起こったんですよ。ほとんどの男子が呼んでいて、お互いに『刃牙』クイズを出し合ったり(笑)。その流れでいろんな格闘マンガを読み始めて、この連載でも紹介した『シグルイ』もそうだし、『軍鶏』にもかなり衝撃を受けたんです。歴代の格闘マンガのなかでも、異彩を放っている作品だなと。

── 主人公の成嶋亮が両親を惨殺し、少年院に入るという冒頭からめちゃくちゃインパクトがあります。少年院でいじめられ、自分を守るために空手を習いはじめ、出所後は極貧にあえぎながらも格闘家の道を目指すというストーリーです。

ショウ 成嶋亮は完全に悪役なんですよね。ここまでダークヒーロー然とした主人公もなかなかいないんじゃないかな。“なぜダークヒーローになったか”がきちんと描かれているのが面白いところなんです。読み進めているうちに同情に近い気持ちを持ってしまうし、感情移入しちゃうんですよね。戦闘シーンはもちろん見ものなんですが、格闘マンガでありながら、ヒューマンドラマとしてすごくいいなと思います。

── なぜ両親を殺したかという描写もあるし、格闘家になってからも過酷な生活が待っていて。妹も悲惨な日々を送っているし、この主人公の人生、本当にきついですよね……。

ショウ そうそう。亮との対比でいうと、試合相手は恵まれた格闘家が多くて。相手が“才能があって、将来を約束された格闘界のサラブレッド“というだけでも、亮には戦う理由があるんですよね。亮にも才能はあるし、努力はしてるんだけど、親を殺害して少年院に入ってるし、出所してからも金がない。

── 亮は生活のために身体を売ったりしてますからね。

ショウ だから「生きるためには戦うしかない」ということになるんですよね。少年マンガの「俺があの子を守る」みたいな理由ではなくて、もっと大人のドロドロした感情が渦巻いているし、そこがしっかり描かれていることで、戦いにも深みが出てくる。亮が勝つと、相手は挫折を味わうんですけど、その描き方もいいんですよね。たとえば『闇金ウシジマくん』『賭博黙示録カイジ』『殺し屋1』もそうですけど、『軍鶏』はダークな人間社会がしっかり表現されているんです。だからこそ、大人になってからも読み返したくなるんでしょうね。戦いの場面も良い。超能力的な要素はなくて、磨き上げたきた武道の技をどう使うか?というところなんですけど、反則アリのケンカ格闘技というか、ストリートファイト的な部分もあって。そこはやっぱり、マンガならではの表現だと思いますね。

── 『軍鶏』は“少年院編”“リーサルファイト編”から始まって、“中国編”“グランドクロス編”“どぶ組編”と続きますが、進むにつれてどんどんエグさが増していきます。

ショウ エグイですよね(笑)。しかもね、単行本でいうと19巻のタイミングでいきなり休載しちゃったんですよ。「え、ここで休載しちゃうの?」って驚いたし、「『軍鶏』の続き、読みてえ!」という時期が3年以上あって。その後、違う雑誌で連載が再開して、しっかり最後まで描き切ってくれたんですけど、どこか一筋縄ではいかないマンガという印象もあるんですよね。それをリアルタイムで追いかけていたぶん、より思い出深い作品になっています。

── なるほど。ショウさん、やっぱり格闘マンガが好きなんですね。

ショウ なんだかんだ好きですね(笑)。さっき話した『刃牙』『シグルイ』もそうだけど、名作がいくつかあるし、それはハズせないなと。俺自身はケンカなんてしたことないし、誰かと殴り合った経験もないんです。ケンカに燃えるタイプではないんだけど、男同士が本気で戦ってるマンガを読むと、心の奥底が揺さぶられちゃうんですよね。男の子って、そういうところないですか?

── 武道に興味を持ったこともないんですか?

ショウ ないですね……あ、でも、中学のときにスポーツチャンバラやってましたよ。レイジと一緒に中1、中2のときに毎週、渋谷の道場に通ってて。おもしろかったし、俺、都大会で2位になったんですよ。才能あったのかも(笑)。

──運動神経良さそうですからね。最後に近況を。9月に第2弾ソロ配信シングル『LOOP feat.AAAMYYY』がリリースされましたが、その後もソロ作品の制作は続いてますか?

ショウ やってますよ。楽器が入っていない曲があったり、フィーチャリングも続けています。この先もリリースしたいと思ってるので、楽しみにしててください。あと、10月19日が30才の誕生日なんですよ。去年はStudio Coastで華々しく誕生祭をやったんですけど、今年は配信でやろうと思っています。ぜひお祝いしに来てください! 他にもいろいろ計画を練っています。もちろんバンドが中心なんですが、バンドでは出来ないことにもどんどんチャレンジしたいですね。

(取材・構成=森朋之)

プロフィール

オカモトショウ(OKAMOTO’S)

1990年生まれ、ニューヨーク出身。 OKAMOTO'Sのボーカル担当。
2010年3月、「S×SW2010」に日本人男性としては最年少での出演を果たす。そのまま全米6都市を廻るツアーをおこない、5月に1st.アルバム『10'S』でデビュー。
その後もオーストラリアツアーや夏フェスなどに出演。11月には2nd.アルバム『オカモトズに夢中』、翌年9月には3rd.アルバム『欲望』と、ライブを続けながらもアルバムを立て続けにリリースする。
2017年、7thアルバム『NO MORE MUSIC』を発売し、中野サンプラザにてキャリア初のホールワンマンを成功。2019年、8thアルバム『BOY』を発表し、7月には日本武道館でのワンマンライブを成功させる。その他、2018年よりNHK教育テレビ「ムジカ・ピッコリーノ」のベルカント号・船長、ジュリオとして出演中。

Label : Sony Music Labels
HP : http://www.okamotos.net/


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