関ジャニ∞の涙から始まる「キミトミタイセカイ」MV グループの未来照らすラブソングを映像と共に聴き解く
21/1/26(火) 6:00
関ジャニ∞の涙から始まる「キミトミタイセカイ」ーー2月10日、関ジャニ∞にとって通算45枚目のシングルとしてリリースされる同楽曲。本作は、大倉忠義主演の木曜劇場『知ってるワイフ』(フジテレビ系)の主題歌に起用されている。J Storm Officialチャンネルでは、MVが公開されてから1月25日現在までに115万回以上の再生回数を記録している。
今にも泣きだしそうな表情の横山裕、涙が顔をつたった丸山隆平、村上信五の目からも涙が溢れ、安田章大の眼鏡の奥にも涙が……。15秒ほどのイントロを経て、〈ねぇ まだ〉と、大倉忠義が心の言葉を語りかけるように歌い出す。
映像では、横山、大倉、安田、丸山、村上とそれぞれがパートナーとすれ違うシーンが描かれる。〈幸せを描くはずだった未来〉からサビにつなぐ一節の、叫ぶように響く声が切ない。
はじまりからモノクロに近い映像で展開し、これまでの関ジャニ∞とは違う大人っぽい雰囲気。しかし、淡い色合いの映像が意味したのは、二人の気持ちが離れた様子、恋の終わり…か。
1分6秒、〈時を戻して〉の歌詞とリンクするように、テーブルから落ちて割れた水の入ったグラスが逆再生で映る。そして、楽曲の進行と共にパートナーとの思い出のシーンが登場する。
手を繋いだだけで嬉しかったこと、いつもと変わらない職場が、気持ちの変化一つで色鮮やかになっていく様。車の助手席から見える表情。ベッドで脚をからませて、じゃれ合って。記念日を素直に喜んでいた頃のこと。なんでもない一コマでも恋人同士だからこそ感じ合える特別な時間……。映像の中にも、前半・後半でトーンが異なり、横山がフライパンに落とした卵の黄色と白、大倉のシャツの白襟、安田のとびっきりの笑顔、丸山が座る運転席を照らす眩しいほどの光など、表情とライティングによって心の中の光と闇を演出している。
パートナーだけが独り占めできる彼らの表情。ストーリーを切り離せばひと時の恋人気分を味わえなくもないが、歌詞などが重なることでずしりとくる。終わりを想定した恋愛なんてはじめからないのだ。だからこそ願ってしまう、時を戻せたら、と……。
わずか2分30秒ほどの映像ながら、描かれた物語には奥行きがあり、5人のラブストーリーが詰まったオムニバスドラマのよう。一度最後まで再生し終えたのち、少しずつ時を戻すような視点で観るのも味わい深い。
ファン以外から見た関ジャニ∞のイメージは、関西弁のお祭りソングやメッセージ性のある楽曲の印象が強いかもしれない。明るくて元気いっぱいにはしゃいだり、胸を打つ熱い歌唱のイメージが先行して、バラードやラブソングを歌う姿を真っ先に思い浮かべる人はそう多くはないだろう。
しかし、関ジャニ∞の音楽の扉を開いてみると、シングルのカップリングやアルバムに、実はいくつものラブソングが収録されている。「ブリュレ」(アルバム『PUZZLE』収録)のようにノリのいいロックナンバーかと思いきや、疾走感あふれる音にのせて、ちょっぴり重たい恋心を歌った曲など、タイトルからは想像のつかないラブソングもある。歌詞を読めば「なるほど!」と腑に落ちるのも面白い。
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今回、ドラマ主題歌として書き下ろされた楽曲なだけに、ストーリーに寄り添うのと同時にストレートなミディアムバラードをシングルとして打ち出すことで、関ジャニ∞のこれまでの音楽の幅を広げる、進化や挑戦を意識したナンバーだと捉えられなくもない。
昨年12月の詳細発表の段階で、大倉は「ドラマは過去に戻りますがこの曲と一緒に明るい未来を照らせたらと思います」ともコメントしていただけに、フルバージョンでは何かさらなる展開があるのか、続きが待ち遠しい。
■柚月裕実
Web編集者/ライター。企画、担当編集、取材・執筆してます。
日本の男性アイドルの頑張りを見ては涙する30代。
始まりはSMAP中居さん。 KAT-TUN、NEWS中心の事務所担。年中HDDの整理と原稿書きに追われています。
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