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『九月大歌舞伎』が開幕! 中村吉右衛門の「引き窓」ほか、華やかな演目を四部制で上演

ぴあ

20/9/1(火) 10:00

『九月大歌舞伎』チラシ

九月大歌舞伎が初日を迎える。8月にひきつづき四部制で、各部とも完全入れ替え制をとる。ほかにも安全対策のため様々な制限はあるが、まさに初秋の候の大歌舞伎にふさわしく、華やかで見どころたっぷりの演目と豪華な顔ぶれがそろった。

第一部は『寿曽我対面』。源頼朝の信任厚い工藤祐経の館へ、曽我の十郎と五郎の兄弟が父の敵である工藤への対面を願ってやってくる。中村梅玉の工藤、尾上松緑の曽我五郎に中村錦之助の十郎、中村又五郎の小林朝比奈、中村歌六の鬼王新左衛門、中村魁春が大磯の虎をつとめる。祝祭劇らしい華やかな一本だ。

第二部は『色彩間苅豆』。「かさね」の通称で知られる清元の舞踊劇だ。武家につかえる与右衛門は腰元かさねと心中を約束したが、かさねを残して一人逃げてきてしまう。追ってきたかさねと木下川で再会するが、美しいかさねの形相がたちまち醜く変わり……。与右衛門を松本幸四郎、かさねを市川猿之助がつとめる。艶っぽさとゾッとするような恐ろしさを味わいたい。

第三部は『引窓』。人形浄瑠璃として初演された『双蝶々曲輪日記』の八段目にあたる人気の義太夫狂言だ。大坂で人気の相撲取り・濡髪長五郎は人を殺めてしまい、義理の弟・南与兵衛の家に母お幸を訪ねてやってくる。一方与兵衛は、まさにその日、代官に取り立てられて意気揚々と帰宅。しかし二階に潜むお尋ね者の長五郎に気づいて……。引窓という明り取りの構造を巧みに使いながら、親子、兄弟、夫婦の情愛を描いた世話物の傑作だ。中村吉右衛門の濡髪、尾上菊之助の南与兵衛、中村雀右衛門のお早、中村東蔵のお幸。

第四部は坂東玉三郎による『口上』、そして女方舞踊の名作『鷺娘』。一面の銀世界の中、池のほとりにたたずむ若い娘、実は鷺の精だった。人間との道ならぬ恋の咎により責め苦を受け、雪の降りしきる中、懸命に翼をはためかせる。今回は映像を織り交ぜた上演となる。幻想的な鷺の精の世界を堪能できるだろう。

文:五十川晶子

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