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「ショールームダミーズ #4」に向け、ジゼル・ヴィエンヌらが京都でトーク

ナタリー

19/4/9(火) 13:23

左からエティエンヌ・ビドー=レイ、ジゼル・ヴィエンヌ、橋本裕介。

ジゼル・ヴィエンヌ、エティエンヌ・ビドー=レイ「ショールームダミーズ #4」トークイベントが、4月7日に京都・ロームシアター京都 パークプラザ3階共通ロビーにて行われた。

「ショールームダミーズ #4」は、ロームシアター京都の“レパートリーの創造”シリーズの一環として、来年2020年2月8・9日に上演が予定されている作品。それに先駆けて行われたトークイベントでは、演出・振付・舞台美術を手がけるジゼル・ヴィエンヌとエティエンヌ・ビドー=レイが登壇し、創作に対する思いや「ショールームダミーズ」の成り立ちについて語った。聞き手を勤めたのは、ロームシアター京都プログラムディレクターの橋本裕介だ。

まず橋本が、“レパートリーの創造”シリーズについて説明。「劇場が作品をプロデュースし、それを劇場の財産として繰り返し上演していこうと、3年前に始めたプロジェクトです。最初の2年間は日本のアーティストである木ノ下歌舞伎と共に作品を作ってきましたが、これから2年間はジゼル・ヴィエンヌさんとやっていきます」と話し、2人を紹介する。また「ショールームダミーズ」は、パフォーマーを変えながらこれまで3バージョンが上演されており、今回はワークショップオーディションで選出された出演者によって、新たな作品として立ち上げられることを明かした。

ヴィエンヌはクリエーションに携わるようになったきっかけとして「美術とムーブメントの関係に興味があり、そこから人形劇を学ぶことになったことが始まりです。その後、人形劇芸術学院の在学中に彼(ビドー=レイ)と出会い、一緒に共同演出を始めました」と話す。ビドー=レイも「(ヴィエンヌとは)出会ったときから同じアートの惑星に住んでいる感じがして、最初から力強い作品を作ることができました」と振り返り、「実際にダンサーと作業するようになってからは、人形劇の学校で学んできたさまざまな技術、例えば腹話術とか自分で動く人形とか、文楽など世界中の人形劇についての知識を、振付としてどう用いていくかをダンサーたちと考えていきました」と続けた。

「ショールームダミーズ」について、橋本が「この作品のモチーフにはL.ザッヘル・マゾッホの小説『毛皮を着たヴィーナス』があるそうですが、作品のコンセプトをどのように考えていますか」と質問すると、ヴィエンヌは「毛皮を着たヴィーナス」に描かれるエロチシズムやフェティシズムへの興味を語りながら、「私たちの出発点は人形劇ですが、それは人工的な身体と身体の関係性、動いているものと動いていないものの関係性、あるいは音楽と沈黙との関係性と言えるかもしれませんし、それが『ショールームダミーズ』の中心的なテーマとも言えます」と話す。

それを受けてビドー=レイは、「毛皮を着たヴィーナス」の主人公がヴィーナスの彫刻の完全さに恋することに触れ、「完全であるということがどれだけ不可能であるかが、作品のテーマでもあります。『ショールームダミーズ』では、まず14体の動かない人形がいて、そこへダンサーが入ってくると“動かない”状態が壊れていくわけですが、何かに対する強い欲求がうまくいかないこと、そのことにエロティシズムがあると思います」と続けた。

今回の「ショールームダミーズ #4」は、女性ダンサーだけでクリエーションが行われる。ジゼルはその点について「(小説は男女間での欲望として描かれるが)男性の中にも女性性があるし、女性の中にも男性性がある。なので、男女間の欲望にとどまらず、すべて女性の中にあるものとして欲望を描き出したい」と話す。さらに「欲望にはいろいろな形があって、男性と女性、恋人や夫婦といった関係だけではなく、人と光や温度、色、形、動きとの関係というように考えることもできる。そのように考えると、(人と何かの関係性は)ジェンダーをとっくに超えたレベルで考えることができるのではないか」と思いを語った。

またヴィエンヌは今回のクリエーションについて「大きな変化としては、1つ通底音と言うか、ずっと流れているメロディを作ろうと思っています」と話し、ビドー=レイは「衣装を含めてオブジェクトをアップデートし、今の時代にあった“レパートリー”作品を作りたい」と目標を掲げる。最後にヴィエンヌは、オーディションでの新たな出会いに期待を寄せ、トークを締めくくった。

レパートリーの創造 ジゼル・ヴィエンヌ「ショールームダミーズ #4」

2020年2月8日(土)・9日(日)
京都府 ロームシアター京都 サウスホール

演出・振付・舞台美術:ジゼル・ヴィエンヌ、エティエンヌ・ビドー=レイ
出演:公募によるオーディションによって決定

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