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海外映画取材といえばこの人! 渡辺麻紀が見た聞いた! ハリウッド アノ人のホントの顔

ジェームズ・ガン

連載

第59回

── 今回は監督&脚本家のジェームズ・ガンです。彼の最新作『ザ・スーサイド・スクワッド“極”悪党、集結』が8月13日に公開されます。麻紀さんは彼の大ファンなんですよね?

渡辺 はい。『ザ・スーサイド・スクワッド』を観て、ますます大好きになってしまいました。これは彼の集大成。素晴らしいとしか言いようがない!

── 『スーサイド・スクワッド』は以前、一度作られていますが、その続編になるんですか?

渡辺 いや、続編ではなくリブートになるのでは? 1作目はデヴィッド・エアーが監督しましたが、それがイマイチだったので、最初から作り直したという感じですね。登場するキャラクター&役者の中には続投の人はいます。ハーレイ・クインのマーゴット・ロビーや、リック・フラッグ役のジョエル・キナマンとか。でも、多くはニューフェイス。

ストーリーもまるで違っていて、今回は独裁者が支配する南米の架空の国の陰謀を葬るため、アメリカ政府が投入するのが使い捨てOKの14人の極悪人たち“スーサイド・スクワッド”というストーリーです。前作はゴッサムシティが舞台でしたが、今回は南米の小さな国とジャングル。本作は戦争映画の色合いが濃くて、ガンの大好きな映画、ロバート・アルドリッチの『特攻大作戦』(67)により近いと思いました。

中央がマーゴット・ロビー扮するハーレイ・クイン。左端がジョエル・キナマンが演じるチームの司令塔リック・フラッグ。

── はみ出し者やお尋ね者が主人公だというのは、彼の出世作でもある『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』(14)と重なる部分もありそうですね。

渡辺 そうです。落ちこぼれやはみ出し者が力を合わせ、一瞬だけヒーローになるという話が本当に大好きみたいですね(笑)。

初めてインタビューしたのは最初の『ガーディアンズ…』だったんですが、そのときから『特攻大作戦』(67)が大好きと公言してました。彼の言葉で言うと「オレのアイデアをマーベルでプレゼンするときに、例として挙げたのが『特攻大作戦』。この映画の影響は計り知れない。オレは、悪いヤツらが仲間になって、最後ヒーローになるというストーリーラインに滅法ヨワい(笑)。」って。

本作はまんまそうです(笑)。

『特攻大作戦』は第二次大戦のナチスとの戦いを描いた戦争映画。ガンは、DCコミックのヴィランキャラクターを使って、60年代後半に人気を博したハリウッドのサブジャンル、戦争映画×ハイスト(強盗)映画を作りたかったそうで、ワーナーでプレゼンしたときのことをこう語っていました。

「もしオレが“映画史上最大級のセットを使った、壮大なスケールの戦争/ハイスト映画を作りたい”と言ったら“おまえはバカか?”で終わるだろうから、“映画史上最大級のセットを使った、壮大なスケールの戦争/ハイスト映画を作りたい。あ、でも、主人公はDCの人気キャラですよ”と言ったら“おお! それは面白そうだ。やろう!!”となったってワケさ(笑)。」

── 上手くプレゼンしたんですね(笑)。

渡辺 みたいです(笑)。

首の後ろに爆弾をセットされた14人の極悪受刑者たちが、減刑を引き換え条件に、“生存率0%”の怪獣バトルに向かう!

── ところで、その「映画史上最大級のセット」というのは?

渡辺 今回のガンは、できる限りデジタルに頼らず作りたかったようで、南米の某国やジャングルを模した大セットを作ったようです。ビーチも人工的に作ったようで、出番のない役者たちはそこでまったりしていたと言っていました。

映画を観る限りでは、どこまでがVFXで、どこがSFXか、どこからセットで、どこからロケか、その辺の境界線がまるでよく分からないんですが、全体を通すと60年代っぽい香りのする作品になっています。

── 彼は1966年生まれだから、『特攻大作戦』が公開されたときは1、2歳。どうしてその時代に惹かれるんでしょうか?

渡辺 それについてこう語っていました。

「オレは映画が本当に大好きなんだ。とりわけ、自分が生まれる前や、自分が幼かった時代の映画が大好き。60、70年代映画の映像とかセンス、美意識、何よりノスタルジックな感じに魅了されてしまう。ついノスタルジックなんて言っちゃうのは、おそらく、自分がその時代を体感できなかったという悔しさや悲しさが、その言葉に集約されているんじゃないかと思っている」

彼の監督デビュー作『スリザー』(06)もオールドファッションなSFXを使ったユニークな侵略SFでしたし、その次に撮ったヒーローものを現実レベルで考察してみせた『スーパー!』(10)もそう。あんなリアルで悲しいヒーロー映画はないという感じ。

サエないおっさんが、愛する妻をドラッグディーラーから助けるために珍妙な手作りコスを着込んでヒーローに変身!する『スーパー!』。

『ガーディアンズ…』シリーズは宇宙を舞台にしているので、そういう感じは薄いですが、印象的なアイテムが70、80年代に世界を席巻したSONYのウォークマンですからね。必ずノスタルジックな要素を突っ込んでくる(笑)。

── あのウォークマンは印象的でした。

渡辺 そういうちょっと古臭い感覚というのは、彼の人間関係にも反映されていて、仲間意識が大変強い人なんです。常に自作には友達を出演させている。とりわけマイケル・ルーカ―とは仲が良いようで、今回の『ザ・スーサイド・スクワッド』は彼のエピソードから始まる。愛を感じましたね。

『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』のヨンドゥとしてもおなじみ、コワモテ俳優マイケル・ルーカーとのラブラブエピソードなど、続きはアプリでお読みください!

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