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ヒゲダン、リトグリ、FANTASTICS、あっこゴリラ、ATEEZ……“ビートと歌”の表現に注目

リアルサウンド

20/2/11(火) 8:00

 進化と融合を繰り返すビートの潮流をいかに掴み、そこにどんな歌(フロウ)を乗せるかーーヒップホップ、R&Bのシーンで研ぎ澄まされてきたこのメソッドは、J-POPにも大きな影響を与えつつある。Official髭男dismのシングル『I LOVE…』、Little Glee Monsterのアルバム『BRIGHT NEW WORLD』などを通し、“ビートと歌の表現”に注目してほしい。

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 大ヒットアルバム『Traveler』を引っ提げた初の全国アリーナツアー(3月~)を控えているヒゲダンのニューシングル『I LOVE…』は、2020年代以降のJ-POPの在り方を決定づけると言っても過言ではない、エポックメイキングな楽曲だ。厚みのあるキックとベース、重層的なシンセサウンド、軽快なワウギター、解放感に溢れたホーンを融合させたトラック、そして、ドラマティックにしてエモーショナルな旋律が一つになったミディアムチューン。現在進行形の海外のポップスと同期したサウンド、日本語の響きを活かしたリリックを含め、いま考え得る最高のプロダクションが施されている。対象を問わない愛をリリカルに描いた歌詞のメッセージ性も現代的。この曲でヒゲダンはさらなるブレイクを果たすことになるだろう。

 NHKラグビーテーマソング「ECHO」、Earth, Wind & Fireとのコラボレーションによる「I Feel The Light featuring Earth, Wind & Fire」などの話題曲を含む5thアルバム『BRIGHT NEW WORLD』。小林武史、いしわたり淳治、水野良樹、今井了介といったヒットメイカー、さらに海外のクリエイター陣も参加した本作は、ソウル、ファンク、R&Bといったルーツミュージックを取り込んだ最新鋭のJ-POPとして成立している。“元気でポジティブ”というリトグリのパブリックイメージと直結した「Love Yourself」、超ドープなトラックと中・低音域を活かしたメロディ、“イヤなことだって力に変えてやる”という意思を込めたリリックがひとつになった「SPIN」など、多彩なサウンドと強いメッセージ性を含んだ歌詞のバランスも素晴らしい。

 EXILEのメンバーである世界、佐藤大樹がリーダーを務とめるパフォーマー集団としてスタートし、武者修行と称して全国各地でライブを開催。その後、オーディションを経て2人のボーカリストが加入し、メジャーデビューという定番のストーリーを辿ってきたFANTASTICS from EXILE TRIBEの1stフルアルバム『FANTASTIC 9』。初収録の楽曲は、TAKAHIROの作詞によるメッセージソング「Turn Back Time -FANTASTICS ver.」、“君の夢を叶えられるくらい強くなりたい”という思いを描いた壮大なバラード「FANTASTIC 9」の2曲だ。EDM、R&B、ヒップホップなどを取り入れたサウンド、徹底して前向きな姿勢を反映した歌詞を軸にした楽曲は、EXIE TRIBEのスタイルをしっかりと継承している。グループの本当の個性を示すことが今後の課題だろう。

 年齢、性別、国籍、人種といった枠に捉われることなく、やりたいことをやり、人生を楽しもうとする姿勢を反映したリリックによって、強い支持を得ているあっこゴリラの新作EP『ミラクルミー E.P.』。〈わたしはブラを外したけど/恥の基準だけはぶらさないよ〉というキラーフレーズが炸裂する表題曲「ミラクルミー」、攻撃的なドラムンベース、グランジ系のロックを想起させるサウンドのうえで“普通とか普通じゃないとか何?”という憤りを込めた歌詞を放つ「超普通」など、ヒップホップアーティストとしての個性がさらに炸裂している。ビートを正確に捉えつつ、独特のフロウを生み出すボーカル/ラップの技術もさらに向上。すべてのカテゴライズから自由になろうとするスタンスはもちろん、それを表現するためのテクニックにもぜひ注目してほしい。

 8人組ボーイズグループ・ATEEZの1stミニアルバム『TREASURE EP. Map To Answer』。トラップ、EDMなどを組み合わせたトラック、エキゾチックな雰囲気を醸し出すフロウとコーラス、〈世界中から見えるように/さあ火を灯せ〉という歌詞が溶け合う「Answer(Japanese Ver.)」、美しくも切ないメロディとともに、“迷いながらも、昨日よりも良くなっていきたい”という思いを綴った歌詞が響き渡る「Better」、強靭なビートとアグレッシブなラップがぶつかる「WONDERLAND」などを収録。グローバルポップのトレンドをバランス良く取り入れ、シンプルで力強いメッセージを込めた歌詞を真っ直ぐに伝える楽曲が並ぶ。(森朋之)

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