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Anlyが見せた、シンガーソングライターとしての多彩な表現 祝祭ムードで溢れたバースデー公演レポ

リアルサウンド

19/1/30(水) 16:00

 Anlyが1月20日にshibuya eggmanにて、バースデーライブ『Anly 22nd Birthday Live~んふふ!』を開催した。

 この日はAnlyの22回目の誕生日。ライブハウスの入り口には色とりどりの花が並び、ライブ終盤にはファンからのサプライズでケーキがプレゼントされるなど、始終お祝いムードが漂っていた。

 沖縄・伊江島出身のシンガーソングライターとして2015年にデビューを果たしたAnly。幼い頃から聴いていたブルースやロックの影響が反映されたストレートな楽曲と群を抜いた歌唱力で、デビュー当初から注目を集めてきた。しかし彼女の魅力はそれに留まらないということを証明したのが、昨年夏にリリースされた2ndアルバム『LOOP』だ。等身大の歌詞を詰め込んだラップ調の楽曲や大人っぽいメロウチューンが増え、海外のプロデューサーやトラックメイカーとのコラボでサウンドのグローバル色がより濃くなっている。これらの進化はシンガーソングライターとしてのAnlyの独自性を高めたが、きっと彼女の音楽にはまだまだ見つかっていない引き出しが沢山あり、奥深い可能性を秘めている。

 そんな進化の真っ只中にいるAnlyは、今年もすでに多くのライブが決定している。3月には両国国技館での『東京ギタージャンボリー』、名古屋ブルーノートでのワンマンライブを控え、先日には47都道府県5大陸を目指す『Anly “Loop Around the World” ~Track 2~』第2弾の開催もアナウンスされた。今回のツアーは前回の『~Track 1~』よりさらにスケールアップして台湾等の初の海外ワンマン公演も含む。今後さらに新しいステージへと突き進んでいくAnlyの22歳の幕開けとなった、記念すべきバースデーライブの模様をレポートしたい。

 開演時間が過ぎると、待望と祝福の気持ちが込められた拍手に迎えられ、黒いTシャツにジーンズというラフな姿のAnlyが登場。早速ルーパー(エフェクター)を使って軽やかなアコギの音色、風のように伸びやかな声を重ねていき、1曲目「Free Bird」でライブがスタートした。柔らかい笑みを浮かべながらも真っすぐに前を見据えて歌う姿にフロアの熱は早くも上昇し始め、観客は心地よさそうに身体を揺らし出す。続けて披露された新曲は、目の前に広がる真っ青な海を彷彿させるサマーチューン。力強いギターリフに呼応するように、フロアからは手拍子が沸き起こった。

 「SOLD OUTありがとうございます!」「沢山歌って良い夜にしたいと思います。よろしくお願いします!」元気いっぱいにそう宣言した後は、ブルーのライトに照らされながら「Moonlight」、「DREAM ON」といったラップ交じりのメロウなナンバーを畳みかける。時には感情に動かされるまま手振りを付けて歌ったり、ささやくような歌声で大人びた表情を見せたり。Anlyの動作1つ1つから次々と魅力が放たれていくせいで、ステージから目が離せない。曲中だけではなく、ルーパーを使って音を重ねている時の真剣な眼差しやピックを口にくわえている姿さえも、思わず見入ってしまうほどカッコイイ。

 その後のMCで「初めて私のライブに来た人いますか?」とフロアに呼びかけると、いくつか手が挙がったものの、どうやら初めてではなさそうなファンの姿もちらほら。それを見つけたAnlyが指を差しながら「あ、嘘ついてるのわかりますよ!」と指摘すると、会場は温かい笑いに包まれた。その後はギターを持ち換え、清冽なアルペジオの音色に乗せて優しい歌声で「レモンティー」を披露した。

 ここで本日のSPゲストとして、Anlyの親友でもあるシンガー・mahinaをステージに呼び込み、mahinaの楽曲や2人で共作したというシティポップチューンをコラボ歌唱。ふわふわしたMCとスモーキーな歌声のmahina、明朗快活なMCと透き通る歌声のAnlyのコンビネーションは、まるで月と太陽のようにそれぞれの光となって聴き手の心を照らしていく。歌いながらたまに目を合わせて笑い合う2人の姿に、観客のテンションもどんどん高くなっていき、曲が終わるとひときわ大きな歓声と拍手が起こった。

 ライブもいよいよ終盤。スピード感あるギターリフを重ね、宣誓するかのように高らかに歌い上げた新曲「We’ll never die」を経て、ラストナンバーとして披露された「エトランゼ」では、虹色のタオルを持った沢山の手が挙がり、フロアはこの日一番の盛り上がりを見せた。「最高の誕生日でした! ありがとうございました!」と感謝の言葉を述べてAnlyはステージから去って行ったが、すぐにAnlyを呼ぶ声とアンコールを求める手拍子が鳴り響く。それに応えてAnlyが再びステージに現れると、キャンドルの火が灯ったバースデーケーキがステージ上に運ばれて来た。それに続いてフロアから聞こえてきた「せーのっ」の声を合図に、ファンたちによる「Happy birthday to you」の大合唱が起こる。「私はみんなの誕生日を祝ってあげられてないのに……すごく嬉しい!」と満面の笑顔で喜ぶAnlyと、フロアから飛び交う「おめでとう!」の声。会場はこれ以上ないほどハートフルな空気に包まれていた。

 その後はQueenのカバー「We Will Rock You」をフロアにいる全員で一緒に歌い、アンコールのラストは「Venus」で締めた。「ありがとうございました!」と笑顔でお辞儀をし、手を振りながらステージを去るAnly。ライブは終演したかと思われたが、フロアの客電が点いてBGMがかかり始めてもなお鳴りやまない歓声と拍手が、再びアンコール求める手拍子に変わっていく。一向に下がらないフロアの熱に応えて、Anlyが再々登場。本来は予定していなかったWアンコールとして「笑顔」をアコギ1本で力強く歌い上げ、22歳の好スタートを切った今年のバースデーライブは大盛り上がりのうちに幕を閉じた。

■渡邉満理奈
1991年生まれ。rockin’on.com、Real SoundなどのWEB媒体を中心にコラム/レビュー/ライブレポートを執筆。趣味は読書でビートたけし好き。

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