「彼女は夢で踊る」の公開直前舞台挨拶が本日10月20日に東京・浅草ロック座で行われ、キャストの加藤雅也、犬飼貴丈、矢沢ようこ、監督の時川英之が登壇した。

実在のストリップ劇場「広島第一劇場」を舞台とする本作。閉館の危機が迫る老舗ストリップ劇場の社長・木下が、ダンサーとの秘密の恋を思い出すさまが描かれる。加藤が木下、犬飼が木下の青年時代を演じ、岡村いずみがヒロイン役で出演。矢沢がストリッパーのようこに扮した。

加藤と同じ事務所に所属している犬飼は「この作品以前にも加藤さんとお会いする機会はあったんですが、ガッツリ共演したのは初めてでした。緊張しましたね」と振り返る。本作に企画から参加した加藤は「犬飼くんの名誉のために言っておきますがバーターじゃないですからね！」と説明し会場に笑いを起こすと、「彼が出演している昼ドラを観たときに、こんなに透明感のある人間がいるのか？と驚いたんです。この作品には芸能界で数少ない純粋さを持つ彼が必要だと思いました」とキャスティング理由を力説。時川もうなずきながら、「若い木下役はオーディションをしたけれど見つからなかったんです。そんなときに加藤さんから犬飼くんを紹介されました。なんだこの子は！と思いましたね。まだ彼が仮面ライダービルドになる前の話です」と当時の驚きを伝えた。

「加藤さんはこの作品の僕が1番好きだと言うんです。成長しているのか不安で……」とこぼす犬飼。加藤が慌てた様子で首を振り「十分成長しているんだよ！ ただこの映画で演じた役が個人的には好きだなって」と声を掛けると、胸をなで下ろした犬飼は「これからも、純粋さを忘れずにがんばっていきたいです」と意気込んだ。現役ストリッパーの矢沢は「普段ストリップの劇場でやっていることを、いずみちゃんに伝えてほしいと任されました」と言い、「彼女は本当にがんばり屋さんで、食らい付いてきてくれたので、本当の踊り子さんに見えましたね」と笑顔で回想。加藤も「ストリップに通っているお客さんが撮影に参加してくれたんですが、岡村さんのステージを見て『いつデビューするの？』と言っていました。観客をすごく魅了していた。撮影が終わったらサイン会が始まっていたぐらいです（笑）」と岡村のがんばりをたたえた。

イベント中盤には登壇者が本作の感想を求められる場面も。加藤は「ストリップ劇場を舞台にしたファンタジー映画になっていると思います」と説明する。犬飼は「ストリップってちょっとエッチなイメージがあると思うんですが、この作品からはエロスの先にある芸術的で神秘的なものを感じます」と述べ、「撮影にインする前に、浅草ロック座にステージを観に来たことがあったんですが、そのときに圧倒された感覚がそのまま映像から伝わってきました。最高に美しい映画になったと思います」と言葉に力を込めた。矢沢は「裸を見せることは、心を見せることと共通するものがある。もちろん生々しい部分も描かれていますが、ファンタジーとリアリティを掛け合わせることによって、温かい映画になっています。劇場には夢があるんだよって伝わりますね」と泣きそうになりながら語る。

最後に犬飼は「ストリップの概念が変わる美しい作品になっています」とアピール。加藤は「自殺しようと思った人がふらっとストリップ劇場に入って、生きようと思ったというエピソードをたくさん聞きました。ストリップには何か力がある。コロナの時代で落ち込んでいる人もいると思いますが、癒やしを与えられる映画になっています」と力強く語り、イベントの幕を引いた。

「彼女は夢で踊る」は、10月23日より東京・新宿武蔵野館ほか全国で順次ロードショー。

(c)2019 映画「彼女は夢で踊る」製作委員会