第2次大戦後からヴェトナム戦争後へのアメリカ社会の血塗られた裏面を描くのがマーティン・スコセッシ監督の『アイリッシュマン』。ここに関わる俳優2人、22年ぶりにスコセッシと組んだデニーロと、初めて組むアル・パチーノの演じる役を見たり考えたりしながら、この二人の俳優が映画界で芽をだした60年代を振り返り、脚光を浴びた70年代、大物になった80年代を懐かしく思い出していた。差別が酷かった時代にもあった優れた才能への敬意、そこに芽生える友情がしみじみ胸に沁みた『グリーンブック』。ロンドンの舞台を撮影しながら舞台と映画の良さを巧みにいかしていたのが『42ndストリート』。無名のコーラスガールが一夜にしてスターになる様子を描きながらタップダンスの魅力をたっぷり堪能させてくれた。