今どき『ジョーカー』で驚いている観客は、もう半世紀近く前に作られた『悪魔』やこの40年近く前の『ポゼッション』のアンジェイ・ズラウスキーの、映画全体が挑発的に悪態をついて観る者の「良識」をおびやかすさまに言葉を失うことだろう。映画の上出来なフォルムよりも俳優の躍動と物語の破綻じみた増幅を狙うズラウスキー映画はまず相当なワルと小児病的な純情からなっていて、そんなダメ男に美女が続々酔わされ騙されるというひそみにならってイザベル・アジャーニやソフィー・マルソーもズラウスキーに精神も肉体も無防備に献上する。『ポゼッション』にはとんでもない憑依者が出現してアジャーニの心身を猥雑にわがものとするが、あれはもうズラウスキー本人のエゴと欲望の権化に違いない。 リバイバル公開前に、12/26(木)、池袋・新文芸坐で、『ポゼッション 40周年HDリマスター版』トーク付きプレ上映が予定されている。 『ポゼッション 40周年HDリマスター版』トーク付きプレ上映 12/26（木）開場19:00 開映19:15 映画上映のあと、大寺眞輔さん（映画批評家）のトークショーあり 特別料金 1900円均一 前売券：当館窓口のみにて販売中