前作『ヘレディタリー〜継承〜』で、観た人を恐怖と絶望の底へ突き落としたアリ・アスター監督による最新作。アリアナ・グランデが「最近、寝る前に毎晩観るお気に入り映画なんだけど、私大丈夫かな、誰かに助けを求めるべき？」とツイートし大きな話題になるなど、日本でも公開前から注目を集めていた作品である。 家族の不幸によって精神的トラウマを抱えた女子大生ダニが、恋人クリスチャンや彼の友人たちと共にスウェーデンの（架空の）田舎町ホルガで90年に一度開催される「夏至祭」に参加。花と緑に囲まれた一見「平和」に見えたその祝祭が、実はペイガニズムの祭りであり、単なるバケーションのつもりだったダニたちは次第に恐怖と不安に苛まれていく。 『ヘレディタリー〜継承〜』と同様、アスター監督自身の家族に起きた出来事からインスパイアされたという本作だが、前作が闇の中に潜む「恐怖」を描いていたのに対し、今作では終始太陽の光の中で悪夢が繰り広げられる。胃が締め付けられるようなオープニングシーンから、どこか爽快感すら覚える衝撃のラストシーンまで美しくも凄惨な、ドラッギーかつグロテスクな映像が容赦なく襲い掛かる。鑑賞後、頭に大きなクエスチョンマークが浮かんだ人は、是非とも公式ページの「完全解説」を熟読してリピートしましょう。