Download on the App Store ANDROID APP ON Google Play
Download on the App Store ANDROID APP ON Google Play

水先案内人のおすすめ

評論家や専門家等、エンタメの目利き&ツウが
いまみるべき1本を毎日お届け!

日本映画注目作を中心に、旧作上映まで幅広く

樋口 尚文

1962年生まれ 映画監督、映画評論家

『無明 内田吐夢』刊行記念 生誕121年 内田吐夢映画祭

『飢餓海峡』(5/27) 新文芸坐 特集「『無明 内田吐夢』刊行記念 生誕121年 内田吐夢映画祭」(5/25~5/30)で上映。 戦後は『血槍富士』『宮本武蔵』シリーズなどのダイナミックな殺陣の時代劇で鳴らした内田吐夢監督だが、戦前は精神的に病んでゆくホワイトカラーを描いた『限りなき前進』などのシャープな現代劇の傑作も得意とした。そんな内田の骨太な人間洞察のまなざしが、水上勉の入魂の原作小説『飢餓海峡』に出会い、日本映画史に屹立する名作を生んだ。 戦後のどさくさで犯罪をおかして事業家になりあがった樽見京一郎(三國連太郎)を伴淳三郎と高倉健の刑事コンビが執念の捜査で追い詰める。そのぐいぐいと観る者を牽引するミステリーの涯てに、人間の業を見つめた深甚な結末が待つ。三國と、彼を思う元娼婦に扮した左幸子の熱演が光り、東映W106方式なる映像処理や冨田勲の電子音的な地蔵和讃など冒険心もたっぷりの内田演出がとにかく圧巻。日本映画ファンなら必見の重量級の作品。

19/5/24(金)

アプリで読む